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『事故調』(じこちょう)は、伊兼源太郎による日本の推理小説。2014年5月30日にKADOKAWAから単行本が刊行された。
事故調 | ||
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著者 | 伊兼源太郎 | |
発行日 | 2014年5月30日 | |
発行元 | KADOKAWA | |
ジャンル | 社会派ミステリ[1] | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判 | |
ページ数 | 372 | |
公式サイト | 事故調 KADOKAWA | |
コード | ISBN 9784041018323 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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元新聞記者である著者が神戸にいた頃、実際に明石の海岸で起こった陥没事故やそれに関する報道に着想を得て執筆された[1]。また、主人公を正義感で事件を追う若者にせず40歳手前の元刑事にしたのは、こういった事故では“何もしなかった”ことが問題となるため、主人公にも同じ後悔を抱えさせ、自らの過去とも向き合うような話にしたかったからだとインタビューで話している[1]。
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3年前、県警捜査一課の刑事だった黒木浩一は、犯人追跡中のミスで人質を死なせてしまい、警察を辞職、現在は市役所の広報課で文字通り「公僕」として黙々と働いていた。そんなある日、8年前に市長の肝煎りで作られた人工海岸で陥没事故が起こり、家族で遊んでいた9歳の少年が生き埋めになり、意識不明の重体に陥る。
元刑事という職歴を買われ、権田市長直々に、事故の特命調査を命じられた黒木は、市長の意をすぐに解し、市に事故の責任がないことを調査委員会より先に証明することになる。聞き取り調査では、市の関係者は口を揃えて、前例がない、慣例だ、想定外だと述べ、黒木はより一層事故は人災だとの思いを強くするが、市に責任があってはならないため、黒木は刑事時代の伝手で情報屋に調査委員会の委員長の身内の汚点を探らせ、調査に手心を加えるよう暗に脅す。その夜、帰宅した黒木の自宅に「陥没は事故ではない 殺人未遂だ」と告発状が届く。
疑念を抱きながらも調査を続ける黒木は、海岸の施工ファイルが1冊紛失していることが分かり、事故を隠蔽しようとする人間と、事故の真相を明らかにしようとする2つの勢力の存在があることに気が付く。間もなく、意識不明だった少年が亡くなったとの知らせが入り、黒木は市長の意を翻す決意をする。やがて、施工業者が所有していたファイルから、海岸完成間近に土のう袋が用途を隠して購入されていたことが判明する。入院中の施工業者に面会を求めるが、体調が思わしくなく、医師から面会を禁じられる。帰宅した黒木は、再び封書を受け取る。中には、権田市長の署名入りの念書を写した写真が入っていた。かつての同僚・阿南に依頼し、念書の相手について調べてもらうと、現在、県警捜査二課が内偵を進めていることが分かったが、詳しいことは分からないという。椎名と共に独自に調査をすると、志村市内で横行する不正軽油の利ざやから市長が政治資金を得ている事実を突き止める。
医師から面会を許されていなかった、施工の下請け業者・俵屋工務店の社長から会いたいと連絡を受け、黒木が病院に駆けつけると、俵屋は陥没を予見していたことや市の担当者に報告していたことを明かす。怒りが頂点に達した黒木は市長室に乗り込み、事実を公表すると宣言するが、市長は陥没については解決済みだと報告を受けていたこと、自身の不正についても認め、公表でも何でもすればよいと話した。黒木は、責めを負うべき、報告を怠った当時の責任者を見つけ出し、自殺しようとしていた彼を止め糾弾する。翌日、黒木の主導で事故の記者会見が開かれ、市長は辞職を表明、事故後すぐに次期市長選への立候補を表明していた枡島市議の不正についても明らかにしていく。責任をなすり付けようとする怒号が飛び交い、会見場が騒然とする中、黒木は保身に走る彼らを一喝する。
市長の辞職で市政は滞り、市役所には苦情を言う人々が絶えない。黒木は事故現場の近くで一人佇みながら、これで良かったのだろうかと思いながら、生きていれば後悔することが尽きないことを噛みしめるのだった。
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