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植物種 ウィキペディアから
ツリガネニンジン(釣鐘人参[4]、学名: Adenophora triphylla var. japonica )はキキョウ科ツリガネニンジン属の多年草。芽生えた若苗は山菜として利用され、俗にトトキとよばれる。
ツリガネニンジン | |||||||||||||||||||||||||||
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福島県会津地方 2008年8月 | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara (1951)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ツリガネニンジン(釣鐘人参) |
和名ツリガネニンジンの由来は、花が釣鐘形で、根の形がチョウセンニンジンに似るのでこの名がある[5][6]。地方によって別名は、トトキ[5][7][4]、アマナ[8]、ツリガネソウ[5][8]、チョウチンバナ[5][4]、ヌノバ[8]、ミネバ[8]、ヤマシャジン[8]などの方言名でも呼ばれている。アイヌ語名ではムケカシ[9]。中国植物名は、南沙参(なんしゃじん)[5]。
日本の北海道・本州・四国・九州の全国に分布するほか[10]、日本国外では樺太、千島列島に分布する。山野、山麓、山地の草原、林縁、草刈などの管理された河川堤防、山道の脇、林縁などに自生する[5][10][8][4]。排水が良く、日当たりの良い所を好む性質で[11]、集団をつくって群生する[10]。
多年草[4]。地下には白く肥厚した、太くてまっすぐな根を持つ[10]。茎はまっすぐに伸びて、高さは40 – 100 センチメートル (cm) になり、全体に毛がある[11][4]。根生葉は円心形で花期には枯れてしまう[11]。茎につく葉は、ふつう3 - 5枚ずつ茎を囲んで輪生し、上部は互生する[11][4]。多くは輪生するが、なかには対生、互生するものもある[10]。葉身は長楕円形、卵形、楕円形、披針形と変化が多く[11]、やや厚みがあってつやがない。長さは4 - 8 cmで葉縁には鋸歯がある[12]。植物体を切ると白い乳液が出て、手につくと黒くなる[11][4]。
花期は夏から初秋(8 - 10月ごろ)で、分枝した茎の頂部に円錐状の花序を形成し、淡紫色の鐘形の花を下向きに咲かる[12][10]。花は茎に段になって多数付き[4]、少数ずつ輪生する。花冠は長さ15 – 20ミリメートル (mm) で先端はやや広がり、裂片は反り返る。萼片は糸状で鋸歯があり、花柱が花冠から突出する。
果実は蒴果で、広楕円形で下向きにつき、先を閉じて先端に残る細い萼片が目立つ[13]。果実は未熟果は緑色だが、熟すと褐色になり、つけねの一部が反り返って3個の穴が開き、中から多数の種子を出す[13]。種子は小さく、長さ2 mmほどの長楕円形で、果皮は淡褐色でなめらか[13]。
非常に変異の大きい種である。特に花期以外の時期には葉の形、葉序などが大きく異なるものがあり、混乱させられることがたびたびある。
種としても変異が大きく、以下のような変種がある。
春のおいしい山菜で、トトキとよばれ親しまれている[10]。秋の掘り採った根は薬用にもできる。花姿が美しく、観賞用に栽培されることも多い[10]。
若苗、若葉、花を食用にできる[4]。春の若い芽は、山菜のトトキとして食用にされ、あくやクセがない淡泊な味わいで素朴な風味で人気がある[4]。トトキとは、ツリガネニンジンのことを指し、「山でうまいはオケラにトトキ 里でうまいはウリ、ナスビ 嫁に食わすは惜しうござる(嫁にやれない味の良さ)」と長野県の俚謡で歌われるほど、庶民のあいだで美味しいものの一つに例えられている[14][8]。
採取時期は暖地が4月ごろ、寒冷地では5月ごろとされ、春に芽生えた若苗と、少し伸びたものは先端のやわらかい若芽を摘む[4]。環境保全のための採取時のマナーとして、1株に半分以上の芽を残すようにし、根は掘り採らないようにすることが注意喚起されている[4]。さっと茹でて水にさらし、おひたしにするのが一般的で[15]、和え物、炒め物、煮びたし、菜飯にして食べられる[5][10][4]。また生のまま天ぷらや汁の実にもする[4]。花は酢の物、サラダの彩り、さっと茹でてすまし汁の椀種にできる[4]。塩漬けや乾燥による保存もできる[10]。
姿が朝鮮人参に似た根は強壮作用があるといわれ、年間を通じて採取でき、細いひげを取ってから千切りにしてきんぴらなどにする[15]。
2年以上経った長い紡錘形から円柱形の根は沙参(しゃじん)または南沙参(なんしゃじん)と称し、生薬として利用される[5][11]。秋(11月ごろ)の地上部が枯れたときに根を掘り出し、細根を取り除いたものを天日乾燥させたものが使われ、1日量5 - 10グラムを400 - 600 ccの水で半量になるまで煎じて、1日3回に分けて服用したりうがいする用法が知られる[5][11][10]。健胃、痰きり、鎮咳に効能があるとされ、強壮効果もあるといわれる[5][11]。
日本では沙参というとツリガネニンジンを指すが、中国ではハマボウフウのことをいう[5]。これを区別するため、ツリガネニンジンを南沙参、ハマボウフウを北沙参(ほくしゃじん)と呼ぶ[5]。昔は朝鮮人参の偽物に用いたといわれるが、朝鮮人参とは薬効は異なり代用にはならない[5][11]。
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