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兵庫県姫路市を通る山陽電気鉄道の鉄道路線 ウィキペディアから
網干線(あぼしせん)は、飾磨駅から山陽網干駅までを結ぶ山陽電気鉄道の鉄道路線である。全線が兵庫県姫路市内にある。駅ナンバリングで使われる路線記号はSY。
網干線内の飾磨駅 - 山陽網干駅間のみの運行で、途中駅が始発・終着になる列車はない。平日のラッシュ時は1時間あたり5本(12分間隔)、日中時間帯と土曜・休日は1時間あたり4本(15分間隔)で運行されている。
網干線の建設が決まったとき、線路を敷く予定地が土地区画整理事業区域になっていて場所や工法についての兵庫県との折衝に時間がかかった。このため、線路用地は複線分を確保するが単線で工事を施工することで建設が始まった経緯があった。そのため現在でも飾磨駅 - 山陽網干駅間のすべての駅で列車交換が可能であり、ほぼ全区間にわたって複線分の用地も手当てされている[2]。
かつては、通勤時間帯などに飾磨駅でスイッチバックして本線の電鉄姫路駅(現在の山陽姫路駅)への直通運転があったが、1991年(平成3年)のダイヤ改正以降の設定はない。
2019年3月現在は、3両編成の3000系・6000系が使用されている。1995年(平成7年)からはワンマン運転を行っており、網干線運行の車両には、ドアチャイム[注釈 1]や自動案内放送装置が設置されている。なお、車内での運賃収受がない、いわゆる都市型ワンマンのため、運賃箱・運賃表示器等の機器は設置されていない。
過去には、例年2 - 3月の週末に綾部山梅林への送客を目的とした網干線直通の臨時特急「観梅号」が運転されていた。車両は5000系の4両編成で運転され、当時は4両編成であった3次車で運行されたこともあった。高速神戸発(復路は新開地行き)とし、本線内は特急停車駅に停車、網干線内はノンストップで運行された(運転停車あり)。定期列車が3両編成のみで、特急の運転がない網干線では、希少な優等列車であったが、本線で直通特急が運行開始されて以降は運転されていない。
一時は網干線を相生・赤穂経由ルートで岡山市域方面に延伸する構想があった。
そもそも「山陽電気鉄道」の社名は、宇治川電気時代の1928年に飾磨 - 岡山間の鉄道敷設免許申請を行った際、別名義として用いられたことに始まる。この免許申請は、当時の鉄道省が有年 - 赤穂 - 西大寺という競合ルートの計画(戦後赤穂線として開通)を持っていたため却下された。
山陽電気鉄道が、兵庫県南部に限定された路線であるにもかかわらず「山陽」という広範囲を表す地名を用いていることは、宇治川電気時代末期から山陽電気鉄道設立に至る当時の拡大姿勢を唯一今日に残すものと言える(但し同社の路線沿線の大半を占める播磨国は山陽道に属していた)。このような、実際の路線の所在地と会社名との相違は、南海電気鉄道など各地で見られる。
しかし、その後も飾磨 - 赤穂間については、鉄道省の計画線と競合しないことから延伸が検討され続け、1936年に再び電鉄飾磨 - 相生(那波)間の鉄道敷設免許申請が行われた。この際、電鉄飾磨 - 網干間については、日本製鐵(現在の日本製鉄)の製鉄所建設決定など急速な工場立地が進んだことから、その必要性に加えて緊急性が認められ、1937年に免許が交付された(日米開戦直前の1940年10月から翌年7月にかけて全線が開通)。ただし、残る網干 - 相生間については却下された。
相生方面への建設計画が再浮上したのは戦後になってからで、1952年に姫路市網干 - 赤穂市上仮屋間25.2kmの鉄道敷設免許が交付された[12]。前年(1951年)に国鉄赤穂線の相生駅 - 播州赤穂駅間が開業していたにもかかわらず[13]、並行する路線の免許の交付がされた背景には、燃料事情の極端な悪化でバスなどの運行が困難であった当時の社会情勢が影響している。姫路市の下余部公民館に保管されている図面では、山陽網干駅手前で分岐し、揖保川に沿って北西に進み竜野駅、相生駅を目指すルートが示されている[14]。
実際には揖保川への橋梁架設など建設工事にあたって様々な技術的困難が存在し、また多額の建設資金が必要であったこと、その後の急速な燃料事情回復から鉄道延伸の必然性自体が低下したため、ほどなく計画は中断するに至った。1971年秋の網干 - 相生間免許失効をもって、網干以西への延長計画は消滅している。
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