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広島県安芸郡の町 ウィキペディアから
広島県の南西部、広島湾の東側に位置している[2]。広島県の23市町の中で2番目に面積が小さい市町村である[2]。しかし広島市、呉市、東広島市の間にあり交通の結節点になっている[2]。
町内には、陸上自衛隊第13旅団司令部や多くのマツダ関連工場などがある。
この地域に人々が住み始めたのは約1万年前のこととされ、海岸線は現在よりも内陸部にあった[2]。「かいた」の地名が初めて記録に出るのは平安時代の終わりごろで、「開田荘」と呼ばれる皇室領系の荘園でがあり、この荘園は南北朝時代に「海田荘」となった[2]。
中世には商業の中心地は瀬野川の日下橋付近にあり、「二日市」と呼ばれ市場や港の機能をもつ戦略上重要な拠点でもあった[2]。
近世に入ると瀬野川の土砂の堆積や海の干拓、埋め立てで陸地化が進み、商業の中心地は二日市よりも河口に近い「海田市」に移った[2][3]。海田市は広島藩の蔵入り地(直轄地)で西国街道の宿駅の一つとして整備された[2][3]。
江戸時代には海田村と奥海田村があったが、1889年(明治22年)に海田村は町制をしいて海田市町となった[2]。村制のままだった奥海田村も1952年(昭和27年)に町制をしいて東海田町となった[2]。
1956年(昭和31年)に海田町が誕生した当時は、人口が約11,000人であった[2]。しかし、広島市のベッドタウンとして開発が進んだことで人口が急増し、昭和40年代前半には20,000人を突破し、1981年(昭和56年)には30,000人を突破した。
その後は、1996年(平成8年)に30,000人を割り込んだものの、1998年(平成10年)に30,000人を回復。2003年(平成15年)4月に30,000人を割り込んでからは28,000 - 29,000人台で推移していた[4] が、2022年(令和4年)12月に30,000人に再び回復。ただし、住民基本台帳人口は、2018年(平成30年)11月・12月および2019年(令和元年)6月以降は30,000人台を維持している[5]。
広島県では、同じ安芸郡の府中町に次いで人口の多い町である。また、竹原、大竹、安芸高田、江田島の各市よりも人口が多い。
一方で、面積は広島県の市区町村で府中町に次いで小さく、総面積は13.79km2、可住地面積は僅か7.19km2である[6]。
町の南西部には洞所山(どうところやま)、城山(じょうやま)、金ケ燈籠山(かながどうろうやま)など標高500~600m前後の山が連なり、北西方向に向かって尾根や丘陵地が広がっている[2]。北側の広島市との境界付近には日浦山を中心とした山々がある[2]。その間を瀬野川が流れており、支流の唐谷川や三迫川沿いも含めて平坦地や緩傾斜地になっている[2]。
町の地形は旧・海田市町と旧・東海田町で大きく異なる。旧海田市町は瀬野川の河口にあり平地が多いのに対し、旧東海田町は瀬野方面へと続く山地の中にあり、平地は瀬野川沿いのみである。
町役場移転のため、1998年(平成10年)5月に庁舎建替準備会が設置された[22]。町役場のすぐ南側を隣接してJR西日本山陽本線が走っているが、広島県とJRの間でこの周辺の区間の「広島市東部地区連続立体交差事業及び関連街路事業」が進められ、海田町役場本庁舎が移転対象建築物とされたためである[22][23]。
当初は、2012年度末までの移転が計画されていたが、移転先を決める作業が難航。財政難を理由に2013年8月には事業の中止が決定したが、2015年になって再度高架化と町役場移転先の論議が始まった。
移転候補地としては、
の4案が出されていた。移転に掛かる費用は、1案が15億4000万円程度、2案が19億1000万円程度、3案が18億5000万円程度と概算された。
当初町議会議員の多くが3案を支持し、無作為の町民アンケートでも過半数には届かなかった(43.3%)ものの、3案の中では最多の支持を集めた。その後町議会は3案から支持を乗り換え、4案での移転を求める決議を採択したが、山岡寬次・前町長は否定的であった。
2015年11月に投開票が行われた町長選挙で、合同庁舎跡地への移転を推進する元町議の西田祐三が、4選を目指した山岡寬次を下し初当選を決めた。そして2018年3月、町議会で旧広島県海田庁舎跡地に新庁舎を移転する決議案を可決した[24]。なお、新庁舎整備基本計画における新庁舎建設の概算事業費は、約35.4億円~約39.7億円の間としている[25]。
海田町役場新庁舎は2023年(令和5年)9月19日に利用開始[26]。新庁舎には旧庁舎、加藤会館(教育委員会)、保健センターの機能が集約される[1]。
2014年に広島市は総務省から「新たな広域連携モデル構築事業」に選定され、翌年にこれは連携中枢都市圏として法律上の裏付けのある制度となった。これに基づき広島市は、海田町をはじめとする周辺の市町と相次いで「連携中枢都市圏形成に係る連携協約」を締結、2022年4月現在で13市15町が参加する「広島広域都市圏」[27] として、行政上の様々な分野で広島市との連携は進んでいる。
2002年(平成14年)の農業産出額は7000万円、年間商品販売額は563億円、製造品出荷額等は1085億円である。
マツダ関連の工場が数多く立地。東洋シート、ヨシワ工業、ワイテック、黒石鉄工、キーレックスが本社を構える。南米系の外国人(日系人)や中国人労働者も多数働いている。
かつてはブドウが特産品で、「海田ぶどう」というブランド名もあったが、現在は特産品は無い。
牡蠣が特産品とされることがあるが、海田町の出荷業者は1件を数えるのみで、ほとんどは瀬野川を挟んだ対岸の広島市安芸区船越地区からの出荷である。
2005年(平成17年)、社団法人 海田町シルバー人材センターが、「ひまわり煎餅」、「海田おこし」、「海田名所煎餅」の販売を開始した。主に、町内のイベントなどで販売されている。詳細は、『広報かいた』(平成17年12月号5ページ) 参照。
海田町と全国の年齢別人口分布(2005年) | 海田町の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 海田町
■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
海田町(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
広島都市圏東部地域の交通の要衝となっている。国道2号線と国道31号線、県道164号線が交差する大正交差点が有名で、毎日のラッシュ時は1 - 2kmに及ぶ渋滞が起きるところでもある。
東広島バイパス・新広島バイパス・広島南道路に接しており、近隣には広島熊野道路・広島呉道路・広島高速道路があるため周辺自治体へのアクセスが良い。
海田市駅は広島市に所在する駅ではないが、西隣の向洋駅(安芸郡府中町)と共に、広島市の特定都区市内駅に含む措置がとられている。
海田市から広島方面へは1時間あたり片道7本以上(山陽本線と呉線)の列車が運行されている。海田市駅から広島駅への所要時間は約7分(快速安芸路ライナー)。
山陽本線では、東隣の安芸中野駅との中間にある畝地区に新駅の構想があるが、進展していない。
海田町町内循環コミュニティバス「ふれあいバス」[33] が運行されている。
2003年3月末まではJRバス中国も運行されていた。
町内に高速道路は設けられていない。
戦前、海田市駅から陸軍被服支廠海田市倉庫(現在の自衛隊)へ延びる引き込み線があった。海田市駅南口から分岐し、鉄橋(現在はひまわり大橋に架け替え)で瀬野川を渡り、南大正町交差点で国道2号と交差し、海田西小学校を通り、自衛隊へと続いていた。海田市駅南口が出来る前は、瀬野川手前まで軌道が残っていたが、今は道路となっている。尾崎川に斜めに架かる小さな橋が唯一の遺構である。
1939年(昭和14年)、1月、6月にかけて船越町との合併話が浮上するも破談する[34]。
1953年(昭和28年)、安芸地方事務所が安芸郡の町村合併計画を発表し、翌年以降、安芸郡九か町村合併協議会が設置され、開催される。1955年には瀬野町、熊野町も参画するが、当年度中に合併協議会はいったん解消される。1956年、瀬野川流域の合併話が浮上すると海田市も参加。同年8月26日に合併の賛否を問う住民投票が行われて賛成が多数を占めるも、直後に流域合併の話が破談して分裂。最終的に海田市と東海田との合併が進められ、同年9月30日に両町の合併が行われた[35]。
広島市との合併話が出たが、二転三転して合併問題は膠着した。
一時は、広島市と2003年(平成15年)に合併の調印を行ったが、その後、反対意見の強まりにより、2004年(平成16年)8月22日に住民投票が行われ、合併は白紙撤回になった[36]。
そもそも町内には、中国地方を管轄する陸上自衛隊第13旅団司令部や、多くのマツダ関連企業の工場が立地していることから、基地交付金や法人市民税・固定資産税等の収入で町財政は安定しており、合併に否定的な意見が多いとされている。同じ安芸郡の府中町にもマツダ本社があり、かつて麒麟麦酒広島工場からの巨額な法人市民税・固定資産税が入っていたために、広島市との合併を拒否してきたという似通った事情がある。
また、当町の上水道は、主に町内を流れる瀬野川からの取水と、山陽新幹線のトンネルを掘削した際に掘り当てた湧き水を、町内の2箇所の浄水場で浄水し、給水する自主水道でほぼ全町域使用分を賄っているが、広島市との合併に当たっては、この自主水道を廃止して、広島市や府中町同様、太田川の水を浄水した水の給水を受けることも条件の一つとして上がっており、その結果として、他の市町並みの水道料金の高騰化が懸念されたことも、合併拒否の理由とされている(海田町水道局の水道管は海田町内にしか流れていないので、維持管理費が安く、水道料金は近隣市町と比較して安価であると言われている。合併論議の際に町民に配布された比較データとしては、一般家庭で同じ水量を使用した場合、約1.7倍の水道料金になると試算されていた[37])[注釈 1]。
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