吉永 祐介(よしなが ゆうすけ、1932年(昭和7年)2月14日 - 2013年(平成25年)6月23日)は、日本の検察官(第18代検事総長)。弁護士。岡山市生まれ。位階は正三位。
来歴・人物
日通事件、ロッキード事件など数多くの事件を東京地検特捜部で手がけ、俗にいう“現場派”として検事総長を歴任。2004年(平成16年)4月29日、瑞宝大綬章受章。
ロッキード事件の際、吉永副部長は新聞記者に対して「黙れ」「とにかく今後P3Cと書くことはならん」と言い、違反したら地検の会見には出させないと脅した。翌日からP3Cが紙面からきれいさっぱり消えたという。また、実質的な司法取引による刑事免責を与えられたロッキード社幹部のアーチボルド・コーチャンの証言について、吉永副部長は「米国人は聖書に手を置いて証言するから嘘は言わない」と新聞記者に言ったという[1]。警察から情報が漏れていると考えていた[2]。
氏名の正式な表記は「吉」は異体字(「士=さむらい」の部分が「土=つち」)、「祐」は旧字体(示へんに右)であり、検事総長の官記(及び辞令書)にもその表記が使用された。
略歴
- 1932年(昭和7年)2月 四姉弟の長男として衣料品販売業の家に生まれる。
- 岡山県西大寺中学校(現・岡山県立西大寺高等学校)を飛び級の4年で修了し、旧制第六高等学校へ進学。のちの通産事務次官の小長啓一が同窓にあたる。
- 学制改革で第六高等学校が岡山大学に包括され、法文学部を卒業。在学中に司法試験合格。
- 1955年(昭和30年) 検事任官。以後、東京地検、長野地検、札幌地検、東京地検八王子支部などに勤務。
- 1964年(昭和39年)3月 東京地検特捜部に異動。
- 1967年(昭和42年) 日通事件発生
- 日本通運の福島敏行前社長の取調べにあたる。
- 1972年(昭和47年)8月 法務省刑事局参事官に就任。
- 1975年(昭和50年)1月 東京地検特捜部副部長に就任。
- 1976年(昭和51年) 東京地検特捜部の副部長。
- ロッキード事件の主任検事を務める。
- 1978年4月(昭和53年) 東京地検特捜部長に就任。
- ダグラス・グラマン事件捜査の指揮を執る。
- 1980年(昭和55年)6月 最高検察庁検事に就任。
- 1982年(昭和57年)11月 東京地検次席検事に就任。
- 1984年(昭和59年)11月 宇都宮地検検事正に就任。
- 1985年(昭和60年)12月 最高検公判部長に就任。
- 1988年(昭和63年)12月19日 東京地検検事正に就任。
- この異動は検事総長の前田宏の直接指示による。
- このポストは次の大阪高検検事長で定年を迎える(実力ある捜査官だが中枢には行けない)検事のコースと見られていた。
- 1992年(平成4年)9月28日 東京佐川急便事件が発生
- 金丸信副総理が5億円を受け取りながら、政治資金規正法第22条の2の寄付金の量的制限違反の罪(罰金20万円以下)で略式起訴となったが、同様に1億円を受け取った金子清前新潟県知事が政治資金規正法第25条の虚偽記載の罪(禁錮5年以下)の疑いで正式起訴(後に、禁錮1年・執行猶予3年の判決)されたことに、怒りの電話や投書が東京地検に殺到し、石碑にペンキを投げつけられた。現役の検察首脳の一人である佐藤道夫札幌高検検事長(後に参議院議員)も9月29日付朝日新聞で批判する異例の事態となった。
- その後藤田の就任第一声が「吉永君はどこにいるのか」であった。
- 1993年(平成5年)7月2日 東京高検検事長に就任。(大阪高検からの異動は異例中の異例)
- 後藤田の存在と現場の「吉永コール」に応える形で、定年を迎えた藤永幸治の後任として就任。
- 1993年(平成5年)12月13日 第18代検事総長に就任(旧制大学出身以外としては初)。
- 1996年(平成8年)1月16日 任期を1年残して勇退。
- 1996年3月(平成8年) 弁護士登録。
- 1996年6月(平成8年) 株式会社ベネッセコーポレーション監査役。
- 1998年6月(平成10年) 東京海上火災保険株式会社監査役
- 2001年5月(平成13年) 株式会社大丸監査役
- 2004年(平成16年)4月 瑞宝大綬章受章。
- 2004年(平成16年)12月 同年に発生した輸入BSE牛肉偽装問題で、10名の逮捕者を出したハンナン・グループ立て直しを図る「コンプライス委員会」の委員長を2004年(平成16年)12月から2006年(平成18年)6月まで務めた。
- 2013年(平成25年)6月23日、肺炎により死去[4][5]。81歳没。歿日付で正三位に叙された。
参考文献
脚注
関連項目
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