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16を底とし、底およびその冪を基準にして数を表す方法 ウィキペディアから
十六進法(じゅうろくしんほう、 英: hexadecimal)とは、十進数の16を底とし、底およびその冪を基準にして数を表す方法である。
位取り記数法(N進位取り記数法)では、まず基数(base。集合の基数(cardinal)とは異なる)となる自然数 N に対して、
0、1、・・・、N-1
の数値に対応する数字の記法を対応させるので、下表のようにする(A〜F を英小文字にする場合もある)。
十進法 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
十六進法 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | A | B | C | D | E | F |
次に、これらを用いて
という数字列で表現する。(ただし、、 はそれぞれの 0 から F の数字であり、 とする)
この数字列が、
という数値であることを表すものである[1]。
上記の数字列の先頭にマイナス符号「-」を付けることで負数を表現できる。
ここで {ai} は整数部の位の値を表し、{bi} 小数部の位の値を表す。位の値は 0 から F までの整数である。整数部と小数部の区切りの点は小数点と呼ばれる。あるいはより形式的に、和の記号を用いて次のように表せる:
コンピュータでは、データをビットやオクテットを単位として表すことが多い。それぞれ二進表記の1桁、8桁で表現できる。 使える数は、前者は0と1だけが許されるが、後者は0〜255までに広がる。
後者には、十六進表記がよく用いられ、二進表記の4桁が1桁で表現できるので、二進表記より短く表すことができる。1オクテットは、2桁の十六進表記[2]で表現することができる。
十六進表記の1桁はニブルとも呼ばれる。
下記は具体例。左側はメモリアドレス。右側は十六進法(16進数)で表示された機械語やデータなど。この例ではアルファベットは小文字が使われている。ディスプレイに表示する時は、可読性を高めるために2文字や4文字ごとに空白をはさむことが一般的である。
00000000 57 69 6b 69 70 65 64 69 61 2c 20 74 68 65 20 66
00000010 72 65 65 20 65 6e 63 79 63 6c 6f 70 65 64 69 61
00000020 20 74 68 61 74 20 61 6e 79 6f 6e 65 20 63 61 6e
00000030 20 65 64 69 74 0a
十六進表記はよく使われるので、プログラム言語ではリテラルとして特別な表記が準備されていることが多い。一般に、大文字の A〜F と小文字の a〜f を区別しない。
(1000)16 の表記の例を挙げる。
表記例 | 言語・処理系 | 備考 |
---|---|---|
0x1000 |
整数リテラルを記述する場合。 | |
\x1000 |
|
文字リテラルや文字列リテラル中で文字コードを記述する場合。 |
#x1000 |
整数値の外部表現。 | |
က |
文字実体参照として文字コードを記述する場合。 | |
1000h あるいは 1000H |
整数イミディエートを記述する場合。この表記の場合、十六進表記が英字 (A 〜F ) で始まるときは、変数名などと区別するため、先頭に 0 を付けねばならないことがある。例: 0A000H | |
&h1000 |
整数リテラルを記述する場合。 | |
$1000 |
|
整数リテラルを記述する場合。主にモトローラ系のアセンブリ言語・マイコン類の資料。 |
読み方は十進表記の1000((いっ)せん)と区別するため、文字並びのまま読む(例えば、0x1000
は「ぜろ・エックス・いち・ぜろ・ぜろ・ぜろ」と読む)。慣用では「ヘキサの千」もしくは「千ヘキサ」と言った読み方も行われている。
上記の数字に付く h
や x
は英語で十六進法を意味する hexadecimal から取ったものである。十六進表記であることを明示している。
A - F の文字を用いて 9 以上の数字を表現する方法はコンピューター黎明期にはまだ一般的ではなかった。
時期 | 機種 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1950年代 | Bendix-14など複数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
1950 | SWAC[4] | u | v | w | x | y | z |
1956 | Bendix G-15[5][4] | u | v | w | x | y | z |
1952 | ILLIAC I[6][4] | K | S | N | J | F | L |
1956 | Librascope LGP-30[7][4] | F | G | J | K | Q | W |
1957 | Honeywell Datamatic D-1000[4] | b | c | d | e | f | g |
1967 | Elbit 100[4] | B | C | D | E | F | G |
1960 | Monrobot XI[4] | S | T | U | V | W | X |
1960 | NEC NEAC 1103[8] | D | G | H | J | K | V |
1964 | Pacific Data Systems 1020[4] | L | C | A | S | M | D |
1980 | Б3-34(ソビエトのプログラム電卓) | − | L | C | Г | E | " "[9] |
十六進表記 | 十二進表記 | 十進表記 | 八進表記 | 二進表記 |
---|---|---|---|---|
(0)16 | (0)12 | (0)10 | (0)8 | (0)2 |
(1)16 | (1)12 | (1)10 | (1)8 | (1)2 |
(2)16 | (2)12 | (2)10 | (2)8 | (10)2 |
(3)16 | (3)12 | (3)10 | (3)8 | (11)2 |
(4)16 | (4)12 | (4)10 | (4)8 | (100)2 |
(5)16 | (5)12 | (5)10 | (5)8 | (101)2 |
(6)16 | (6)12 | (6)10 | (6)8 | (110)2 |
(7)16 | (7)12 | (7)10 | (7)8 | (111)2 |
(8)16 | (8)12 | (8)10 | (10)8 | (1000)2 |
(9)16 | (9)12 | (9)10 | (11)8 | (1001)2 |
(A)16 | (A)12 | (10)10 | (12)8 | (1010)2 |
(B)16 | (B)12 | (11)10 | (13)8 | (1011)2 |
(C)16 | (10)12 | (12)10 | (14)8 | (1100)2 |
(D)16 | (11)12 | (13)10 | (15)8 | (1101)2 |
(E)16 | (12)12 | (14)10 | (16)8 | (1110)2 |
(F)16 | (13)12 | (15)10 | (17)8 | (1111)2 |
二進表記から十六進表記に変換する方法を、以下に示す。
この方法は桁数に関わらず通用する。例えば、(100110010111010)2 は (0100, 1100, 1011, 1010)2 であるから、(4CBA)16 となる。
小数部分の変換方法は、次のとおり。
したがって、(111010.110101)2 = (3A.D4)16 である。この方法は桁数に関わらず通用する。
正の整数 m を十進法から十六進法に変換するのは次のようにする。
余りを求めた順の逆に並べると、それが十六進法に変換された結果になる。
例:36864を十六進法に変換する。
16)36864 36864=160×36864
16) 2304…0 36864=161× 2304+160×0
16) 144…0 36864=162× 144+161×0+20×0
9…9 36864=163× 9+162×0+21×0+20×0
よって 3686410 = 900016 である。
割り切れない小数の循環部は下線で示す。「10」となる十六には因数に奇数が含まれていないため、1/3や1/5といった「1÷奇数」が全て割り切れない。小数を分数化しても、「m/奇数」となる小数が全く現れない。従って、偶数も、1/6{1÷(2×3)}や1/A{1÷(2×5)}といった「1÷奇数で割り切れる偶数」は割り切れない。六の倍数も十の倍数も逆数にすると全て割り切れないので、単位分数は無限小数が充ち溢れ、逆数が有限小数になる例は2の冪数だけになる。
十六進小数 | 六進既約分数 | 十進既約分数 | 六進小数 | 十進小数 | 十二進小数 | 二十進小数 |
---|---|---|---|---|---|---|
0.1 | 1/24 | 1/16 | 0.0213 | 0.0625 | 0.09 | 0.15 |
0.2 | 1/12 | 1/8 | 0.043 | 0.125 | 0.16 | 0.2A |
0.3 | 3/24 | 3/16 | 0.1043 | 0.1875 | 0.23 | 0.3F |
0.4 | 1/4 | 1/4 | 0.13 | 0.25 | 0.3 | 0.5 |
0.5 | 5/24 | 5/16 | 0.1513 | 0.3125 | 0.39 | 0.65 |
0.6 | 3/12 | 3/8 | 0.213 | 0.375 | 0.46 | 0.7A |
0.7 | 11/24 | 7/16 | 0.2343 | 0.4375 | 0.53 | 0.8F |
0.8 | 1/2 | 1/2 | 0.3 | 0.5 | 0.6 | 0.A |
0.9 | 13/24 | 9/16 | 0.3213 | 0.5625 | 0.69 | 0.B5 |
0.A | 5/12 | 5/8 | 0.343 | 0.625 | 0.76 | 0.CA |
0.B | 15/24 | 11/16 | 0.4043 | 0.6875 | 0.83 | 0.DF |
0.C | 3/4 | 3/4 | 0.43 | 0.75 | 0.9 | 0.F |
0.D | 21/24 | 13/16 | 0.4513 | 0.8125 | 0.99 | 0.G5 |
0.E | 11/12 | 7/8 | 0.513 | 0.875 | 0.A6 | 0.HA |
0.F | 23/24 | 15/16 | 0.5343 | 0.9375 | 0.B3 | 0.IF |
一桁同士の計算:
|
Hexadecimalはギリシャ語で6 (ἕξ, hex) を意味するhexa-と、ラテン語で10番目 (tenth) を意味する-decimalの複合語。ウェブスター新国際オンライン版第3版によるとhexadecimalは完全ラテン語由来のsexadecimalの代替語である(Bendixのドキュメントにも同様の記述がある[5])。Merriam-Webster's Collegiate Dictionaryにおけるhexadecimalの初出は1954年で、当初より現在に至るまで国際科学用語ISVに分類されている。ギリシャ語とラテン語を混ぜ合わせた造語法はISVでは一般的にみられる。六十進法を意味するsexagesimalはラテン語の接頭子を保っている。ドナルド・クヌースはラテン語で16進数を表すとするならばsenidenaryか、または恐らくsedenaryが正しいのではないかとしている(同じ作り方で考えればbinary (2進数)、ternary (3進数)、quaternary (4進数)となり、この流れでいえばdecimal (10進数)とoctal (8進数)も、それぞれdenaryとoctonaryが正しいことになる)[10]。アルフレッド・B・テイラーは16進数を不便な数字だとして嫌っていたが、19世紀にsenidenaryとして16進数を研究していた[11][12]。シュワルツマンによると、ラテン語から考えればsexadecimalが自然だが、コンピュータのハッカーたちは略語にsexを使うだろうと話した[13]。語源的に完全ギリシャ語で考えればhexadecadic(ギリシア語: ἑξαδεκαδικός hexadekadikós)が正しいと考えられる(ただし現代のギリシャではdecahexadic(ギリシア語: δεκαεξαδικός dekaexadikos)が使われている)。
単位系の十六進法では、数は十進法を用いて表記し、16に至ると単位を繰り上げる方法を採る。
尺貫法の質量の単位の一部にも十六進法が用いられる。
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