パタゴニア(スペイン語: Patagonia、スペイン語発音: [pataˈɣoni̯a])は、南アメリカ大陸の南緯40度付近を流れるコロラド川以南の地域の総称。アルゼンチンとチリの両国にまたがる。アルゼンチンのネウケン、リオネグロ、チュブ、サンタクルス、ティエラ・デル・フエゴ各州とチリのアイセン、マガジャネス・イ・デ・ラ・アンタルティカ・チレーナ各州が該当する。ブルース・チャトウィンがこの地を旅した体験に基づいてかかれた小説「パタゴニア」(1977年)も紀行文の名作として知られている。
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1520年、フェルディナンド・マゼランが、この付近に住んでいた先住民を見て、「パタゴン」(patagon)族と命名した。「パタ」(Pata)はスペイン・ポルトガル語の「足」であるが、「ゴン」の意味は不明である。大足パタゴン族の住む土地ということからパタゴニアという名がついた。
パタゴン族は実際に足が大きかったのではなく、グアナコの毛皮でつくったブーツを履いていたので、大きく見えたというのが現在の通説であるが、実際のパタゴン族の目撃者は彼らを巨人だと報告しているが特に足の大きさに言及しているわけではなく、パタゴンの由来には他に諸説がある。
年間を通して低温、風が強い。この風の強さがパタゴニアの代名詞とも言われている。最大風速が60m/sを超えることも珍しいことではない(人間は25m/sを超えると風に向かって歩けず、40m/sを超えると踏みとどまることも難しくなり、飛ばされることもある)。イギリスの探検家、エリック・シプトンはこの地を嵐の大地と呼んだ。こうしたことからアルゼンチンは世界一風の強い国と言われる。
北西からの強い偏西風がアンデス山脈にぶつかり、チリ側は比較的雨が多い。一方、アルゼンチン側は偏西風がアンデス山脈にさえぎられるため乾燥が激しく半砂漠となっている。
地形はアンデス山脈を境にアルゼンチン側とチリ側で大きく異なる。チリ側は、氷河期時代に形成された氷河が造成した、大規模なフィヨルドが広がる。
アルゼンチン側の北部、コロラド川とネグロ川に挟まれた地域は草原が広がる。農耕も行われている。アルゼンチン側南部は、乾燥が激しくパタゴニア砂漠が広がっている。
パタゴニアを特徴付けるのは氷河である。南パタゴニア氷原から連なる氷河の数は大小50以上あるといわれている。その規模は、南極、グリーンランドに次ぐ量といわれている。北西部には北パタゴニア氷原もある。
パタゴニアの氷河は、温暖氷河に属する。アンデス山脈に降る多量の雨により涵養される。非常に速く氷河が循環することで知られている。夏と冬で移動速度は当然異なるが、平均年間に100mから200m移動するといわれている。ペリト・モレノ氷河を始めとして、氷河の崩落を観察しやすいのも、この氷河の入れ替わりの速さのおかげでもある。
チリおよびアルゼンチンで約30の国立公園がある。また、アルゼンチンには3件の世界遺産登録物件が存在する。
全域には草原のステップが分布しており、北西部のアンデス山脈一帯にはバルディビア温帯雨林を含む温帯雨林の南部アンデス温帯雨林と高山植生[2][5]、南部にはマゼラン亜極樹林とツンドラのマゼランツンドラがある[1][4]。
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