千田廟公園
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明治期の宇品港(現在の広島港)築港事業(1884年〜89年)に貢献した広島県知事・千田貞暁を顕彰するため建立された公園である。千田の銅像および千田廟社を中心に、新開地(埋立地)として造成された宇品地区の歴史を示すモニュメントが集められており、かつての「宇品新開」(現在の宇品地区に相当する)の北西端付近(広島市南区宇品御幸1丁目)に位置する。
宇品港・宇品新開竣工後の1895年(明治28年)、この地に広島市・同進社が「宇品新開地紀念碑」を建立した[2]。その後、1915年(大正4年)には築港事業における千田の功績を讃え、「千田知事銅像兼宇品港築港記念碑」が同地に建立された。千田の像は宮本瓦全作によるブロンズ像で、右手に築港設計図を手にして広島湾を望む方向に立っており、台座は枢密顧問官・細川潤次郎撰による「宇品港止碑」となっている[3]。銅像の建立以降、千田の命日である4月23日には市民によって千田を偲ぶ祭りが催されたという[4]が、1925年(大正14年)には千田廟(千田廟社・千田神社)が建立されて同地近辺が公園として整備された。公園内に所在するその他のモニュメントとしては、日清戦争当時の1895年4月、従軍記者として宇品港を出航した俳人・正岡子規の句碑「行かば我 筆の花散る 處まで(ゆかばわれ ふでのはなちる ところまで)」(1922年9月建立)がある。
銅像は第二次世界大戦中の金属供出を免れたが、1945年(昭和20年)8月6日の原爆投下に際して他の施設とともに被災した。しかしいずれも大きな損傷はなく現在に至っている。
また、明治天皇の来広を記念して御幸通り沿いに植樹された御幸松[5]を記念する石碑(1909年1月建立)が、御幸通り拡張工事のため1970年公園内に移設され、新たな松も植樹されていたが、周辺道路の整備が終わった2010年(平成22年)に地元住民の要望で、公園内から元の場所近くの広島南道路沿いに再移設された。
千田知事銅像兼宇品港築港記念碑碑文
宇品港止碑
樞密院顧問官従ニ位勲一等文學博士男爵細川潤次郎撰文
明治ノ初山林ノ禁弛ミ伐採度ナク土砂流出シテ海口淤塞シ干潮ノ時ハ航路全ク絶エテ廣島ノ不便言フヘカラス
本縣知事千田貞暁君深ク之ヲ憂ヘ良港ヲ作ルノ必要ヲ見テ内務省ニ稟議ス
内務卿ハ工師ニ命シテ之ヲ計畫セシム
計畫ノ概要ハ京橋川ノ左岸皆實新開ノ西南隅ヨリ宇品島ニ至ル海面ニ堤塘ヲ築キ西南ノ風浪ヲ防キ土砂ノ流出ヲ止メ
宇品島ト金輪島トノ間ヲ碇船場トシテ且堤塘ニ沿ヒテ廣島市ニ通スヘキ車道ヲ作ルニ在リテ其ノ工費ハ八萬餘圓ナリ
時ニ地方費ノ支出甚多ク民力凋弊セルヲ以テ此ノ工費ヲ人民ニ課スヘカラス又國庫ノ補助ヲ請フヘカラス
是ニ於テ浅野候ヨリ舊藩士ニ與フヘキ三萬圓國庫貸與二萬圓ヲ之ニ充テ不足ノ三萬圓ハ有志者ノ義捐金ヲ以テ之ニ充ツル
コトニ定メ明治十七年二月案ヲ具シテ工事に著手センコトヲ請ヒ九月五日起工式ヲ舉ク
君親ラ其ノ地ニ臨ミ衆ト艱苦ヲ共ニシ功アルモノハ之ヲ賞シ過アレハ己ニ歸ス衆皆感激シテ其ノ勞ヲ忘ル
十九年九月十七日大風起リ海水暴漲シテ已ニ築造セル堤塘ハ水底ニ淹沒セリ
衆皆成功ヲ危フム君獨動カス豫定ノ標準位ヲ改メ全部ヲ修築スヘシトテ益之ヲ督勵シ二十二年十一月ニ至リテ其ノ工全ク竣ル
堤塘ノ長サ二千九百二十五間新開ノ地六十二萬餘坪工夫ヲ役スルコト百餘万人工費ノ總計三十餘萬圓ナリ
其ノ内道路新設ノ費用ハ安藝佐伯ノ二群及ヒ廣島市有志者ノ寄付ニ係ル
而シテ君ノ私債ニ属スルモノ十四萬圓ナリ
君ハ私財其他ヲ以テ之ニ充ツルモ猶足ラス遂ニ政府ニ申稟シテ三萬五千圓ノ補助ヲ請フテ其ノ允許ヲ得タリ
二十三年四月二十一日竣工ノ式ヲ舉クルニ當リ 明治天皇特ニ小松宮彰仁親王ヲ御名代トシテ式場ニ臨マシメ給フ
後四年日清ノ役此ノ港ヨリ皇軍ヲ輸送スルニ至リ衆皆其ノ軍事ニ必要ナルヲ悟リ君ノ先見ノ明ニ服ス
朝廷ニモ君ノ勲等ヲ陞セ且男爵ヲ授ケ書記官以下ニ賞ヲ賜フ
爰ニ工事ノ顚末ヲ記シテ以テ將來ニ示スト云フ
公園の南隣には、1973年(昭和48年)まで広陵高等学校が存在していたが、現在は再開発されみゆきプラザ(イオンみゆき店・みゆきパーク・マンション)になっている。また電車通りを挟んで東方には広島大学附属中学校・高等学校、南東方向には県立広島病院が所在する。
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