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1957年、ソウル生まれ。高校卒業後に来日し、慶應義塾大学文学部国文科を卒業。早稲田大学文学研究科に進み、2003年に学位論文『日本近代文学とナショナル・アイデンティティ』を早稲田大学に提出して博士(学術)号を取得[1]。
日韓で論争のある教科書問題・慰安婦問題・靖国神社問題・独島(竹島)問題を取り上げた
朴の「帝国の慰安婦」は2013年発刊直後は韓国国内でも高評価であり、2014年のシンポジウムへも韓国マスコミも好意的であった。しかし、朴が親しかった元慰安婦ペ・チュニが、このシンポジウムの約1ヶ月後に亡くなった。その1週間後である2014年6月16日、ナヌムの家で共同生活する李玉善ら元従軍慰安婦9人の名前で、朴裕河が2013年8月に出版した『帝国の慰安婦』が自分たちへの名誉棄損だとして、同書の出版を差し止め、1人3千万ウォン計2億7千万ウォンの損害賠償を求める訴えがなされた[20]。。
2016年1月13日、ソウル東部地裁は、名誉毀損と人格権の侵害を認め、9000万ウォンの賠償を命じた。朴は控訴[21]。
原告らは、ソウル東部地裁の判決後、ソウル西部地裁に世宗大学校の朴裕河の給料の一部を差し押さえるよう申し立て、同地裁は申し立てを認めた。朴裕河は執行停止を申請、供託金を預けることを条件に受け入れられ、4月から中止された[22]。
2015年2月17日にソウル東部地裁は、「『朝鮮人慰安婦』の苦痛が日本人売春婦の苦痛と基本的には変わらない」「『慰安婦』たちを『誘拐』し、『強制連行』したのは、少なくとも朝鮮の地では、また公的には日本軍ではなかった」など34カ所の削除を求める仮処分を決定した[23]。
2015年4月から10月までの原告と被告との刑事調停が不成立となった結果を受けて、2015年11月18日、ソウル東部地検は『帝国の慰安婦』の内容が「虚偽」だと判断し、著者の朴裕河を名誉毀損罪で在宅起訴した[24]。
起訴内容は主に三点。朝鮮半島では公的に強制連行されていない、協力者の枠組みにいた、売春の枠組みの中にいた、の三つの指摘は全て虚偽。仮処分の34項目に検事が一カ所追加した35項が、この三つのカテゴリーに分けられて起訴理由となった[25]。
2015年11月26日、村山富市、アンドルー・ゴードン、河野洋平、大江健三郎、小此木政夫、上野千鶴子、若宮啓文、山田孝男ら54人が、韓国検察が朴裕河を起訴した事に対して抗議する声明を発表した。声明では、韓国検察の判断を「予断と誤解に基づいて下された」と指摘し、「公権力が特定の歴史観をもとに学問や言論の自由を封圧する挙に出た」と批判した[26]。2017年1月16・17日には2名のアメリカ人教授(ノーム・チョムスキーとブルース・カミングス)は、日本識者らによる起訴への抗議声明に賛同し、裁判の停止と無罪判決を求める声明を出した[27]。
ソウル東部地裁における無罪判決
2017年1月25日、ソウル東部地裁は、名誉棄損についての検察の懲役3年の求刑に対して、「これは表現の自由と価値判断の問題であり、市民と専門家が相互検証して論駁する事案であって、裁判所が刑事処罰することではない」として無罪の判決を言い渡した[28]。
ソウル高裁における罰金判決
これに対して検察は控訴し、ソウル高裁は10月27日に1審判決を破棄し、罰金1000万ウォンとする判決を言い渡した[29]。
最高裁における有罪判決差し戻し
大韓民国最高裁は2023年10月26日、ソウル高裁における罰金判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。「二審が有罪と認めた表現は被告の学問的主張あるいは意見の表明と評価するのが妥当であり、名誉毀損罪で処罰すべき『事実の適示』とは見なしがたい」とした[30]。
ソウル高裁における差し戻し審での無罪判決
ソウル高裁は2024年4月12日、無罪とする差し戻し審判決を言い渡した。最高裁に続き、問題となった記述はいずれも「学問的主張、意見の表明」にとどまり、虚偽事実の記載にはあたらないとの判断を改めて示した[31]。
2007年4月、アジア女性基金の解散に伴い東京の日本外国特派員協会での講演で、アメリカ合衆国下院121号決議に関連して韓国側の理解、主張をそのまま受け取っての日本への一方的な批判、意見が行われていることへの憂慮や、「日本軍とそのようにした父親とどっちが憎いのか?」とのある元慰安婦への質問に「お父さんだ」と答えたといった話も交えながら、慰安婦動員の過程において韓国人も関わっておりその加害性への責任についての言及、さらに、朝鮮戦争時に韓国軍も特殊慰安隊を運営したという最近の研究を紹介、韓国や他の国もそういった慰安婦制度を持っていたことがあるのに、慰安婦問題を日本だけのことにしてしまっては問題の本質を考えるという機会が失われるのではないかとの憂慮を表明した[32]。
また、2007年3月、安倍晋三首相が「広い意味での強制性はあったけれども、狭い意味での強制性はなかった」と答弁したことに対し、その発言の背景と誤解について解説を加え、謝罪を受け入れる被害者の側の問題にも言及、日本がやったことの実態を正しく知ることが今後の目指すべき方向であるとの見解を示した。
この発言が連合ニュースにより「慰安婦への加害責任、韓国にもある」「安倍総理の発言にも理解示す」との形で韓国で報道されると[33]、韓国世論は朴裕河を「日本女(일본녀)」と罵倒し勤務先の世宗大学にも激しい非難を浴びせた[34][35]。
この批判に対し朴は、連合ニュースの記事は発言の一部を抜き出して講演の本意を歪曲したものであり、発言の主旨は安倍首相を擁護したものでも韓国批判でもなく、日韓の間の問題を解くためのもっと根本的な視点を提供しようとしたものである、と説明した。また、「日本はお詫びも補償もしてこなかった」という韓国での認識は事実とは非常に異なっており、そのような認識では決して問題は解決しないと付け加えた[32][35]。
さらに、安倍首相が河野談話を継承する理由も、それが一部右翼を除いた日本人大部分の考えだからであり、また、アジア女性基金もただの民間団体ではなくその設立、運営には日本政府が深く関与しており、これらの点を考慮することが日韓の間の仲直りの門を開くことを可能にすると述べる一方、アジア女性基金設立に一番反対した人々は保守右派や右翼ではなく「法に基づかないお詫び方式は不完全だ」と批判した進歩的知識人と言論であったと指摘した。
また、韓国も日本政府と政治家の「良心」を信じることはできなかったため、基金のお金を受け取った人々を中心に元慰安婦が分裂し、受け取りに反対した韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)に排斥された人々は現在この団体と対立している状態を指摘、挺対協関係者たちも元慰安婦に対するサポート活動を足場にして国会議員や政府長官になったものの、その後彼女らに対する関心を無くしたのみならず、むしろ排斥をしており、元慰安婦の中には彼女たちに真心をつくして手伝ってくれるのは日本人たちだという者もいる、といった挺対協に対する批判も紹介した。
また、元慰安婦が世を去る度に日本を批判はするが、実は少なくない数の元慰安婦が補償金を受けたという事実も知らせず基金に反対する人々の責任も批判した[35][36]。
一方、日本からまだ「補償」を受けていない人がいるということも一つの事実であり、他の方式の新しい補償を推進したいという和田春樹の提案にも期待を寄せた。また朴は、いくら問題があろうとも自国のすることなら助けてあげなければならないというのは正しいことだが、同じ民族のすることなら無条件で助けてやらなければならないという論理には、それが決してこの問題を解決するものではないためこれ以上同調することができないと述べ、挺隊協がその矛盾に対する検証もぜずに非難の言葉で水曜デモを繰り返すことを批判し、アメリカが「世界の警察」役をすることは批判しながら自分たちの問題をアメリカへ行って解決してくれと訴える姿は決して美しいものではなく、たとえ決裂だけが続くとしても日韓の間の問題は日韓が解決するという姿勢を見たいとする希望を述べた。
上記のように慰安婦たちのスポークスマンの役割を自任してきた韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)がアジア女性基金からの償い金受け取りを妨害したことに加え、問題解決のために努力するどころかより困難にしていると考えている。挺対協は「抵抗し戦う慰安婦」のイメージと「謝罪していない日本」のイメージを作り上げたが、日本の謝罪や償い金など、これに反する様々な側面は無視していると指摘、また、挺対協の主な要求である日本の法的賠償、国会決議による謝罪と賠償は事実上実現可能性がなく、要求の根拠も不十分だと指摘した[36][37]。
西大門刑務所については「解放後50年間の歴史はきれいさっぱり消し去られたまま、日本に対する憎悪と恐怖を育てる場所としてのみ存在している」として批判している[38]。
2014年4月29日にソウルで開かれた慰安婦問題シンポジウムで、朴裕河は、慰安婦問題で日本非難を続ける韓国側の姿勢を批判し、「日本を許したいが、ほかの元慰安婦と違うことを言うのが難しい」と語る元慰安婦の映像も紹介した[39][40]。
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