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マツダのミニバン型乗用車 ウィキペディアから
ビアンテ(BIANTE)は、かつてマツダが製造・販売していたミニバン型の8人乗りの乗用車である。製造は宇品第1工場(U1)が担当。
マツダ・ビアンテ(初代) CCEFW/CCFFW/CC3FW/CCEAW型 | |
---|---|
前期型 | |
概要 | |
販売期間 | 2008年7月 - 2018年3月[1] |
ボディ | |
乗車定員 | 8名 |
ボディタイプ | 5ドアミニバン |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
プラットフォーム | マツダ・BKプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン | |
変速機 |
5速AT(FF・前期型) 6速AT(FF・後期型) 4速AT(4WD) |
サスペンション | |
前 | マクファーソンストラット式 |
後 | マルチリンク式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,850 mm |
全長 | 4,715 mm |
全幅 | 1,770 mm |
全高 |
1,835 mm(FF) 1,855 mm(4WD) |
車両重量 | 1,640 kg - 1,750 kg |
かつて販売されていたワンボックス型のボンゴフレンディが2006年をもって販売終了し、マツダのワンボックス型ミニバンは一時期ラインナップから消滅していたが、その間も日産・セレナやトヨタ・ヴォクシー・ノア、ホンダ・ステップワゴンなどといった他社同カテゴリーがファミリーを中心に人気を博していた。そこでマツダはその人気に追従すべく、同社のプレマシーをベースに新しいミニバンを開発した。それがこのビアンテである。通常、このクラスは基本的に「5ナンバー」となる全幅1,700mm以内のパターンがほとんどである中、プレマシーをベースにしたビアンテはそうした制約にとらわれることなく全幅を1クラス上のミニバンに迫る1,770mmとした。結果、メーカー自身が「最広(サイコー)空間」と謳う2000ccクラストップの室内空間・容量を確保している。デビュー当初は三菱・デリカD:5とこのビアンテのみが5ナンバーではなく3ナンバーとなっていた。
本車種の開発においてはプロトタイプを一切造らずに開発する手法が用いられた。これは内外装デザインとシャシ設計の連携を高め、設計変更を極力抑えるとともにデジタルモデルによる各種シミュレーションの精度を高めることで実現したものである。この採用により開発期間の大幅な短縮と開発コストの削減、並びに車両の低価格化を実現した。通常、設計最終段階でプロトタイプを造るのは自動車業界においては一般的だが、プロトタイプなしで量産に移行するのは極めて稀なケースである。
特筆点は、「背の低い」乗用車用アーキテクチャーで背の高いミニバンの設計を成立させていることである。プレマシー・アクセラを含めたフォードグループで共通使用されているBKプラットフォーム[注釈 1]は背の高いミニバンでの使用を想定しておらず、そのため背を高くして床板を上に上げた分だけペダル位置を上に上げる設計変更ができなかった。そこで、大幅な設計変更をせずに背の高いミニバンを成立させるアイデアが駆使されている[2]。
歌舞伎の隈取を意識したというフロント周りはかなり鋭く、Aピラーからブラックアウトを施し、サイドウィンドーやリヤウィンドーまで回り込み、まるでフロントライトがボディを回り込んだ様な独特なデザインはあまり支持されず、販売台数は終始伸び悩んだ。マツダ車の特徴とも言える逆ペンタゴングリルは通常より低い位置に配置された。またガラス面積を大きく取ると同時に大型の三角窓も採用し、視認性にも配慮している。これは、背の低い乗用車のままの着座位置と、ある程度高いボンネット位置との段差を埋めるためのアイデアである。
インテリアは広さだけではなく扱いやすさにもこだわった。その一つとして、シートは後方へ行くに従ってヒップポイントが高くなるようにレイアウトされている。結果、どのシートに座っても開放的な前方視界が得られるようになっているが、これも、車体後方の燃料タンクの高さまで床板を持ち上げられない不利な設計を逆手に取ったものである。また、シートアレンジについても足元の広々とした「リビングモード」、2列目シートを左右に分割する「ウォークスルーモード」、そして荷物を満載に積み込むことができる「ラゲッジモード」と用途に応じたシートアレンジが可能である。2列目シートはベンチにもキャプテンにもなるものである。これは左右に分かれたキャプテンシートを中央に寄せることで、3人掛けを可能にしているため狭く、中央に座る人のためのヘッドレストは備わらず、シートベルトも中央のみ2点式となる。
インパネはマツダ車初となる「トップマウントワイドメーター」を採用し、開放感と視認性を両立した。また、挟み込み防止機構つきの電動両側スライドドア(タッチセンサー付き)は、クラストップレベルの780mmの開口幅を誇る。
エンジンは販売開始当初、LF-VD型 1,998cc DOHC DISI(FFおよび4WD)とL3-VE型 2,260cc DOHC MZR(FFのみ)を搭載し、トランスミッションは、FF車には5速AT(2,260ccはマニュアルモード付き)を、4WD車には4速ATを採用していた。その後、2.0L・FF車は幾度の変更が行われ、2009年6月の一部改良で「i-stop(アイドリングストップ機構)」搭載車は同じDISIエンジンながらLF-VDS型に置換となり、2013年5月のマイナーチェンジでエンジンはPE-VPS型 1,997cc DOHC SKYACTIV-G 2.0に、トランスミッションは「SKYACTIV-DRIVE」の搭載により6速ATに多段化された。ディーゼルエンジン車、ハイブリッド車は一切ラインナップされなかった。
ボディーカラーは販売開始当初、「23S」専用カラーの「チリオレンジマイカ」を含む7色を設定していたが、2009年6月の一部改良で専用カラーが廃止されてからは6色となっている。また、全てのグレードでアドバンストキーレスエントリー&スタートシステムやMAZDA G-BOOK ALPHA対応のHDDナビゲーションシステムが選択できた。国産のミニバンとしては珍しくサンルーフの設定が一切なかった。
発売以後、大半のワンボックス型乗用車ベースミニバンの例に漏れず長らく日本国内専売車だったが、2012年より日本と同じ左側通行のインドネシア向けに正規輸出が開始された[3]。さらに、2013年より同じく左側通行の香港・マカオ向け正規輸出が始まった。
発売当初のイメージキャラクターに劇団ひとりを起用していた[4][5][6][注釈 2]。また、発売初年の2008年に行われた「マツダオールスターゲーム2008」では2試合を通じて最も印象的な活躍をした選手を表彰する「マツダ・ビアンテ賞」として、同車が当時横浜ベイスターズの内川聖一に贈られた[7][8]。
「ビアンテ」とは「周囲を取り巻く」「環境」を意味する英語の「Ambient」からの造語で、「乗る人みんなの生活環境の一部となり、楽しく快適な暮らしづくりに貢献する」という意味である。
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