井上 理恵(いのうえ よしえ)は、日本の近現代演劇・戯曲の研究者。桐朋学園芸術短期大学名誉教授。元吉備国際大学社会学部国際社会学科教授。理惠の名は旧字が本名。2019年から執筆時に井上理惠を使用。
東京生まれ。6歳から日本舞踊市山流家元に日本舞踊を習う(市山松鳳)。家族が宝塚歌劇団や歌舞伎・新派などを好んだため、幼少時からそれらの舞台を数多く観たという(井上著『菊田一夫の仕事』参照)。学習院時代には演劇部でフランス演劇の古典や現代劇を演じ、演出・製作にも関与した。早稲田大学大学院文学研究科修士課程演劇専修修了。河竹登志夫、鳥越文蔵に師事し、近現代演劇・戯曲を研究した。『近代演劇の扉をあける』で日本演劇学会河竹賞を受賞(2000年度)[1]。
ロンドン大学SOAS visiting fellow。日本演劇学会幹事(1993~2000年 学会ホームページ参照)・理事(2000年~現在)・副会長(2000年~2022年)。吉備国際大学社会学部教授(1995年~2010年)。吉備国際大学社会学部国際社会学科学科長(2005年4月~09年3月)。日本社会文学会関東甲信越ブロック代表。有島武郎研究会代表幹事。日本演劇学会河竹賞選考委員長(2010年~2016年)。日本近代演劇史研究会代表(2010年3月~現在)。日本文藝家協会会員。井上理惠の演劇時評公開中 https://3yos-vevue.seesaa.net/
- 『久保栄の世界』(社会評論社、1989年)
- 『戯曲 火山灰地』編 解説・解題(社会評論社 1992年)
- 『近代演劇の扉をあける ドラマトゥルギーの社会学』(社会評論社、1999年。2000年、第32回日本演劇学会河竹賞受賞)
- 『久保栄 火山灰地』編 解説・解題(新宿書房 2004年)
- 『ドラマ解読――映画・テレビ・演劇批評』(社会評論社、2009年)
- 『コレクション・モダン都市文化60巻 新劇と移動演劇』編 解説・解題(ゆまに書房 2010年)
- 『菊田一夫の仕事 浅草・日比谷・宝塚』(社会評論社、2011年)
- 『木下順二の世界 敗戦日本と向きあって』編著(社会評論社 2014年)
- 『川上音二郎と貞奴 明治の演劇はじまる』(社会評論社、2015年2月)
- 『川上音二郎と貞奴2 世界を巡演する』(社会評論社 2015年12月)
- 『川上音二郎と貞奴3 ストレートプレイ登場する』(社会評論社 2018年2月)
- 『清水邦夫の華麗なる劇世界』(社会評論社 2020年8月)
- 『島村抱月の世界 ヨーロッパ・文芸協会・芸術座』編著(社会評論社 2021年11月)
- 『村山知義の演劇史』(社会評論社 2022年11月)
- 『福田善之の世界』編著(社会評論社 2024年1月)
共著
- 『日本語の聴解 初級から上級まで』清水邦子と共著(社会評論社 1990年)
- 『樋口一葉を読みなおす』新フェミニズム批評の会編(學藝書林 1994年初版、1999年4版)
- 『「青鞜」を読む』新・フェミニズム批評の会編(學藝書林 1998年)
- 『20世紀の戯曲』日本近代演劇史研究会編 全三巻(社会評論社 1998~2005年)
- 『20世紀のベストセラーを読み解く 女性・読者・社会の100年』江種満子共編著 (學藝書林 2001 年)
- 『家族の肖像 ホームドラマとメロドラマ』岩本憲児編(森話社 2007年)
- 『岸田國士の世界』日本近代演劇史研究会編(翰林書房 2010年)
- 『村山知義 劇的尖端』岩本憲児編(森話社 2012年)
- 『井上ひさしの演劇』日本近代演劇史研究会編(翰林書房 2012年)
- 『演劇学論集 日本演劇学会紀要57』「宝塚歌劇百年、そして未来へ」シンポジウム:小林公一・井上理恵・川崎賢子・鈴木国男(司会)(日本演劇学会 2013年秋)学会紀要 | 日本演劇学会 (jstr.org)
- 『革命伝説・宮本研の劇世界』日本近代演劇史研究会編(社会評論社 2017年)
- [Rethinking Nature in Japan From Tradition to Modernity] edited by Ruperiti、Vesco and Negri ,Edizioni Ca 'Foscari ,Universita Ca 'Foscari Venezia ,2018 (The Struggle with Nature in Kubo Sakae's Land of Volcanic Ash )
- 『つかこうへいの世界 消された〈知〉』日本近代演劇史研究会編(社会評論社 2019年)
- 『日本の舞台芸術における身体 死と生、人形と人工体』ボナヴェントゥーラ・ルペルティ編 (晃洋書房 2019年)
- 『宝塚の21世紀 演出家とスターが描く舞台』井上理惠・鈴木国男・関谷由美子著(社会評論社 2020年)
その他
- 書評 武井昭夫著『演劇の弁証法 ドラマの思想と思想のドラマ』影書房 図書新聞2002年5月4日号
- 書評 平野啓一郎著『決壊 上下』新潮社 図書新聞2008年9月20日号
- 書評 斎藤偕子著『19世紀アメリカのポピュラー・シアター』論創社 図書新聞2011年4月16日(3010号)
- 脚色・演出「悪魔のりんご」(原作舟崎克彦)せんがわ劇場初演 2011年11月30日~12月2日6回公演
- 『清水邦夫の劇世界を探る』「『署名人』から始まる清水戯曲の魅力について」講演、於多摩美術大学・世田谷文学館
(多摩美術大学・世田谷文学館共同研究 2011年11月23日世田谷文学館上演「署名人」リーディング付DVD)
- 『清水邦夫の劇世界を探る』第二弾 「リーディングシアター 『エレジー 父の夢は舞う』」(DVD付)於世田谷文学館。「『エレジー 父の夢は舞う』――‹父›という存在」講演(多摩美術大学・世田谷文学館共同研究 2012年11月17・18日)
- 書評 伊坂幸太郎著『夜の国のクーパー』東京創元社刊 図書新聞2013年2月9日(3097号)
- 『清水邦夫の劇世界を探る』第三弾 「リーディングシアター 『楽屋』」、「『楽屋』の虚構性」講演(多摩美術大学・世田谷文学館共同研究 2013年11月16日17日 文学館・文学ホール DVD付)於世田谷文学館
- [Rethinking Nature in Japan From Tradition to Modernity ] International Symposium ;Ca' Foscari University of Venice; March 17~18 ,2014
- 書評 神山彰編著『忘れられた演劇』森話社 図書新聞2014年8月9日号
- 『清水邦夫の劇世界を探る』第四弾 「リーディングシアター『ぼくらは生まれ変わった木の葉のように』」(DVD付)於世田谷文学館、「『ぼくらは生まれ変わった木の葉のように』について」講演(多摩美術大学・世田谷文学館共同研究2014年11月8日)
- 『清水邦夫の劇世界を探る』第五弾 「リーディングシアター『昨日はもっと美しかった 某地方巡査と息子にまつわる挿話』」、「昨日はもっと美しかったとは何か……」講演(多摩美術大学・世田谷文学館共同研究2015年11月21日 DVD付)於世田谷文学館
- ドキュメンタリー映画「あるアトリエの100年」(岡田三郎助と岡田八千代)イメージブレーン製作 2016年9月公開
- 『清水邦夫の劇世界を探る』第六弾 「リ-ディングシアター 『イエスタデイ』」、「清水邦夫の『イエスタデイ』の持つ意味…」講演(多摩美術大学・世田谷文学館共同研究 2016年11月12日 於多摩美術大学)
- 書評 林廣親著『戯曲を読む術ー戯曲・演劇史論』笠間書院 東京大学国語国文学会発行『國語と國文學』2017年6月号
- 久保栄没後60年記念事業「林檎園日記」上演・講演「21世紀に生きる久保栄 「林檎園日記」の今」(2018年6月23日 札幌北翔大学ポルトホール)
- 毎日新聞 今週の本棚「この三冊」つかこうへいの三冊を紹介(2019年3月3日号)https://mainichi.jp/
- 日本演劇学会2019年度研究集会 西和賀セッション講演「川村光夫の劇世界」(2019年10月5日岩手県西和賀町銀河ホール)
- 文化庁/日本演出者協会主催〈日本の戯曲研修セミナーin東京2021〉講演「日本の近代演劇の女性作家概観」(2021年7月5日zoom)
- 文化庁/日本劇作家協会主催「日本劇作家協会公開講座2021夏 劇作家清水邦夫を語る」(2021年8月21日zoom) http://www.jpwa.org/
- 文化庁/日本演出者協会主催「日本戯曲研修セミナー@オンライン2022 雑誌『青鞜』を読む」講演:オープニングレクチャー(2022年10月20日zoom)https://www.jda.jp/
- NPO法人地球ことば村・ことば村サロン主催・講演「芝居のことばと日常生活のことば、同じor違う?」(2024年2月21日慶應義塾大学三田キャンパス)http://www.chikyukotobamura.org/
- 追悼文「追悼 川上美那子先生」『有島武郎研究』27号有島武郎研究会機関誌2024年5月https://arishimaken.hatenablog.jp/