Loading AI tools
アントニン・ドヴォルザークが1893年に作曲した交響曲 ウィキペディアから
交響曲第9番 ホ短調 作品95, B. 178 は、アントニン・ドヴォルザークが1893年に作曲した交響曲であり、ドヴォルザークが作曲した最後の交響曲である。一般に『新世界より』(または『新世界から』、英語: From the New World、ドイツ語: Aus der neuen Welt、チェコ語: Z nového světa)の愛称で親しまれており、かつては出版順により『交響曲第5番』と呼ばれていた。
音楽・音声外部リンク | |
---|---|
全曲を試聴する | |
Dvořák:9. Sinfonie (»Aus der Neuen Welt«) - アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮hr交響楽団による演奏。hr交響楽団公式YouTube。 | |
Dvořák:Symphony No.9 'From the New World' - エリアフ・インバル指揮ガリシア交響楽団による演奏。ガリシア交響楽団公式YouTube。 | |
Dvořák's 9th Symphony - マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団による演奏。コンセルトヘボウ公式YouTube。 |
ドヴォルザークは1892年に、ニューヨークにあるナショナル・コンサーヴァトリー・オブ・ミュージック・オブ・アメリカ(ナショナル音楽院)の院長に招かれ、1895年4月までその職にあった。この3年間の在米中に、彼の後期の重要な作品が少なからず書かれており、「作品95」から「作品106」までがそれである。
この作品は『弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調《アメリカ》』(作品96, B. 179)、『チェロ協奏曲 ロ短調』(作品104, B. 191)と並んで、ドヴォルザークのアメリカ時代を代表する作品である。ドヴォルザークのほかの作品と比べても際立って親しみやすさにあふれるこの作品は、旋律が歌に編曲されたり、BGMとしてよく用いられたりと、クラシック音楽有数の人気曲となっている。オーケストラの演奏会で最も頻繁に演奏されるレパートリーのひとつでもあり、日本においてはベートーヴェンの『交響曲第5番 ハ短調《運命》』、シューベルトの『交響曲第7番(旧第8番)ロ短調《未完成》』と並んで「3大交響曲」と呼ばれることもある。
『新世界より』という副題は、「新世界」のアメリカから故郷ボヘミアへ向けてのメッセージ、といった意味がある。全般的にはボヘミアの音楽の語法により、これをヨハネス・ブラームスの作品の研究や『第7番 ニ短調』(作品70, B. 141)、『第8番 ト長調』(作品88, B. 163)の作曲によって培われた西欧式の古典的交響曲のスタイルに昇華させている。
上述のようにこの曲は、ドヴォルザークのアメリカ滞在中(1892年~1895年)に作曲された。アメリカの黒人の音楽が故郷ボヘミアの音楽に似ていることに刺激を受け、「新世界から」故郷ボヘミアへ向けて作られた作品だと言われている。こうしたことから「アメリカの黒人やインディアンの民族音楽の旋律を多く主題に借りている」と解説されることがしばしばあり、後述するように既存のアメリカ民族音楽とこの曲の主題との間に類似性がみられるという指摘もある。しかし、ドヴォルザークは友人の指揮者オスカル・ネドバル宛ての書簡に
「私がインディアンやアメリカの主題を使ったというのはナンセンスです。嘘です。私はただ、これらの国民的なアメリカの旋律の精神をもって書こうとしたのです」
と記しており、既存の素材からの直接的な引用については明確に否定している。
初演は1893年12月16日、ニューヨークのカーネギー・ホールにて、アントン・ザイドル指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック協会管弦楽団による。初演は大成功だったと伝えられている。
楽譜は、初演前日の1893年12月15日に[要出典][注釈 1]ドイツのジムロック社から出版された。出版に際し、アメリカにいるドヴォルザークが校正を行うことは地理的距離のゆえに困難であったため、ブラームスをはじめとする在欧の校正者が代役を務めた。このことはすなわちドヴォルザーク本人のチェックを経ずに出版されたことを意味しており、結果として内容に多くの疑問点が残るものとなっている。このときにアメリカからドイツに送られ出版原稿として用いられた総譜の写しが行方不明のため参照できないことも相俟って、それらの疑問点をめぐるさまざまな論考や解釈が存在し、ドヴォルザークの真意がどのようなものであったかについては議論が絶えない[2]。2022年現在、自筆総譜や初版楽譜など現存する各種の資料を比較検討し、解釈に反映した楽譜が複数出版されている。
持ち替えは一部で存在するものの、全体としては伝統的な2管編成に近い。楽器の用いられ方についてしばしば議論される箇所があるほか、逸話も多数存在する。
フルート 2(ピッコロ持ち替え 1)、オーボエ2、イングリッシュホルン1、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ1、ティンパニ、トライアングル、シンバル、弦五部(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
全4楽章、演奏時間は第1楽章提示部の繰り返しを含めて約45分(ただし、第2楽章のテンポ設定によっては、この繰り返しせずに45分を超える場合があり、実際にそのような録音も存在する)。アメリカの音楽の精神を取り入れながらも、構成はあくまでも古典的な交響曲の形式に則っており、第1楽章で提示される第1主題が他の全楽章でも使用され、全体の統一を図っていることが特筆される。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.