小林 久志(こばやし ひさし、1938年6月13日 - 2023年3月9日[1])は、米国ニュージャージー州プリンストン大学の元工学・応用科学部長 (Dean of the School of Engineering and Applied Science)[2]、および同大学のシャーマン・フェアチャイルド電気工学およびコンピュータ・サイエンス名誉教授 (The Sherman Fairchild University Professor of Electrical Engineering & Computer Science, Emeritus)[3]。専門分野は、ディジタル記録方式、応用確率理論、待ち行列理論、コンピュータ・システムおよびディジタル通信ネットワークのモデル化と性能解析[4]、ネットワーク・アーキテクチュアなど。ニューヨークにある非営利団体「東大友の会」の理事長(2011年 - 2015年)[5]、同諮問委員会委員長(2015年 - )。コロンビア大学アームストロング記念研究財団理事(2011年)[6]。数学者小林昭七は久志の長兄にあたる。
- 1958-1961年、東京大学学部2年から4年次在学中に杉山奨学金を授与される。
- 1960-1961年、東京大学学部4年次在学中にRCA David Sarnoff Scholarshipを授与される。
- 1965-1966年、プリンストン大学博士課程初年度にOrson Desaix Munn University Fellowshipを授与[13]。
- 1970と1973年に、IBM 発明業績賞(Invention Achievement Award)を受賞。
- 1974年、「待ち行列網理論とアルゴリズムへの貢献(Queueing Network Theory and Algorithms)」に対しIBM 特別貢献賞(Outstanding Contribution Award)を受賞。
- 1977年、IEEE(米国電気電子学会)のフェロー。
- 1979年、IFIP(国際情報処理連盟)よりSilver Core Award授与。
- 1979年、西独アレクサンダー・フォン・フンボルト財団(Alexander von Humboldt Foundation)のフンボルト賞(Senior U.S. Scientist Award) 受賞。
- 1980年、日本アイ・ビー・エム社の特別功績賞受賞。
- 1984年、日本工学アカデミー会員に就任。
- 1992年、電子情報通信学会フェロー。
- Commendation List for Outstanding Teaching ,School of Engineering and Applied Science, PrincetonUniversity.
(「プリンストン大学理工学部の卓越した教師の表彰リスト」に名を連ねた。)
- 2005年10月、IEEE(米国電気電子学会)の終身フェロー( Life Fellow)。
- 2005年、「コンピュータ用のハードディスクの記憶容量を画期的に増大するPRML(Partial Response Maximum Likelihood)への先駆的貢献」に対し、IBMチューリッヒ研究所のドリボ博士、エレフテリオウ博士と共に、ドイツのエドゥアルト・ライン財団技術賞を授与される[15]。
- 2006年4月10日、東京大学大学院入学式で来賓として祝辞挨拶(ビデオ)
- 2012 年、「高密度、高信頼性のディジタル記録技術の発明とコンピュータと通信システムの性能評価手法の想像及びその発展への先駆的、先導的貢献」に対しNEC C&C 財団のC&C賞を授与される[16]。
- 2019 年、 ベルギーのゲント大学より「待ち行列理論、応用確率論、システム評価手法、リーマン予想などの研究等における貢献に対し」名誉博士号を授与される(写真、ビデオ)。授与式典は2019年3月22日[17]。
専門分野における国際的に活発な活動に加えて、日本の高等教育の問題、大学改革への提言、創造性、国際競争力の強化、寄付活動、インタビュー、随筆の著述など、幅広く社会貢献を行ってきた。
- 教育・大学問題 (Education and University Issues)
- 小林久志「巻頭言:英才教育と博士課程の充実を」コンピュータ・ソフトウエア、1巻、第3号、1984年10月15日、岩波書店
- 小林久志「博士課程制度の充実に向けて」日経サイエンス・巻頭言、1992年1月号,
- 招待論文「寄稿:我が国の大学改革への提言」電子情報通信学会誌平成4年11月号、創立75周年記念「21世紀への展望」特集、pp. 1164-1168.
- 小林久志「論説:日本の大学改革への提言」工業教育、第41巻第1号、平成5年1月pp.5-9
- 「インタビュー記事:工学部に見る日米の違い」電気学会誌、1993年増刊号、pp.10-18.
- 小林久志「米国から見た日本の大学の良い点、悪い点とその改善策」、講演要旨・国際シンポジウム「大学における教育と研究―21世紀に向けての新展開」平成6年1月10-11日, (平成6年12月発行) pp.10-14. .
- 招待論文「論説:どの様にして日本の大学を世界の一流にするか?」日本機械学会誌、1994年12月号、
- 招待講演「日本とアメリカの大学が抱える課題」第二回大学改革シンポジウム、文部省・東京大学 1996年11月26-27日,
- 小林久志「日米の大学の抱える問題点:我々は如何に取り組むべきか?」21世紀に向けての産官学連携戦略―ネットワーク社会における科学と産業、奈良先端科学技術大学院大学・AGIP21 研究会編、化学工業日報社、1998年3月20日発行、pp.103-122.
- 基調講演「21世紀の大学」大阪大学、情報科学技術大学院、第一回シンポジウム、2002年、11月11日。
- Keynote Address, “The Role of Higher Education in the Age of Globalization,” at Conference on “Higher Education Reform in Japan and Germany—Taking Stock and Looking Ahead,” Hitotsubashi Memorial Hall, February 28, 2006
- 招待講演「グローバル時代の人材育成」第21回六甲会議、神戸ポートピア、2010年4月16-17日. .
- 招待講演「国際競争力へ向けての人材育成」日本学術振興会・先導的研究開発委員会、2012年11月27日.
- 招待論文「日本の大学と教育界に期待する」電気学会誌125周年記念特集号(2014年4月号)pp. 200-202.
- 創造性、国際競争力の高揚、研究開発の管理(Creativity, Enhancement of International Competitiveness, Management of R&D)
- H.Kobayashi, “Scientific Creativity and Engineering Innovation in Japan,” Proc. 1987 AAAS Symposium, Chicago, IL, February 1987.
- 小林久志「特別講演:研究開発における創造性」第7回新エネルギー産業シンポジウム、昭和62年10月21日、pp. 247-260
- 小林久志「記念講演:米国における研究・開発マネジメントの実態」研究・開発マネージメント・フォーラム. 日本経済新聞社1988年11月pp. 18-32.
- パネリスト「90年代イノベーションの方向と波及」 1991国際経済経営会議、シンポジウム3、都ホテル東京、1991年3月18-19日.
- H. Kobayashi, “A Keynote Address: International Cooperation and Competition in Science & Technology,” Proceedings of International Conference on Performance of Distributed Systems and Integrated Communication Networks, North-Holland Publishing Co. pp.1-5. 1992.
- 特別講演「21世紀における研究所の体質は如何にあるべきか?」AIST Today, 設立記念式典特集、May 2001 発行、独立行政法人産業技術総合研究所pp.14-18..
- 招待論文「 米国の企業及び大学での研究マネージメント」 電子情報通信学会誌 Vol. 92, No. 5, 2009年5月号, pp. 318-326. Invited Article,“Research Management in U.S. Corporate Laboratories and Universities,”
- インタビュー、寄付活動、随筆、講演、その他(Interviews, Donations, Essays, etc.)
- “Comsoc Spotlight: H. Kobayashi,” IEEE Communications Magazine, 1980, Vol. 18, No4. July 1980, pp. 6-7. https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=1090246
- R. J. Samuels (Interviewer), “Balancing Two Careers: Industry and Academia,” Look Japan Magazine, Vol. 32, No. 370: Jan. 29, 1987, pp. 26-27.
- 小林久志「研究生活へのカムバック」村上陽一郎編『先端科学技術と私(1)』朝倉書店 1991年10月pp. 77-91.H. Kobayashi, “91.
- 小林久志「研究者としての人生観」電子情報通信学会誌、Vol. 90 , No. 1 、研究者・技術者の倫理観・人生観特別小特集、2007年1月,pp.13-15.
- 東京大学基金「寄付者インタビュー第13回:小林久志様」2010年6月18日。
- 小林久志「東京大学電気系同窓会の皆様へ」2011年1月。
- 招待論文「兄昭七を想う」数学セミナー2013年第2号、特集小林昭七 日本評論社, pp.14-16.
- 招待講演、「兄昭七を再発見」小林昭七を偲ぶ会、2013年、5月25日。
- 小林久志「昭七兄の思い出」『顔をなくした数学者:数学つれづれ』(小林昭七著)岩波書店2013年7月30日初版発行、pp. 128-137.
- Invited Article ”In Memory of Shoshichi Kobayashi (1932-2012): A Short Biography.” ICCM Notices, Vol. 1, No. 2., December 2013, p.138.
- Invited Article, “Memoir of my brother Shoshichi Kobayashi,” ICCM Notices, Vol. 1, No. 2, December 2013, pp. 141-145.
- Invited Article, “Two Essays from Mathematicians Who Lost Their Faces: Shoshichi Kobayashi, Translated by Hisashi Kobayashi,” Notices of the American Mathematical Society, Vol. 61, No.11, pp. 1343-44.
- H. Kobayashi, “Academic Genealogy of Shoshichi Kobayashi and Individuals Who Influenced Him,” in Geometry and Analysis on Manifolds: In Memory of Professor Shoshichi Kobayashi, edited by T. Ochiai et al. Progress in Mathematics, Vol. 308, pp. 17-38, Springer International Publishing, 2015.
- Berkeley Office of Gift Planning, “Charitable Gift Annuity: Hisashi and Masae Kobayashi: Doing math.” Also in Cal Futures, Fall 2018.
- H. Kobayashi, “A Markov chain interpretation of the arpeggios in Beethoven’s Moonlight Sonata: the First Movement,” posted on hp.hisashikobayashi.com May 2019.