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Karl Marx/Friedrich Engels Werke(ドイツ語: カール・マルクス・フリードリヒ・エンゲルス・ヴェルケ、日本語訳: カール・マルクス/フリードリヒ・エンゲルス著作集)は、第二次世界大戦後にドイツ民主共和国(東ドイツ)で刊行された、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの著作集である。ドイツ社会主義統一党中央委員会付属マルクス=レーニン主義研究所によって、1956年から1968年にかけて41巻が刊行された(最終的に43巻・索引3巻)。
カール・マルクス/フリードリヒ・エンゲルス著作集 Karl Marx/Friedrich Engels Werke | ||
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『資本論』が収録されたMEW第23~25巻 | ||
編集者 | マルクス・レーニン主義研究所、ローザ・ルクセンブルク財団 | |
著者 |
カール・マルクス フリードリヒ・エンゲルス | |
発行日 |
本文巻:1956-68年 第42巻:1983年 第43巻:1990年 日本語版:1959-91年 | |
発行元 | ディーツ出版社(Dietz Verlag Berlin) | |
ジャンル | 著作・草稿・書簡集 | |
国 | ドイツ民主共和国(東ドイツ) | |
言語 | ドイツ語 | |
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現在刊行中の『マルクス=エンゲルス全集』(通称『新MEGA』 後述)を除けば、マルクスとエンゲルスの著作・草稿・書簡をドイツ語で収録した最大のシリーズであり、そのため広く引用・参照されてきた。
また、単にMarx-Engels Werke(マルクス=エンゲルス・ヴェルケ)と通称され、MEW あるいは「ヴェルケ」と省略される。日本語版『マルクス=エンゲルス全集』(大月書店)の翻訳底本である。
19世紀後半から20世紀前半にかけてマルクス主義の影響が広がるなかで、マルクスとエンゲルスの著作を広く出版することが求められるようになった。そのため、既存の本の再刊だけでなく、著作集や書簡集が編まれた。マルクス主義を標榜するソビエト連邦が成立すると、1921年にマルクス主義の研究と普及を目的とするロシア共産党(ボリシェヴィキ)中央委員会付属マルクス=エンゲルス研究所が設立される。マルクス=エンゲルス研究所は、所長のダヴィト・リャザーノフの下に、マルクスとエンゲルスの生涯にわたるすべての著作や書簡を集めた「全集」の企画を立ち上げ、Marx-Engels Gesamtausgabe (旧MEGA)として1920~30年代に刊行を行ったものの、中断していた。他方で、1924年に開かれたロシア共産党(ボ)第13回党大会の決定に基づいて、『マルクス=エンゲルス著作集』(第1版)が発行された。ただし、この著作集第1版は翻訳に多くの歪曲や不正確な点があり、重要な著作が抜けていたり序文・索引・参考資料の誤りが含まれていたとされる[1]。
第二次世界大戦後、本格的な著作集が改めて企画され、編纂が行われた。これにより、ソ連共産党中央委員会付属マルクス=レーニン主義研究所(マルクス=エンゲルス研究所を改組・改称)によって1955年から1966年にかけてロシア語の著作集(第2版)が刊行され、さらにドイツ社会主義統一党中央委員会付属マルクス=レーニン主義研究所からドイツ語版が1956年から1968年にかけて併行してベルリンのディーツ出版社(Dietz Verlag)から刊行された(第43巻のみ労働運動史研究所から刊行。全46巻48冊)。本書は、マルクスとエンゲルスの著作や書簡などを網羅的に集めた「著作集」ではあるが、すべての著作・遺稿・草稿・書簡を集めた完全な「全集」ではなく、収録されていない文献がある。完全な「全集」は、本書のロシア語版の刊行終了後の1967年に、『資本論』刊行100周年を記念してソ連共産党とドイツ社会主義統一党が協定を結び、新しいMarx-Engels Gesamtausgabe (新MEGA)の編纂を行っている(1975年に刊行開始、現在も刊行中)。
本書の日本語訳は、大月書店の創業者である小林直衛と、村田陽一をはじめとする多くの研究者の参加によって、大月書店版『マルクス=エンゲルス全集』(同刊行委員会編)として1959年10月から刊行を始めた。「マル・エン全集」・「大月版全集」などと呼ばれる。1975年までに本文41巻・45冊を刊行し、その後、1991年にかけて補巻4巻および別巻4巻を刊行して完結した。足かけ32年間で全49巻53冊、約4万ページ、累計部数は143万部に及ぶ。現在は印刷技術の変化に伴って重版が出来なくなり絶版となったが、1996年に全ページを画像データ化した『CD-ROM版 マルクス=エンゲルス全集』を発売し、2014年からは有料のオンライン・データベースとして利用が可能になっている[2]。なお、日本語版は「全集」と銘打っているものの、上述の経緯からあくまで「著作集」である。
本書はすべてドイツ語として刊行されており、英語(『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』の記事など)・フランス語(『哲学の貧困』など)・その他の言語で発表された著作についてはドイツ語に翻訳されている。本書の特色として、マルクスとエンゲルスの二人の書簡を、基本的に年代別に収録したことがあげられる。旧MEGAでは、二人の往復書簡とそれ以外との書簡とは別扱いになっていたが、本書では同じ時期の手紙は同一の巻に収められている。
本書への評価としては、スターリン主義のソ連を正当化する立場から編集が行われたと指摘されることが多い。特にマルクスがロシアの外交政策を批判した『十八世紀の秘密外交史』が、公刊された著作であったにもかかわらず本書に収録されていないことについて、石堂清倫や不破哲三が批判している。石堂はみずから翻訳したものを三一書房から刊行している。
本書の構成は、ロシア語版・ドイツ語版・日本語版でおおむね同じであるが、一部で異なる。中心となる第1~39巻はほぼ同じであり、(1) マルクスとエンゲルスの著作、(2) 『資本論』全3巻および関連著作、(3) マルクスとエンゲルスの書簡――の3部構成をとっている。この構成は、旧MEGAを踏襲したものと思われる。
マルクスとエンゲルスの初期著作は、ロシア語版とドイツ語版ではもともと補巻とされていたが、第2版以降は第41巻・42巻となった。また、ロシア語版と日本語版には著作および書簡の補遺が4巻分あるが、ドイツ語版には存在しない。他方で、ロシア語版・ドイツ語版では『資本論』草稿が収録され、ドイツ語版第42巻は1983年に、同第43巻は1990年に刊行されている。ドイツ語版第44巻では、第43巻の続きが収録される予定であったが、東ドイツの消滅によって刊行されなかった。なお、一連の『資本論』草稿は、新MEGA第II部門(日本語では、『マルクス資本論草稿集』全9巻、大月書店、1979-94年)に収録されている。
巻次 | ロシア語版著作集 | ドイツ語版MEW | 日本語版全集 | 主な収録文献[3] |
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第1巻 | 1839-44年の著作 | 同 | 同 | M『ライン新聞』の記事 M「ユダヤ人問題によせて」(1843年) M「ヘーゲル法哲学批判序説」(1843年) E「国民経済学批判大綱」(1844年) |
第2巻 | 1844-46年の著作 | 同 | 同 | M-E『聖家族』(1844年) E『イギリスにおける労働者階級の状態』(1845年) |
第3巻 | 1845-46年の著作 | 同 | 同 | M「フォイエルバッハに関するテーゼ」(1845年) M-E『ドイツ・イデオロギー』(1845年) |
第4巻 | 1846-48年の著作 | 同 | 同 | M『哲学の貧困』 E「共産主義の諸原理」(1847年) M-E『共産党宣言』(1848年) |
第5巻 | 1848年の著作 | 同 | 同 | M-E『新ライン新聞』の記事 |
第6巻 | 1848-49年の著作 | 同 | 同 | M-E『新ライン新聞』の記事 M『賃労働と資本』(1849/91年) |
第7巻 | 1849-51年の著作 | 同 | 同 | M『フランスにおける階級闘争』 E『ドイツ農民戦争』(1850年) |
第8巻 | 1851-53年の著作 | 同 | 同 | M-E『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』の記事 E『ドイツにおける革命と反革命』(1851-52/96年) M『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』(1852/69年) |
第9巻 | 1853年の著作 | 同 | 同 | M-E『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』の記事 |
第10巻 | 1854-55年の著作 | 同 | 同 | M-E『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』の記事 |
第11巻 | 1855-56年の著作 | 同 | 同 | M-E『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』の記事 |
第12巻 | 1856-59年の著作 | 同 | 同 | M-E『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』の記事 |
第13巻 | 1859-60年の著作 | 同 | 同 | M-E『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』の記事 M「経済学批判要綱への序説」(1958年) M『経済学批判』(1859年) |
第14巻 | 1857-60年の著作 | 同 | 同 | M-E『ザ・ニュー・アメリカン・サイクロペディア』の記事 |
第15巻 | 1860-64年の著作 | 同 | 同 | M-E『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』の記事 |
第16巻 | 1864-70年の著作 | 同 | 同 | M「国際労働者協会創立宣言」(1864年) M『賃金・価格・利潤』(1865年) E『資本論綱要』(1867年) |
第17巻 | 1870-72年の著作 | 同 | 同 | M『フランスにおける内乱』(1871年) |
第18巻 | 1872-75年の著作 | 同 | 同 | E「住宅問題」(1872/87年) E「権威について」(1873年) |
第19巻 | 1875-83年の著作 | 同 | 同 | M「ゴータ綱領批判」(1875年) E『空想から科学へ』(1880年) M「ザスーリチへの手紙」(1881年) E「カール・マルクスの葬儀」(1883年) |
第20巻 | 反デューリング論 ・自然の弁証法 | 同 | 同 | E『反デューリング論』(1878年) E「自然の弁証法」(1883年) |
第21巻 | 1883-89年の著作 | 同 | 同 | E『家族・私有財産・国家の起源』(1884年) E『フォイエルバッハ論』(1886年) |
第22巻 | 1890-95年の著作 | 同 | 同 | E「エルフルト綱領批判」(1891年) E「『フランスにおける階級闘争』の序文」(1895年) |
第23巻 | 『資本論』第1巻 | 同 | 同(2分冊) | M『資本論』第1巻 (1867年) |
第24巻 | 『資本論』第2巻 | 同 | 同 | M『資本論』第2巻 (1885年) |
第25巻 | 『資本論』第3巻 | 同 | 同(2分冊) | M『資本論』第3巻 (1894年) |
第26巻 | 『剰余価値学説史』(3分冊) | 同(3分冊) | 同(3分冊) | M『剰余価値学説史』(1863/1905-10年) |
第27巻 | 1842-51年の書簡 | 同 | 同 | |
第28巻 | 1852-55年の書簡 | 同 | 同 | |
第29巻 | 1856-59年の書簡 | 同 | 同 | |
第30巻 | 1860-64年の書簡 | 同 | 同 | |
第31巻 | 1864-67年の書簡 | 同 | 同 | |
第32巻 | 1868-70年の書簡 | 同 | 同 | |
第33巻 | 1870-74年の書簡 | 同 | 同 | |
第34巻 | 1875-80年の書簡 | 同 | 同 | |
第35巻 | 1881-83年の書簡 | 同 | 同 | |
第36巻 | 1883-87年の書簡 | 同 | 同 | |
第37巻 | 1888-90年の書簡 | 同 | 同 | |
第38巻 | 1891-92年の書簡 | 同 | 同 | |
第39巻 | 1893-95年の書簡 | 同 | 同 | |
第40巻 | マルクス初期著作 | 同 | 同 | M「デモクリトスの自然哲学とエピクロスの自然哲学との差異」(1841年) M「経済学・哲学草稿」(1844年) |
第41巻 | エンゲルス初期著作 | 同 | 同 | E 家族・友人への手紙 |
第42巻 | 1833-48年の著作・書簡 | 1957-58年の経済学諸草稿 | ― | |
第43巻 | 1848-49年の著作・書簡 | 1961-63年の経済学諸草稿(1) | ― | |
第44巻 | 1849-73年の著作・書簡 | ― | ― | |
第45巻 | 1867-93年の著作・書簡 | ― | ― | |
第46巻 | 1957-59年の経済学諸草稿 (2分冊) | ― | ― | |
第47巻 | 『経済学批判』草稿(1) | ― | ― | |
第48巻 | 『経済学批判』草稿(2) | ― | ― | |
第49巻 | その他の経済学諸草稿 | ― | ― | |
第50巻 | 1840-95年の補遺 | ― | ― | |
補巻1 | ― | ― | 1833-48年の著作・書簡 | (ロシア語版第42巻に相当)M 家族への詩、父からの手紙 |
補巻2 | ― | ― | 1848-49年の著作・書簡 | (ロシア語版第43巻に相当)M-E『新ライン新聞』の記事 |
補巻3 | ― | ― | 1849-73年の著作・書簡 | (ロシア語版第44巻に相当) |
補巻4 | ― | ― | 1867-93年の著作・書簡 | (ロシア語版第45巻に相当)M「モーガン『古代社会』摘要」 |
別巻 | 各種索引(2巻) | 各種索引(3巻) | 各種索引(4巻) |
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