夢の豪邸づくり
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夢の豪邸づくり(Battle of The Power Tools)は、2007年3月3日に発表されたトムとジェリー テイルズの作品である。
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ストーリー
要約
視点
宝くじ券を購入後、いつものように追いかけっこをしていたトムとジェリーは偶然にもボロ家へたどり着き、そこでテレビを点けると宝くじの当せん番号が発表されていた。二人は手元にあった宝くじ番号を発表される数字と照合し、やがて全ての数字が発表番号と合致して大当たりとなる。そこへ地元マスコミが取材に訪れ、賞金の使い道として「半分ずつ山分けしてそれぞれの豪邸を建ててはどうか」と提案。やがて二人はそれぞれ高級リムジンに乗って豪邸建設予定地へ向かったのち、業者を雇って建設費を支払い、豪邸建設へ乗り出すことにした。
それぞれの設計図を眺めつつ、仮住まいのトレーラーハウスにて新居が建てられる様子を見守るトムとジェリー。だが建設計画を着工前に検討していなかったトムは、施工中にジェリーへの対抗意識を強め、当初の施工指示書に無い設計変更要求を現場監督へ繰り返しては、その都度追加工費を支払う。新居建設の様子を双眼鏡で眺めている最中、作業員が休んでいるのを目の当たりにしてさっさと仕事に戻るよう現場監督へ文句を言うも、「(労災事故を防ぐための)労働協約で保障された休憩時間だから、急ぎなら自分でやれ」と断られた。不満を募らせてやけになったトムは、ブルドーザーを勝手に運転して作業場へ突っ込み、建設途上の新居を壊してしまう。これにより建て直しで工期が予定より遅れ、さらなる追加工費を支払う。
加えて、ジェリー宅のプール設計図を植木鉢に隠れて盗み見。やがて(ジェリー宅への)プール設置作業が始まったのを見てトム自身もプールを欲しがり、現場監督へ要望しても、「プールは施工指示書に無いから、欲しければ自分で造れ」と拒まれ、当初の設計図に無いプールをトム自ら造るも給水に失敗。水圧が強すぎて暴れたホースの水を家屋内へ大量に突っ込ませ、先ほどトムに現場を荒らされて建て直されたばかりの新居が全壊してしまう。
これらの言動によって賞金が底をつき、追加工費を支払えなくなったため、トムの家を建てていた業者は(建材と工具を現場に残して)撤退する。自身で外観だけでっち上げた新居は・玄関ドアを閉めると衝撃で壁が倒れ、その内側にあった以前のボロ家も全壊。豪邸建設でもジェリーに勝ちたいと我田引水したトムは、結局新居を持てずに終わる末路を辿った。
一方ジェリーは、建設計画や設備を着工前に十分検討。施工中は現場監督へ設計変更要求を一切せず、新居建設の様子を作業の邪魔をせず黙って見守っていたため、工事は当初の計画通り順調に進み、追加工費を支払うことなく無事に念願の新居を持つことができた。
本作はイソップ童話「ウサギとカメ」および「アリとキリギリス」の豪邸建設版となっており、トムが「ウサギ」および「キリギリス」役に・ジェリーが「カメ」および「アリ」役にそれぞれ相当する。また昨今問題になっている「カスハラ(カスタマーハラスメント)」の末路も描かれており、「理不尽な要求をせず我慢することの大切さ」を問いかけている。
登場キャラクター
- トム
- 宝くじ券を購入後、いつものようにジェリーを追いかけるうちにボロ家へたどり着き、そこでテレビ番組を見て「大当たり」だったことに気づき狂喜乱舞。 やがて取材に訪れた報道陣の勧めで、その賞金をジェリーと山分けし自身の新居を建てようと決意する。
- 建設予定地へ向かったのち、雇った業者へ規定の建設費を支払い、自身とジェリーの豪邸建設が着工。新居建設を双眼鏡で観察する。
- だが建設計画を着工前に自身で十分検討しないまま施工本番に臨み、やがて「自身の家はジェリーの家より小さく見える」と思い込み敵対(ライバル)心を抱いた。準備不足と見切り発車が「我田引水」・「行き当たりばったりの言動」・「カスハラ」へ直結し、(「ジェリーの家より大きくしてほしい」を皮切りに)当初の施工指示書に無い設計変更要求を現場監督へ繰り返しては、その都度追加工費を支払っていく。
- そして作業員が休んでいるのを見て現場監督へ「さっさと仕事に戻れ」と文句を言うも、「労働協約で保障された休憩時間だから、急ぎなら自分でやれ」と断られたことに不満を募らせて自暴自棄になり、昼休み中ブルドーザーを勝手に運転して工事現場へ突っ込み・建設途上の新居を壊してしまった。このため「建て直しによる工期遅れと新たな追加工費発生」を自ら招いてしまう。その後はジェリーが持っていたプール設計図を・植木鉢に隠れて盗み見。のちにジェリー新居へのプール設置作業が始まったのを見て・自身もプールを欲しがり、(その旨を現場監督へ要望するも「プールは施工指示書に無いから、欲しければ自分で造れ」と断られたため)自力で完成させるも給水に失敗。水圧が強すぎて暴れたホースの水を建物内へ大量に突っ込ませ、建て直されたばかりの新居を全壊させるなど、手元の賞金は次々と追加工費に消えていく。
- ついに賞金は底をついて、追加工費を支払えなくなったため、建築業者は現場から撤退。残された建材と工具で新居を外観だけでっち上げるも、すぐ壊れてしまう。念願の新居は結局持てずじまいとなる末路を辿り、「事前準備をきちんと整え、(ジェリーに勝ちたい欲望を我慢し)黙って作業を見守れば良かった」と後悔するのであった。
- ジェリー
- 宝くじ券を購入後、トムから逃れるうちにボロ家へたどり着く。そこでテレビを点けると宝くじ当せん番号発表番組が放送されており、偶然にも大当たりとなってトムと一緒に狂喜乱舞し、取材に訪れた報道陣からの勧めで賞金をトムと山分けし自身の豪邸を建てることを決意。建設予定地へ向かい、トム同様規定の建設費を業者へ支払ったのち着工合図のホーンを鳴らす。
- トムとは異なり事前準備を整えてから施工本番に臨んでおり、作業中は(邪魔やカスハラをせず)黙って見守ったため、工事は順調に進んで追加工費を支払わずに済み、念願の新居を無事完成させた。最後は現場監督からの説明に耳を傾けつつ、給水が完了したプールに浮き袋座椅子を浮かべ、サングラスをかけてレモネードを飲みながらくつろいでいる。
- なお「自身に勝ちたい」と野望を抱いたトムが(我田引水&カスハラをして追加工費が膨らみ賞金を使い果たしたため)豪邸を持てずに終わったことは・最後まで知らなかった。
- トムの家を建てる業者の現場監督
- (前金として支払う50%の手付金と、10%の施主請負手数料がそれぞれ含まれた)規定の建設費をトムより受け取ると、部下を引き連れてトムの豪邸建設を着工。だが施工本番中、施工指示書に無い設計変更要求をトムに次々され、その都度請求した追加工費をトムより受け取っては「家を大きくしたければ追加の工費がかかる」「休憩時間は(会社や組合との)契約で保障されて設けられているのだから、急ぎなら自分でやれ」「プールが欲しければ自分で造れ。穴を掘りコンクリで固めて水を入れれば、素人でも造れる」などと伝える。
- やがてやけ(自暴自棄)になったトムにブルドーザーを盗まれ、建設途上の新居を壊されて・建て直しと工期遅れが生じたり、プールが欲しいと言ったトムが自ら造ったプールへの給水に失敗し、水圧が強すぎて暴れたホースの水を建物内へ大量に突っ込まれたため・建て直したばかりの新居が全壊したりと、作業を邪魔され、工期が予定より遅れて追加工費が膨らんだことに呆れる。
- 最後は追加工費をトムが支払えなくなると「工事には様々な経費がかかる。カネが無いなら家を持つのは諦めろ」と突き放し、(自分で家を建てるトムのために建材と工具を残して)現場から撤退。事前準備をきちんとせず、欲求不満による我田引水&カスハラと行き当たりばったりの言動をした末路をトムに突きつけた。
- ジェリーの家を建てる業者の現場監督
- 着工式典にて規定の建設費をジェリーより受け取ると、部下を引き連れてジェリーの豪邸建設を着工。工事の途中経過もジェリーへ報告した。
- 業者の作業員たち
- 現場監督の指示に従ってトム・ジェリーそれぞれの新居建設工事に従事し、昼休み中は現場へ出張してきたキッチンカーより昼食と飲み物を購入した。
- ジェリーの新居を建てていた作業員は・当初の計画通り工事を無事に終えることができたが、トムの新居を建てていた作業員は・昼休み中トムにブルドーザーを盗まれて工事現場を荒らされ、建設途上の新居を壊されたり、トムが自ら造ったプールへの給水に失敗し・水圧が強すぎて暴れたホースの水を建物内へ大量に突っ込まれたため、(トムに工事現場を荒らされて)建て直したばかりの新居が全壊したりと、トムの要求(カスハラ)に翻弄され続けた挙句、最後はトムが追加工費を支払えなくなったのを受け撤退している。
- キッチンカーの調理&販売員
- トムとジェリーの新居工事現場へ出張し、昼休み中の作業員へ昼食と飲み物を販売した。
- テレビ番組の司会者
- 宝くじの当せん番号を番組内で発表した。
- 報道陣
- トムとジェリーが宝くじ高額当せん者になった情報を聞きつけて取材に訪れ、賞金を半分ずつ山分けしてそれぞれ自分の豪邸を建てることをトムとジェリーへ提案した。
作品に登場する車両
- ミニクーパー
- 最初の場面で登場。トムとジェリーが追いかけっこをしていた道路の傍らに停められていた。
- BMW
- トムとジェリーがたどり着いたボロ家の駐車場に停められていたが、家同様・自力走行できないほどボロボロになっていた。
- 高級リムジン
- 施主のトムとジェリーを豪邸建設予定地へ運ぶイギリス・ロールスロイス社製の白塗り高級車。ドア数が一般乗用車より多い特別仕様車で、トムを乗せた車はドアが左右3対・ジェリーを乗せた車は左右16対それぞれある。
- トレーラーハウス
- 施主のトムとジェリーが新居建設期間中の仮住まいとして使用。ジェリーの家を建てる業者の現場監督は着工式典で、「新居に用いるタイルの色や素材は・お客様(ジェリー様)ご自身でお選び頂けます」「お車(トレーラーハウス)の中には・カプチーノやスコーンなどをご用意しております」とジェリーへ案内している。
- パワーショベル(バックホウ)
- 家屋やプールの土台を造るための穴を掘ったり、側溝・建材・土のうなどの吊り上げ運搬に使用。
- クレーン車
- 建材やプール本体の吊り上げ設置に使用。本作には一般道路を走行可能な小型クレーン車ではなく、(発電所やダムの建設など)大規模工事現場用のクローラークレーンが登場している。ジェリーは設置作業と給水が完了したプールに浮き袋座椅子を浮かべてくつろぎ、現場監督より「書斎の天井飾り施工と中庭の敷石施工が終わり、テニスコートも完成した」旨の説明を受けたのち、最後の場面では完成した豪邸の玄関前に配達された新聞を受け取り、隣のトムと挨拶を交わして自宅内へ入っていった(その後トムが「外観だけ自らでっち上げた新居」の玄関ドアを閉めると、衝撃で壁が外側へ倒れ、その内側にあった以前のボロ家もそれに伴う振動で全壊。トムはジェリーに勝ちたい野望を抱くあまり・我田引水とカスハラをしたのが仇となり、結局豪邸を持てずに終わってしまった)。
- コンクリートミキサー車
- 土台の型枠へ生コンを流し込む。トムが自ら(地面にスコップで穴を掘って)造ったプールへも生コンを流し込むが、バック誘導時に車両の真後ろへ立ち・停止させる位置を誤ったため、トムはミキサー車から降ろされた生コンに埋もれてしまう。そのうえトムは自ら造ったプールへの給水に失敗。(水道元栓を全開にしたため)強い水圧で暴れたホースの水を(屋根を突き破り、ホースもろとも1階まで転落する形で)建物内へ大量に突っ込ませ、(自暴自棄になりブルドーザーを暴走させたトムに壊されたため)建て直されたばかりの新居を全壊させてしまった。暴れたホースに振り回される過程では、東屋と自身をかたどった噴水モニュメントも壊してしまっている。
- ダンプカーと手押し一輪車
- 土砂・建材・土のう・セメントなどの運搬に使用(本作には一般道路を走行可能な中型や小型ダンプカーではなく、大型タイヤを装着したオフロードダンプが登場)。トムは豪邸建設業者を呼ぶ際、ダンプカーから降ろされた建材・土のう・セメントに埋もれてしまった。また追加工費を支払えなくなったため(トムの家を建てていた)業者が現場から撤退する際・トムは手押し一輪車の陰に隠れており、造りかけのまま放置された豪邸を見て(自分で家を建てるトムのため業者が現場に残した建材と工具を用い)慌てて自ら外観だけでっち上げるも、すぐ壊れてしまった。
- ブルドーザー
- 家屋建設場所の整地に用いられるが、昼休み中(「労働協約で保障された休憩時間だから、急ぎなら自分でやれ」と現場監督に言われたことに不満を募らせた)トムに盗まれて工事現場を荒らされ、建設途上の新居が(トムが暴走させたブルドーザーで)壊されてしまう(トムはブルドーザーをバックさせブレードで足場を壊したのち、前方へ急発進させて工事現場へ突っ込み新居本体を壊した)。
- キッチンカー
- 昼休み中の作業員たちへ昼食と飲み物を販売するバン型車両。
DVD
- 「トムとジェリーテイルズ・お仕事編」第2話に収録されている(4:3画面、ステレオ音声。再生時にメニュー操作で「日本語音声」・「英語音声」・「字幕なし」・「日本語字幕」・「日本語吹き替え用字幕」・「英語字幕」をそれぞれ選択可)。
関連項目
- カスタマーハラスメント(カスハラ)
- アリとキリギリス - イソップ童話の一つ。夏の間に食糧確保へ奔走したアリは雪に閉ざされる冬の間も食べていけたが、逆に怠けて歌ってばかりいたキリギリスは冬になるとひもじい思いをした。
- トムとジェリー
- トムとジェリーの短編作品一覧
- 仲間割れ - 1946年6月29日公開のハンナ・バーバラ期作品。トムがジェリーを退治しようとネズミ退治業者のブッチを呼び出したが、逆にそのブッチをトムが攻撃してしまい、最後は堪忍袋の緒が切れたブッチに仕返しされてしまう。
- お家はバラバラ - 1952年11月29日公開のハンナ・バーバラ期作品。ブルドッグ犬のスパイクが自ら新居を建てようと奮闘するが、邪魔するトムが幾度となくその新居を壊してしまい、最後はトムがスパイクの犬小屋を建てる役をやらされる。
- お好みサンド - 1963年7月27日公開のチャック・ジョーンズ作品。高級マンションに住んでいたトムがジェリーとの追いかけっこをした末、最後はジェリーに自身の部屋を乗っ取られ敗北した。
- 水兵さんも楽じゃない - 1966年4月4日発表のチャック・ジョーンズ作品。船積みされたチーズを盗み食いしたジェリーを捕まえるべく・トムは船に備え付けの消火用ホースで水をかけようとしたが、手元栓を開けても水が出ず戸惑っている隙にジェリーに消火元栓を全開にされ、強い水圧でホースが暴れだし海へ落とされてしまう。
- スピード狂 - 1958年発表のテックス・アヴェリー作品。本作のカーレース版。
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