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同化(どうか、assimilation)とは、連声形(日本語の連声とは異なる)の一種である。
引用形の音素/A/が連声形では別の音素[A’]に変わること。同化現象を音韻論の定式で表わせば、
となる。
英語の同化現象のほとんどは「逆行同化(Regressive Assimilation)」と呼ばれるもので、これは音素/A/が後続する音であるYに影響されて、別の音素[A’]になる現象を指す。
1.調音位置の同化
歯茎破裂音/t, d/と歯茎鼻音/n/は、後ろに破裂音か鼻音が来ると、後ろの音の調音位置に逆行同化する。
(例)a bad person /ə bæ̀d pə:rsn/→[ə bæ̀b pə:rsn]
hot coffee /hɑ:t kɔ:fi/→[hɑ:k kɔ:fi]
また、歯茎摩擦音/s, z/も、無声硬口蓋歯茎摩擦音/ʃ/が後ろに来ると、逆行同化により、調音位置が硬口蓋歯茎になる。
(例)this shop /ðɪs ʃɑ:p/→[ðɪʃ ʃɑ:p]
さらに、複数規則変化、3単現の-(e)s、過去規則変化の語尾-(e)dも、逆行同化の典型的な例といえる。
日本語の動詞語幹末子音/w/に相・時制の接辞/+ta/が後続した場合、逆行同化により[t]として具現化される。
(例)買った/kaw+ta/ → [katta]
音素/A/が先行する音であるXに影響されて、別の音素[A’]になる現象を「順行同化(lag assimilation)」または「進行同化(Progressive Assimilation)」という。
1.調音位置の同化
語中の/ən/の前に両唇破裂音/p, b/又は軟口蓋破裂音/k, g/があると、順行同化によって、同器官的な音節主音的鼻音になる。
(例)happen /hæ̀pən/→[hǽpm]
taken /teɪkən/→[teɪkŋ]
2.調音方法の同化
有声歯摩擦音/ð/の前に、歯茎摩擦音/s, z/, 歯茎鼻音/n/, 又は側面接近音/l/があると、順行同化によって、その先行音と同一の子音に変化する。
(例)was the /wəz ðə/→[wəz zə]
on the /ɑ:n ðə/→[ɑ:n nə]
although /ɔ:lðoʊ/→[ɔ:lloʊ]
なお、有声歯摩擦音/ð/の調音方法の同化は、/ð/で始まる語(又は音節)がアクセントを持たない時によく見られる。
日本語の相・時制の接辞/+ta/。語幹が有声音で終わる場合、順行同化によって[da]として実現される。
(例)読んだ /jom+ta/ → [jonda]
朝鮮語の鼻音/n/。流音に連続する場合、順行同化または逆行同化によって、流音として具現化される。ただし朝鮮語では、音節中の位置で[r]と[l]が相補分布をなすため、具現形は[l]である。
(例)구일날 /ku+ir+nar/ → [ku:illal]「九日のひ」
上記で解説した逆行同化や順行同化は、先行する音素か後続する音素の何れか、つまり1つの音素によってもう1つの音素が変わるというモノである。これ以外にも、前後にある2つの音素が互いに影響し合い、結合することで別の音素になる「相互同化(Reciprocal Assimilation)」も存在する[1]。
相互同化の例として有名なものは、Could you~? /kəd ju/やDid you~? /dɪd ju/の/d/と/j/が/dʒ/という別の音素になるというものである。
(例)Could you~? /kəd ju/→[kədʒu](「クッヂュー」)
what you say /wʌt ju seɪ/→[wʌtʃu seɪ](「ワッチューセイ」)
上記で解説したものとは違い、音韻論の定式で表すと以下のようになる。
/A/→[A’] / Y __ Y(Yはφを含む)
日本語の母音間における有声破裂音の弱化である。
(例)蕎麦/soba/ → [soβa]
朝鮮語の破裂音/p, t, k/に鼻音/n, m, ŋ/が後続した場合、逆行同化により[m, n, ŋ]として実現される。
(例)입맛/ip+mat/ → [immat][食指]
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