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モルディブの立法府 ウィキペディアから
国民議会(こくみんぎかい、ディベヒ語: ރައްޔިތުންގެ މަޖިލިސް、英語: People's Majlis)は、モルディブ共和国の立法府である。
2008年憲法制定により、選挙制度は大きく変更された。
国民議会には、モルディブの立法権が帰属する(憲法第5条・第70条a項)。その具体的内容は、(1) 憲法の改正、(2) イスラムの教義に矛盾しないあらゆる法律案の採択、または法律の改正・廃止、(3) 行政権の監督、応答責任を有する行政権の保証、(4) 年度予算・補正予算の承認、(5) 法律に従った独立機関に関する決定、(6) 公的重要性をもつ案件に関する国民投票の実施、などを指す(同条b項)。国民議会はイスラムの教義に矛盾する法律を可決してはならない、と定められている(同条c項)。
モルディブ2008年憲法は、立法権は国民議会に属し(第5条)、行政権(執行権)は大統領に属し(第6条)、司法権は裁判所に属する(第7条)と定めている。ここで問題となるのは、大統領と議会との関係である。大統領も、国民議会と同様の選挙権者による直接選挙で選出され(第108条)、(1) 1回目の投票で総投票数の50%を超える得票の候補、(2) 1回目の投票で50%を超える得票の候補が現れなかった場合には、上位2名の候補による決選投票の勝者、のいずれかが大統領となる(第111条)。
すなわち、議会の選挙結果と大統領の選挙結果とは直接リンクしないのである。さらに内閣については、副大統領(大統領が選挙中に提示した人物が就任。第112条b項)・大臣・司法長官により構成され、副大統領以外はその任命につき国民議会の承認を必要とする(第129条)。なお、議会内多数派の支持を受けて選出される「首相」(あるいは、それに相当する地位)は、現行のモルディブの国制では存在しない。
以上からモルディブの国制は、大統領制としては特に権力分立という面で典型的なシステムとなっていることがうかがえる。また、大統領と議会内多数派との不一致が起こりやすいことも見てとれる。初の民主的な大統領選挙である2008年大統領選では、モルディブ民主党のモハメド・ナシードが勝利したが、ナシードは2回目の投票(決選投票)での勝者であり、1回目の投票ではマウムーン・アブドル・ガユームに大差を付けられての2位だったのである[注釈 1]。すなわち、ナシード個人ないしモルディブ民主党単体として国民議会で優位な地位を築くことは、この時点ですでに厳しいことが明らかとなっていた。
現実に翌2009年の総選挙(国民議会選挙)では、大統領与党のモルディブ民主党は過半数を制するどころか、ガユームの影響力が強い野党のモルディブ人民党に遅れをとる第2党に甘んじてしまう[注釈 2]。このような大統領と議会との「ねじれ」は、ナシード政権が2012年初めの混乱、崩壊にまで至る原因の1つとなった。
党派別議席数 | |
---|---|
党派 | 議席数 |
政府候補 | 30 |
モルディブ民主党(MDP) | 8 |
その他 | 4 |
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