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ムチレージは、ほとんどすべての植物と一部の微生物が生成する厚い糊状物質である。これらの微生物には原生生物も含まれ、原生生物は粘液を運動に利用する。原生生物の運動方向は、粘液が分泌される方向と常に反対である[1]。ムチレージは極性糖タンパク質であり、菌体外多糖である。植物のムチレージは、水分や食物の貯蔵、種子の発芽、膜を厚くするなどの役割を果たしている。サボテン(およびその他の多肉植物)と亜麻の種子は、特に粘液質の豊富な供給源である[2]。
菌体外多糖は微小凝集体を最も安定化させる因子であり、土壌中に広く分布している。したがって、菌体外多糖を産生する「土壌藻類」は、世界の土壌の生態系において重要な役割を果たしている。この物質は、例えば単細胞生物や糸状の緑藻類、シアノバクテリアの外側を覆っている。特に緑藻類の中でもボルボケール類は、ライフサイクルのある時点で菌体外多糖を生成することが知られている。菌体外多糖はほとんどすべての植物に存在するが、通常は少量である。タンニンやアルカロイドのような物質とよく結びついている[3]。
一部の食虫植物では、ムチレージに独特な目的がある。モウセンゴケ属やムシトリスミレ属などの植物の葉には粘液分泌腺があり、このようにしてできた「ハエ取り紙トラップ」を使って昆虫を捕獲する。[4]
ムチレージは食用にできる。保護膜を形成することで粘膜の炎症を和らげるため、医薬品として使用される。体内では水溶性で粘性の食物繊維として作用する。また、糞便を濃くすることが知られており、オオバコの種皮を含む食物繊維サプリメントに活用されている[5]。
伝統的に、マシュマロはマシュマロ属の植物(ウスベニタチアオイ)の粘液質な根の抽出物から作られていた。北アメリカの樹木の一種であるスリッパリーエルム(Ulmus rubra)の樹皮は、古くから鎮痛剤や咳止めとして使用されており、現在でもその目的で市販されている[6]。
水に混ぜたムチレージは接着剤として使用され、特にラベル、切手、封筒のフラップなどの紙製品の接着に使われてきた[7]。 さまざまな種類とさまざまな強さのムチレージは、ラベルを金属缶に、木材を陶器に、革を厚紙に接着するなど、その他の接着用途にも使用できる[8]。
納豆を発酵させる際、納豆菌が産生する細胞外酵素が大豆の糖と反応してムチレージを生成する。このムチレージの量と粘度が納豆の重要な特徴であり、納豆の独特の味と香りに寄与している。
モウセンゴケ属(Drosera)[9]とmムシトリスミレ属(Pinguicula)[10]の2種類の食虫植物が分泌するムチレージは、スウェーデンの伝統的なヨーグルトのような乳製品、フィールミョルク(Filmjölk)の製造に使われている[11][12]。
種子中のムチレージの存在は、植物種によっては、水ストレス耐性、アレロパシーによる競争、土壌粒子への付着による発芽促進など、重要な生態学的プロセスに影響を与える[13][14][15] 。また、放射線の被曝による損傷からDNAを保護する上で種子ムチレージの役割を示唆する著者もいる[16] 。種子あたり生産されるムチレージの量は、個体群の地域的な環境条件と関連して、種の分布範囲によって異なることが示されている[17]。
トウモロコシの一品種は、甘い粘液を分泌する気根を成長させる。シエラ・ミクセ(Sierra Mixe)はメキシコのオアハカ州の痩せた土壌でも無肥料で生育する背の高い品種で、そのムチレージは、高糖分、低酸素の環境で繁殖するバクテリアを通じて窒素固定を補助することが示されている[18]。
以下の植物や藻類は、一般的なものよりはるかに高濃度のムチレージを含むことが知られている。
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