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宇宙文明(うちゅうぶんめい)は、地球人もしくは異星人による星間文明のこと。SFが好むテーマのひとつであるが、学術的にも、SETI(地球外知的生命体探査)の対象として研究されている。
1964年、ソ連の天文学者、ニコライ・S・カルダシェフは、宇宙に存在しうる技術文明を文明の進展度によって3種類に分類する「文明の三段階進化説」を提唱した[1][2][3]。この分類を一般には「カルダシェフ・スケール」[4]「カルダシェフの尺度」[5]と呼称する。端的に表現すると「エネルギー利用量のより多い文明を3段階のグループの中でより高度なグループに分類する評価方法」である。
発達した技術文明は、高度な星間通信能力(交信可能距離r[光年]と送信速度R[bps]で評価)を開発し、運用する能力を獲得するという観点からの分類である。星間通信は技術的な課題だけでなく運用に伴う莫大なエネルギー消費P[W][3]という難題を有しており、それらに対応できる文明は、各種資源の確保、エネルギーの生産、材料や部品への加工、活動領域の拡張などの文明が実現すべき目標を高度な次元で達成しているとカルダシェフはNHKの番組内で述べている[4]。
from P218
[...]Calculations show that the total quantity of energy expended by all of mankind per second at the present time is about 4×1019 erg,and[...]
In line with the estimates arrived at,it will prove convenient to classify technologically developed civilizations in three types; Ⅰ- technological level close to the level presently attained on the earth,with energy consumption at ≈ 4×1019 erg/sec. Ⅱ- a civilization capable of harnessing the energy radiated by its own star(for example,the stage of successful construction of a "Dyson sphere");energy consumption at ≈4×1033 erg/sec. Ⅲ - a civilization in possession of energy on the scale of its own galaxy,with energy consumption at ≈4×1044 erg/sec.
Kardashev, Nikolai (1964). "Transmission of Information by Extraterrestrial Civilizations". Soviet Astronomy. 8: 217. Bibcode:1964SvA.....8..217K
(前略)推定によると今この時間に全人類が1秒間で消費したエネルギーの総量は、およそ4×1019[erg]であり、さらに・・・
(中略)
(人類のエネルギー消費は文明が続く限り増加するという)予測に基づくと技術的に発達した文明を3つの類型に分類することが便宜的だと考える。
BPによると、2012年度の世界の最終エネルギー消費量は原油換算で12,477[100万トン/年間]である[6]。原油の密度の逆比は1.176[kl-原油/ton-原油][7]、標準発熱量は38.28[MJ/l-原油][7]なので、2012年現在の人類の消費エネルギーは
12,477[100万トン/年間]×106[ton/100万トン]×1.176[kl-原油/ton-原油]×103[l/kl]×38.28[MJ/l-原油]×[year/s]
1.282×1013[J/s]12.82×1012[W]
12.82×1019[erg/sec] (CGS単位系での表示)
となる。1964年当時と比較して世界のエネルギー使用量が3倍に膨れ上がってもなお、2012年現在、タイプII文明の水準からはほど遠いことが分かる。
地球外の文明と情報交換を行う試みとしては、アレシボ・メッセージやボイジャー探査機のゴールデンレコード、電波望遠鏡による人工的な電波の探索などSETIプロジェクトに代表される様々な取り組みが行われてきた。
カルダシェフは、1964年に発表した論文の中で送信機の出力Pにより通信可能距離rと通信速度Rが決まることを示し、それを用いて、タイプI~IIIの文明が獲得しうる星間通信の能力について論じた。
受信アンテナの入力雑音に相当する雑音温度を[K]、交信距離r[m]、送信帯域幅[Hz]、受信アンテナの有効面積A[m2]、ボルツマン定数k[J/K]とし、雑音による信号の超過が100倍ある状態が通信できる限界であると見なすと、次式が成り立つ。
よって、送信機出力P[W]と交信可能距離r[m]、通信速度R[bps]の関係は
・・・・・・・・・・・(1)
この式から分かることは以下のとおりである。
カルダシェフは、”文明が生産したエネルギー全てP[W]を使って運用する送信設備”を仮定し、A=105[m2]、=1[K](通信条件により適宜変更している)を(1)式に適用して考察を行った。そして、タイプIに分類される文明(たとえば地球)は何光年も離れた文明にメッセージを送信しても届かず、タイプII、IIIの文明は1000万光年以上はなれた文明とも十分な星間通信を行えると述べている。(Table1)
カルダシェフ・スケールにより、文明の発展度の基準が定義された。しかし、各年代の地球文明の発展度を相対的に評価することを考慮したものではなかった。
そこで、カール・セーガンは1973年にカルダシェフ・スケールにカルダシェフ文明等級[-]を導入し、さらにの分類基準となるエネルギー消費量[W]の値を再定義した。
・・・・・・・・・・・(2)
この定式化よって文明の技術レベルはエネルギー消費量の関数として表現され、各年代の地球文明の技術レベルを実数値で比較することが可能となった。
以下に、カルダシェフが提示したt年後のエネルギー増加率の計算式[3]を示す。
のとき ・・・・・・・・・・・(3)
x:消費エネルギーの年間増加率[-] t:経過年[year] e:ネイピア数[-]
カルダシェフは、この式と1964年のエネルギー消費量の積がt年後のエネルギー消費量であるとしている[3]。
ここで西暦[年]の世界のエネルギー予測消費量を[W]、西暦[年]の世界のエネルギー消費量を[W]、1964年のエネルギー消費量を[W]とするとカルダシェフの用いた計算は以下の式で一般化できる。
は(3)式との積を上式で置換したものなので
ここでならば
の近似[3]を適用でき
・・・・・・・・・・・(4)
(2)、(4)式より
西暦年の地球文明の予測文明等級は
(予測には上式を用いる。以降は予測値のグラフ形状が異なる理由、すなわち、各識者の文明発展速度の予測に差が出る理由の説明である。)
ここで底の変換公式より
なので
再び、底の変換公式を適用して
∴
変数が含まれない、すなわち定数となる箇所に注目して実数a,bを用いて置換する。
上記より
・・・・・・・・・・・(5)
a,bは定数なので(5)式よりは傾きa、切片がbであるの一次関数(直線)と見みることができる。
つまり、カルダシェフのようにエネルギー消費量の増加率が100%より十分に小さく不変であるという仮定をすれば、年代ごとの文明等級の値のグラフは直線状になる。一方、エネルギー消費量の増加率が変わる仮定(技術革新が起こる、資源の枯渇によってエネルギーの生産量が減少する[11]など)のもとでは直線状になるとは限らない。
一方、カルダシェフ・スケールは文明の水準を評価する尺度としてふさわしくないとする批判もある。
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