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建設工事の完成を請け負う営業 ウィキペディアから
建設業(けんせつぎょう、英語: construction)とは、建設工事の完成を請け負う営業をいい、日本においては土木建築に関する工事で、建設業法に規定する建設工事の種類にある工事の完成を請け負う営業[注釈 1]をいう。第二次産業に含まれる。
特に注記がない場合、以降の記載は全て日本の建設業についての記述である。
建設業においては、発注者に注文を受けてから生産が始まり、発注者が施主となるため、建築物を「生産」するという意識は強いが、「販売」するという意識は薄い[1]。建設業において生産される建築物は、単品生産であり、多種多様な種類を持ち、生産される場所も異なる[1]。また、建設業は土地に依存し、自然条件の影響を受ける[1]。産業形態は複合化しており、総合組立産業(アセンブリ[要曖昧さ回避]産業)としての側面も有している[1]。なお、近年は、大手ゼネコンを中心として、「受注から造注へ」の流れも生じている[1]。建設業を営む企業の多くは、自ら建売住宅や分譲マンションなどを建設して販売することも多い。この場合、宅地建物取引業(不動産業)の免許も必要になる。また、系列グループに不動産会社を有することも多い。
建設の事業においては、事業開始をもって(特段の手続きをしなくても法律上当然に)労災保険関係が成立する。建設の事業においては労災保険の保険料を、元請負人において一括して申告納付することが義務付けられており(一定の要件を満たせば、手続きにより下請負人に保険関係を分割することが出来る)、事業所には労災保険関係成立票を見やすい場所に掲げることも法令により定められているので、上記の問題は「労災隠し」として厳正に処罰されることに留意されたい。
法人個人を問わず、工事を請け負う実態であっても、請負契約でなければ建設業ではないので、工事内容にあわせて人数を計算し、単価×日数で労働力を提供する[注釈 2]ものであるなら、一般的な雇用契約(従業員としての労働)、あるいは労働者派遣[注釈 3]に該当し、建設業の範囲からは外れ、建設業許可の対象外となる。この場合、雇用保険や厚生年金、健康保険は元の業者の従業員としての加入が必要である。
ただし、工事中における事故等で対象となる労働災害に代表される労働保険などでは、偽装的な労働者派遣にあっては万一の場合に保険が適用できないなどの問題が多く、山谷・あいりん地区・寿町地区等に代表される、いわゆる「ヤマ」や「寄せ場」に集まる日雇い労働者の雇用では社会問題に発展する場合がある。仮に雇用契約が存在するとしても、日雇い労働者は「日々雇用されるもの」という区分があり、労働条件の明示もなく雇用されている実態がある。保険が適用されるような重大事故となると問題が起きることがある。
建設業法上の許可は、別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる建設業に分けて与えるものとされている(第三条(建設業の許可))。例えばダクト工事は管工事業に含まれるなど、工事内容の例示もある。国土交通省による工事内容例示(外部リンク)
略号 | 上欄に掲げる建設工事の種類 | 下欄に掲げる建設業 |
---|---|---|
(土) | 土木一式工事 | 土木工事業(指定) |
(建) | 建築一式工事 | 建築工事業(指定) |
(大) | 大工工事 | 大工工事業 |
(左) | 左官工事 | 左官工事業 |
(と) | とび・土工・コンクリート工事 | とび・土工工事業 |
(石) | 石工事 | 石工事業 |
(屋) | 屋根工事 | 屋根工事業 |
(電) | 電気工事 | 電気工事業(指定) |
(管) | 管工事 | 管工事業(指定) |
(タ) | タイル・れんが・ブロツク工事 | タイル・れんが・ブロツク工事業 |
(鋼) | 鋼構造物工事 | 鋼構造物工事業(指定) |
(筋) | 鉄筋工事 | 鉄筋工事業 |
(舗) | 舗装工事 | 舗装工事業(指定) |
(しゅ) | しゆんせつ工事 | しゆんせつ工事業 (浚渫工事のこと、法律では「しゆんせつ」と表記) |
(板) | 板金工事 | 板金工事業 |
(ガ) | ガラス工事 | ガラス工事業 |
(塗) | 塗装工事 | 塗装工事業 |
(防) | 防水工事 | 防水工事業 |
(内) | 内装仕上工事 | 内装仕上工事業 |
(機) | 機械器具設置工事 | 機械器具設置工事業 |
(絶) | 熱絶縁工事 | 熱絶縁工事業 |
(通) | 電気通信工事 | 電気通信工事業 |
(園) | 造園工事 | 造園工事業(指定) |
(井) | さく井工事 | さく井工事業 |
(具) | 建具工事 | 建具工事業 |
(水) | 水道施設工事 | 水道施設工事業 |
(消) | 消防施設工事 | 消防施設工事業 |
(清) | 清掃施設工事 | 清掃施設工事業 |
(解) | 解体工事 | 解体工事業 |
法律上の厳密な定義ではないが、主に戸建住宅等を請け負う建築専門の地場産業の建設業者のことを、伝統的に工務店と呼ぶ事が多い。工務店は、個人やメーカー等から戸建住宅を請け負い、専門工事業者(いわば鳶、大工、左官、板金、電気、水道等の建築系の職人)の手配、管理その他工事全体を監督する役割を担う。
戸建住宅の建築の現場は、社長(親方)と職人が中心であり、社長(親方)には、職人の争いの仲裁をして、報酬の前金の都合を付け、責任者として地域住民の苦情に頭を下げて回る役割が求められる。そのため信用が第一であり、人格者であることが求められる。大企業の役員が言うような現場主義とは異なり、現場主義でなければそもそも戸建住宅の建築が不可能である。そのため、社長(親方)の目が届く範囲での規模の方がうまくいくことが多く、そのような形態の建設業者を工務店と呼び称するのである。
建築士の場合で、必要に応じその都度工事現場に行って職人の指導から工事監督をも行うが、直接工事を実施しないもの、また建築士事務所が設計監理で工務店は工事管理と、役割が分担するものもある。だが、その逆に、大工が経営する形態も多く存在する。田鎖郁男『そうか、こうやって木の家を建てるのか』(小学館、2011年)『建て主1187人調査レポート』(日経ホームビルダー編、日経BP社、2009年)などでわかるとおり、過去から日本では、設計から職人のマネジメントまで住宅建築に関するすべてを取り仕切っていたのは大工の親方・棟梁である。この大工の棟梁が発展した形が工務店であるともいえる。竹中工務店、一条工務店、穴吹工務店などゼネコン、サブコンといった建設会社の社名にも使用されるが、会社規模が違うだけでもとは上記の工務店と本質的な違いはない。
『全国優良工務店100選』(全国優良住宅協議会監修、日本建築出版社、2011年)では工務店のタイプわけを行っている。これによると従来型の棟梁型店、社内に建築士を抱えデザインで他社との差別化を図っている店、外部の建築家の設計による施工だけを行う店、ハウスメーカーの下請けや、特定工法のフランチャイズ業務が中心の店、特定の建材・設備などを使った住宅を商品化・シリーズ化して販売型の店、自社土地購入で建売住宅や売建住宅販売を展開する店などがみられるという。
近年はほとんどの工務店は上記の複合形スタイルでの経営状態である。またその影響やニーズから現在では工務店といっても様々なタイプがある。「工務店のネットワーク化――工務店の業界動向とグループ化の方向性」(『ヤノ・レポート』2011年3月号)、大内俊一『介護ビジネス進出の実務 中小建設業・工務店の強みを活かす』(日本実業出版社、2004年)、野崎進『大震災に強い家づくり 福島県郡山の地域工務店発!』(PHP研究所、2012年) などをみても、工務店の数だけその形態があると言っても過言ではない。
「東京で家を建てる 2006夏 東京都の工務店・ハウスメーカー・建築事務所情報42」(月刊ハウジング編集、リクルート、2006年) 「インタビュー 被災地の再生が工務店の使命」(『新住宅ジャーナル』2011年6月号)をみるとおり、工務店は、地域密着で営業していることが多く融通がきき、アフターケアもきめ細かく受けられる利点があるといえる。なお『建築雑誌』2011年4月号<特集>日本のデザイン×ビルド、を観るとおり、工務店に直接家を建てる依頼をするというのは、例外もあるが通常は工務店側に家の設計と施工の両方を委託する設計施工というスタイルとなる。
許可を取ることで、毎年の決算の届出等が義務付けられる一方、法違反(無許可営業)とならないこと、社会的信用が増すこと、経営事項審査を受け公共工事に参加できることなどのメリットがある。
建設業許可は5年更新制であり、有効期間が満了する前に更新の許可申請をする必要がある。直前の決算等において許可要件を満たしていないと、許可は下りない。許可期限前に更新申請すれば、許可が下りる下りないの判断があるまでは、従前の許可番号で営業ができる。
したがって、許可区分は、大臣特定、知事特定、大臣一般、知事一般の4種類となる。ひとつの業者が、「大臣」と「知事」若しくは複数の「知事」許可を同時に、又はある業種の許可を「一般」と「特定」を同時に取得することはない。ただし、業種が違えば、ある業種は特定、別の業種は一般で許可を取る場合はある。
許可年度を加えて、「特定建設業 建築工事業 国土交通大臣許可(特定-17)第○○○○号」などと表記される。これを明示した許可票を営業所及び工事現場の見やすい場所に掲げなければならない。この許可票を通称「金看板」と呼ぶ。許可年度が5年以上前の広告や許可票を散見するが、この場合、更新したのか確認することも重要である。
このうち、1.1.常勤役員および補佐者、2.専任技術者に関しては「名義借り」でなく、常勤の社員・役員や事業主であることが必須[注釈 5]であり、これらの資格者なしに許可を取ることはできない。許可取得・更新時だけでなく継続して必要であり、退職したり資格を失ったりした場合は、有資格者を補充するか、さもなくば建設業を廃業するしかない。
1.2.社会保険[注釈 6]に関しては、以下の要件が定められている。
建設業法上の建設業とは別に、労働基準法ほかの労働法制、及び職業安定法ほかの職業安定法制においても、建設業について独自の定義が存在する。
労働基準法における土木・建設業は、労働基準法別表第1の第3号にて、「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業」と定義されている[注釈 9]。
労働基準法における土木・建設業には、以下のような特徴がある。
労働保険徴収法における建設事業は、労働保険徴収法第12条第4項第3号にて、「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業」と定義されている[注釈 9]。同事業は、労働保険徴収法施行規則別表第1において、「建設事業」と総称されている。
労働保険徴収法における建設事業には、以下のような特徴がある。
職業安定法第32条の11および労働者派遣法第4条において、建設業務はいずれも「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務」と定義[注釈 12]されている。
職業安定法・労働者派遣法上の建設業務は、以下の行為が禁止されている。
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