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刃(は、やいば、英: blade)とは、対象を切断あるいは切削する機械要素または構造のことである。
一般に刃(刃物)というと、硬質な素材で作られた道具であるが、刃自体は手に持って利用することを前提としない。刃物は、道具として利用するために刃に手に持つ部分を付与したものである。刃はそれ自体では硬質の素材を目的に沿うように形を整えたもので、その用途にもよって様々な形状が存在する。
刃は、力学的な視点からすると、対象に対しての圧力を可能な限り細い面積(可能であるなら線)に集中させるための道具であるため、先端部は細く薄く作られる。その基本形はくさびと同一である。ただ、力を加えた場合に破損しては意味がないため、用途に応じた補強が成されている。最も単純な刃の形式は、強い張力に耐える繊維である。ゆで卵やチーズなどを切断するために使われる金属線などを思い起こしてもらいたい。柔らかい粘土の塊であれば、糸などでも切断は可能である。
ただ、一般にイメージされるところの刃というと、主に刃物に象徴される金属製の薄板で作られた道具である。この金属板は、薄くなった面を対象に押し当て切断あるいは切削する。
なおこういった構造を加工によって形作ることを刃付け(はつけ)という。ただし刃付けには鋼の焼入れなど、素材の硬化処理を前提とするものがある。
刃付けは精密加工であることから、古くから研磨による加工が行なわれている。しかし剥離しやすい性質のある結晶やガラス質の塊は、砕いた切片中に現れる鋭利な角をそのまま利用することも可能で、こういった割り砕いた切片を刃として利用する形態には、打製石器が挙がる。
研磨による刃付けでは、砥石など細かく硬質な粒子が固まって出来た物品を利用したり、加工される素材よりも硬質なやすりで削り取ったりして成形される。その際に刃の角度を調整したり、研磨物の粗さを選ぶことでその刃物用途に向いた刃を付けることができる。より大量生産に向く様式ではプレス加工で刃の大まかな形を作り、その細部を研磨で整える方法がとられており、使い捨ての剃刀や廉価な包丁などに利用されている。
形状は大別して片側だけを加工して刃を付ける片刃と左右両側を加工してV字状に刃を付ける両刃に分かれる。なお「両刃」という言葉については剣状の両側に刃がつく刃物に対して使われる場合がある。この剣状の刃物に関しては「諸刃」という言葉が使われるが、この諸刃という言葉もV字状の刃に対して使われる場合があり、両刃と諸刃の明確な使い分けはなされていない。 片刃は刃の角度をより鋭角に作れることから切削に向き、両刃は切り進めるときに進行方向をコントロールしやすく、対象物を均等に切断する用途に向く。
細かい形状では刀身の側面を平面上に加工するフラットグラインド、膨らみを持たせた形状に側面を加工する蛤刃(コンベックスグラインド)、凹面状に加工したホローグラインドなどがある。
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なお、刃の構造は基本的に「線に力を集中する」というだけのものであるため、これは鋭利な角さえ持続できるなら、それは鈍角でも構わない。こういった加工の形態は一般に切削加工という。切削対象の厚みが余りない場合なら、ほとんど直角の角でも用を成す。工業用のバイトなどは極めて鈍角の刃であるが、対象を薄く削るため問題なく、むしろ強い力がかかることから薄い金属片ではすぐに磨耗してしまう。削り出し加工ではこういったバイトを旋盤やボール盤に固定して機械の動力を使って行われる。ドリルの刃も、こういった鈍角だが角は鋭利なものが利用される。
機械に取り付けられた「刃」と呼ばれる構造は様々な形態があるが、この中には「鋸刃」(→鋸)も含まれる。鋸刃は一見すると大きく凹凸のある刃先であるが、更に拡大してみると切断方向に対して水平に並んだ大量の細かい刃によって、対象を削り取るようにして切削していることがわかる。ただし鋸刃の場合には、この連続した刃の集合一つ一つではなく、その全体で一つの刃だとみなされる。また木材を切る鋸刃では、木が弾力のある素材であるため、線上の切削面に対してだけではなく、刃の側面をも同時に切削するような構造になっており、これによって切断中に鋸刃の左右から締め付けられ刃先が抜けなくなる事態を防いでいる。
英語でEdgeは刃のみを指し、Bladeは薄い板もしくは刀身(刃から峰まで)を意味する。
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