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ヨーロッパにおける歴史 ウィキペディアから
ヨーロッパ史(ヨーロッパし)とは、ヨーロッパにおける歴史である。欧州史(おうしゅうし)とも呼ばれる。
歴史の時代区分によく用いられる古代、中世、近代という3区分法はヨーロッパの歴史を分析するために考え出された。この区分法の起源は、ルネサンスの人文主義者たちが、古代ギリシア・ローマ時代を理想とし、ルネサンスはその古代文明の再生であり、その間の中世を古代の文明が中断された暗黒時代と捉えたのがそもそもの始まりである。今日では、中世を「暗黒時代」と捉える歴史学者は皆無であるが、当時においては、このようにして栄光のギリシャ・ローマの時代を「古代」、「暗黒時代」の「中世」、そして今(ルネサンスの時代)を「近代」とする3区分法が用いられるようになった。
ルネサンス以降もこの3区分法は用いられつづけ、つい最近までヨーロッパの時代区分はこの3区分が一般的であった。しかし、歴史学の研究が進展する中で、中世と近代の間に「近世」を挟む提案がなされた。これは広く歴史学者に受け入れられ、現在では古代、中世、近世、近代の4区分が一般的に用いられるようになった。
古代、中世、近世、近代の境界は概ね以下の通りである。
なお、近代と現代の境界については、1980年代までは1914年の第一次世界大戦の開始以降を現代とする区分が一般的であった。しかし、1990年代以降は、1989年のベルリンの壁崩壊とそれに伴う冷戦の終結までを近代の枠組みの中で捉えることが多くなってきている。
古代においては、地域ごとに文明が栄えた。特に重要な地域は、都市国家とヘレニズムの世界を築いた古代ギリシアと、地中海における強大な大帝国を実現したローマ帝国である。
西ローマ帝国の滅亡とともに、中世ヨーロッパにおいて中世国家が築かれた。フランク王国と後継である分裂国家、そののちの中世国家の誕生により、中世のヨーロッパの基礎が作られた。それらは、国王と諸侯、貴族と奴隷による、ヨーロッパ封建社会となって存続した。
ヨーロッパの近世としては、大きな3つの時代と出来事である、ルネサンス(古代復興)、宗教改革(プロテスタントの誕生)、大航海時代(新航路、新大陸の発見)が起き、また王権神授説、重商主義、国王の常備軍を柱とする、絶対王政が栄えた。
絶対主義の後の思想として、啓蒙主義と自由の思想が現れた。フランス革命を初めとするヨーロッパ国民国家の思想とともに、ヨーロッパ各国は統一して、現在のドイツやイタリアなどが誕生した。そのまま、各国が国際政策と植民地競争によって、帝国主義、その逆の平等と革命の思想である社会主義が台頭した。各国の同盟競争の末に、第一次世界大戦が起きた。その後の第二次世界大戦ではドイツとイタリアにみられるファシズム連合と、アメリカ、ソ連、イギリス、フランスなどによる連合国が戦い、連合国が勝利した。その後、東西冷戦がはじまり、ソ連消滅とドイツ再統一とともに、冷戦は終結した。
現代のヨーロッパである。
地域の区分は日本人がヨーロッパ史を理解する上で、障害になることのひとつである。日本のような島国とは違って、ヨーロッパは陸続きであり、ヨーロッパの歴史は様々な民族の移動や侵入の歴史とも言える。このため民族の区分が現在の国境と合っておらず、日本では比較的簡単に収まりきる「国民史」という概念では簡単に捉えきることができないのである。
以下に「国民史」の形態で列挙するが、例えば、「中央ヨーロッパの歴史」とは広義的なドイツ語圏の歴史であり、「ドイツの歴史」というものを書く場合、これらの地域でのドイツ人の活動の歴史とどのように整合性を取っていくかということが問題になる。
また、時代による名称の違いも障害となる。日本では日常的に「イギリス」という言葉を用いるが現在の「イギリス」は18世紀中ごろに形成し始めたもので、それ以前は「イングランド王国」である。以下の「イギリスの歴史」は、18世紀中ごろまでの記述は「イングランド王国」の歴史である。すべてを「イギリス」としてとらえるのでは、イギリスの歴史を正しく認識していないし、スコットランドやウェールズ、アイルランドの歴史を全く無視していることにも繋がりかねない。
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