Loading AI tools
高利貸 ウィキペディアから
闇金融(やみきんゆう)とは、国や都道府県に貸金業としての登録を行っていない業者、もしくは正規に貸金業の登録を行っていながら出資法に違反する高金利を取る業者を指す[1]。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
貸金業を営む場合は国(財務局)や都道府県に貸金業としての登録を行う必要があるが、闇金融はこうした登録を行わずに出資法の制限を超える金利を課して人権を無視した取り立てを行うもの、または登録しながらも同様の犯罪を起こすものである[1]。
一般的に貸金業を営む場合には、貸付を行うための多額の資本金が必要となるが、ほとんどの闇金融は資本金を暴力団などの反社会的勢力から出資を受ける代わりに利息から得られた収益の一部を暴力団に上納している[2]。闇金融は暴力団などの反社会的勢力が密接に関係している場合がほとんどであるが、なかには反社会的勢力との関係を持たない個人闇金も存在している。
闇金融は例えば2万円を貸して10日ごとに1万2000円を利息として支払わせるというような手口が知られている(年利に直すと2,190%)。ダイレクトメールや携帯電話などを用いて勧誘したり、スポーツ新聞や成人向け雑誌などに広告を掲載、または電柱、公衆電話などに広告を貼り付ける違法広告も知られている。官報などを見て自己破産者などを対象にダイレクトメールを送り付ける場合がある。
当初は非常に低利な融資条件を提示するが、実際に貸す段になると上記のような超高金利を求めるというパターンが多く、保証金などの名目でお金を騙し取り融資をしない融資詐欺(貸します詐欺)もある。
主に電機メーカー、自動車メーカー、都市銀行などの大手企業や上場企業に酷似した商号やロゴを使用してあたかもグループ会社であるかのように詐称し、「○○のグループ会社なら安心」と誤認させ営業することが多い(これらの企業とは全く無関係)。ヤミ金の本拠地は東京、横浜、大阪、名古屋、札幌、福岡といった大都市圏にあることが多い。もっともHP上に住所、代表者の氏名、貸金業登録の許可番号が明記されていない (あっても偽の番号)ので一般的には見分けがつきやすいが、注意を要する。
貸金業法により、無登録業者が貸付の媒介、チラシ等による貸付の勧誘を行い実際の貸付に至らなかった場合でも無登録営業として法律に抵触することになる。
厳密な定義はなされていないが、下記のいずれかひとつでも該当すれば闇金融に当たるとされている。
闇金融の中には、下に列挙する貸金業法違反行為を犯し、あるいは違反すれすれの行為により取立てを図る業者もある。
その他の手口として、
※財務局などから無登録業者として公表、あるいは経営者が摘発されたものの一例。当然ながら社名にある大手企業とは(資本・人材を含めて)一切無関係である。中には前述のように、大手企業のロゴやイメージカラーを無断で使用し、あたかもグループ会社であるように詐称したものもある。
また、最近見かけるケースでは、一見、大手消費者金融と全く同じ名称の広告DMに見える郵便物(郵便はがきで印刷されることが多い)を使い、書かれているフリーダイヤルに電話をかけると実際は闇金融で違法な取立てに遭うという事件も多発している。
これらはその金融会社の住所が全く記載されていないか、記載先の住所と消印の郵便局の所在地が明らかに掛け離れている(本社が東京都豊島区と書いてあるのに、消印が広島県広島市内や神奈川県横浜市内の郵便局であるなど)のと、郵便はがきに大手消費者金融の広告をそのまま市販のスキャナーで取り込み、電話番号を書き換えた上でカラープリンターでカラーコピー印刷をしただけの粗悪なものがほとんどなので区別は可能であるが、大手の消費者金融の広告と勘違いしてしまうケースが多い。大手・準大手の消費者金融のほとんどはダイレクトメールでの融資の勧誘を一切行っていないので、これらを名乗るダイレクトメールは偽物と考えてよい。
ソフト闇金とは、丁寧な対応や取り立てが厳しくないことを売りとしている闇金融のことであり、基本的には店舗を持たず電話や自社のHP、ツイッターなどのSNS上で営業を行なっている。
俗称等 | 意味 | 年利換算(単利) | 年利換算(複利) |
---|---|---|---|
トイチ | 10日で1割 | 365% | 3,143% |
ゴイチ | 5日で1割 | 730% | 105,015% |
トサン | 10日で3割 | 1,095% | 1,441,798% |
トゴ | 10日で5割 | 1,825% | 267,504,319% |
タテゴ[注釈 15] | 1週間で5割 | 2,607% | 152,020,222,822% |
トジュウ | 10日で10割 | 3,650% | 9,718,401,599,823% |
アスイチ・カラス金 | 1日で1割 | 3,650% | 1.283305580×1017% |
週倍 | 1週間で返済額2倍 | 5,214% | 4.972377122×1017% |
ヒサン[注釈 16] | 1日で3割 | 10,950% | 3.884396839×1043% |
具体的な対策法はまず、怪しいと感じたら各都道府県の消費者センターやヤミ金ホットラインに相談することである。いずれにせよ少しでも怪しいと感じたら絶対に借りないことが第一である。
無登録貸金業の場合には貸金業法違反、出資法の上限金利(2010年6月8日の改正では年20.0%)を超える金利を設定した場合には出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)に違反する。その他の違法行為についても刑事罰や、登録貸金業者であれば行政処分の対象となる。貸金業登録の有無にかかわらず、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)に抵触すれば加重処罰される。
ヤミ金対策に積極的に取り組んでいる弁護士や司法書士が存在し、交渉力がある弁護士や司法書士の場合は、即日で取り立てが無くなることが多いようである。
最高裁判所判例 | |
---|---|
事件名 | 損害賠償請求事件 |
事件番号 | 平成19(受)569 |
2008年(平成20年)6月10日 | |
判例集 | 第62巻6号1488頁 |
裁判要旨 | |
1 社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が,これによって損害を被るとともに,当該醜悪な行為に係る給付を受けて利益を得た場合には,同利益については,加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく,被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも,民法708条の趣旨に反するものとして許されない。 2 いわゆるヤミ金融の組織に属する業者が,借主から元利金等の名目で違法に金員を取得して多大の利益を得る手段として,年利数百%~数千%の著しく高利の貸付けという形をとって借主に金員を交付し,これにより,当該借主が,弁済として交付した金員に相当する損害を被るとともに,上記貸付けとしての金員の交付によって利益を得たという事情の下では,当該借主から上記組織の統括者に対する不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として当該借主の損害額から控除することは,民法708条の趣旨に反するものとして許されない。 (1,2につき意見がある。) | |
第三小法廷 | |
裁判長 | 那須弘平 |
陪席裁判官 | 藤田宙靖、堀籠幸男、田原睦夫、近藤崇晴 |
意見 | |
多数意見 | 全員一致 |
意見 | 田原睦夫 |
反対意見 | なし |
参照法条 | |
(1,2につき)民法708条,民法709条 (2につき)出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(平成15年法律第136号による改正前のもの)5条2項 |
グレーゾーン金利の撤廃により、消費者金融の審査が厳しくなり、消費者金融で融資を断られた者が闇金融に手を出すことが懸念されている。ただ、これまで多重債務者が消費者金融への利払いのために闇金融に手を出したり、消費者金融を利用できない自己破産者が闇金融に手を出すというケースがほとんどだったので、上限金利引下げにより一時的には闇金融が増えても、中長期的には多重債務者や自己破産者の減少により、闇金融は減少するという説もある。
2005年(平成17年)1月27日の福岡高裁判決(平成16年(ネ)第752号事件)を初めとする下級審判例にて、ヤミ金の貸付契約は公序良俗に反して無効とされた。さらに、平成20年6月10日最高裁判例(平成19(受)569号事件)により、ヤミ金による貸付金は民法708条の不法原因給付であり、被害者からヤミ金への損害賠償請求では、貸付金を利益相殺しないことが確定した[9]。
この二つの判例により実質的に、下記の事項が訴訟上認められた。
2007年1月20日より改正貸金業法により闇金の刑事罰が従前の「5年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金又はその併科」から「10年以下の懲役又は3000万円以下の罰金又はその併科」(貸金3条1項,同47条1項)に引き上げられ、恐喝の罪と同等以上となった。また、各都道府県警察による悪質金融事犯への取締強化で、2007年の検挙件数は484件(前年比50%増)となり、闇金は成り立たなくなってきているという意見もある。利用口座の凍結が行われていることもあり、2012年には被害額が統計開始以来最少の109億円まで落ち込んでいる[10]。
闇金融は債務者の返済が滞った場合、法的手段による債権回収は行わず、暴力的・脅迫的な取立てによる債権回収が行われる。このため自殺や夜逃げに追い込まれる多重債務者も少なくない。暴力的・脅迫的取立ては、借り手ばかりでなく、支払い義務のない家族・親族・近隣者にまで及ぶ。暴力的・脅迫的取立ての手段としては、電話が使われることが一番多いが、電報やFAX・手紙・貼り紙なども使用され、「お前を殺す」、「お前の家を燃やす」、「子どもをさらう」などの脅迫文言を使用した取立てによる債権回収が行われる[11]。
2008年7月14日放映のNHKスペシャルでは、生活苦(自己破産したり、病気で仕事ができないなど)のためにやむを得ず闇金融に手を出す人々がいつの時代にも必ず一定数おり、闇金融側からすると「いい餌食」となっている現状や、客と業者ではなく、個人から個人への融資の形をとって貸し付けるために摘発しにくく、文字通りの「闇」金融になっているケースを紹介し、こうした事態を打開しようと活動を始めている自治体が実際にはまだ岩手県と鹿児島県の2県しかなく、闇金融完全撲滅の前途が厳しいことが描かれていた。
2013年には、法的にも利息制限法を超える109.5%の利息が認められている質屋として名目上許可を得るという「偽装質屋」が問題となる[10]など、新たな手口も登場している。
インターネット掲示板、個人間融資掲示板などで問題となっている口座売買などを持ちかけられるなど被害が出ている。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.