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弦楽四重奏曲第15番(げんがくしじゅうそうきょくだいじゅうごばん)イ短調 作品132は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1825年に作曲した弦楽四重奏曲である。同年11月6日にシュパンツィヒ四重奏団によって初演された。5楽章で構成されている。第12番、第13番と同じく、ロシア貴族ニコライ・ガリツィンに献呈された。作曲順は第12番の次で第13番よりも前である。
1824年より第1楽章と終楽章のスケッチが進められ、この時点ではベートーヴェンは通常の4楽章構成を考えていたようである。しかし病気のために作曲が中断され、快復して再着手した際に、リディア旋法による第3楽章が挿入された。
フランスの作家マルセル・プルーストにとってこの曲の第3楽章と第5楽章は特別なもので、特に後者は、1918年2月のロベール・ド・モンテスキウ宛の手紙で、「私が音楽で知るうち最も美しいもの」と絶賛している。また1922年刊の『ソドムとゴモラII』では、この曲のピアノ編曲版を聴いたシャルリスが演奏者モレル相手に音楽論を展開する場面で、この曲は「ほとんどとげとげしいほどの神秘性こそが、崇高なのだ」と弁じさせている[1]。
トーマス・マンはこの作品を「最高級」と位置づけ、「私は『ファウストゥス』執筆中の数年間に、あたかも摂理によるとでもいうように、幾度も、確かに五度まで、聞く機会をもった」と記している(トーマス・マン『『ファウストゥス博士』の成立』佐藤晃一訳、『トーマス・マン全集』VI、562頁)[2]。
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