バイカウツギ
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バイカウツギ (梅花空木[4]、学名: Philadelphus satsumi) とはアジサイ科バイカウツギ属[注釈 1]の落葉低木。別名サツマウツギ[1]。山地や丘陵の林内に生え、庭木にもされる。
和名の由来はウメに似た花を咲かせることから、「梅花」(ばいか)の名がある[5]。ライラック(学名: Syringa vulgaris)と混同されていた時期があり、共に牧神パンの笛という意味の言葉 Syrinx に由来するシリンガという名前で呼ばれ、一つの属にくくられていた[6]。
落葉広葉樹の低木で、高さは1 - 3メートルになる[5][4]。樹皮は灰褐色から茶褐色で、リボン状に縦に剥がれ落ちる[4]。若い樹皮は灰褐色で縦に筋が入る[4]。若枝は赤褐色をしている[4]。
花期は5 - 6月頃[5]。葉は枝に対生し、葉身の長さは5 - 10センチメートルほどあり、5本の葉脈が目立つ[5]。葉をもむとキュウリの匂いがする[6]。小枝の先から総状花序を出して、直径3センチメートルほどの4弁の白い花を5 - 10個つけて咲かせる[5]。果実は9 - 10月に灰緑色に熟す[5]。冬芽は隠芽で葉痕に隠れて見えない。葉痕は三角形で白っぽい色をしており、維管束痕が3個つき、中に冬芽があるため中央が隆起する[4]。春になると、葉痕の表面が裂けて芽吹き始める[4]。
日本では本州、四国、九州に分布する[5]。丘陵や山地の林内に自生するが、庭木にもなり、園芸植物として世界中で栽培されている[5][4]。
16世紀、神聖ローマ帝国の使者オジェール・ギスラン・ド・フズベックによってヨーロッパに紹介された。1597年にはジョン・ジェラードの庭で大量に栽培されていたことが確認されている[6]。ヨーロッパには早くから帰化した[6]。コーツは、ヨーロッパにおける本種の原産地を南東ヨーロッパや小アジアとしている[6]。マキシモヴィッチは、ヨーロッパのものは日本のバイカウツギが輸入されたものと考え、北村らもこの意見を支持している[7]。
芳香のある美しい花が咲くことから[5]、鑑賞用に植栽され花は香水の材料として採用される。園芸植物としては匂いが特色とされ、品種の改良はあまり進展しなかった[8]。花の匂いをかぐことによって酩酊したような気分になる人もいる。ジェラードはバイカウツギの匂いの為に眠れなかったことがあると述懐している[6]。またE・A・ボウルズによって花粉症の原因となることが指摘されている[6]。
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