ディーパンの闘い

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ディーパンの闘い』(Dheepan)は、ジャック・オーディアール監督・脚本、トマ・ビデガン英語版及びノエ・ドゥブレ共同脚本による2015年のフランスのクライムドラマ映画である。モンテスキューの『ペルシア人の手紙』に触発されており[6]内戦により荒廃した故郷のスリランカからフランスに逃れた3人のタミル難民が描かれている[2][7]。タイトルキャラクターは実際にタミル・タイガーの少年兵であったアントニーターサン・ジェスターサン英語版が演じた[8]第68回カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを獲得した。また第40回トロント国際映画祭英語版ではスペシャル・プレゼンテーション部門で上映された[9]

概要 ディーパンの闘い, 監督 ...
ディーパンの闘い
Dheepan
監督 ジャック・オーディアール
脚本
  • ジャック・オーディアール
  • トマ・ビデガン英語版
  • ノエ・ドゥブレ
製作
  • パスカル・コシュトゥー
  • ジャック・オーディアール (クレジット無し)
出演者 アントニーターサン・ジェスターサン英語版
音楽 ニコラス・ジャー
撮影 エポニーヌ・モマンソー
編集 ジュリエット・ウェルフラン英語版
製作会社
配給 ロングライド
公開 2015年5月21日 (CIFF)
2015年8月26日
2016年2月12日
上映時間 115分[1]
製作国 フランス
言語
  • タミル語
  • フランス語
  • 英語[2]
製作費 €8 million[3]
興行収入 $4.9 million[4]
2800万円[5]
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あらすじ

スリランカでは2009年まで政府軍と分離独立派の間で長く民族紛争が続いていた。独立派の兵士シバダーサンは最後の猛攻で妻子を殺され、軍服を脱いで難民キャンプに向った。

難民キャンプで業者から他人のパスポートを買おうとするシバダーサン。年齢の合うパスポートは家族用のものだけだった。その場にいた若い女がキャンプ内で孤児の少女を調達し、シバダーサンは夫のディーパン。女は妻のヤリニ。少女は娘のイラヤルという新しい名前を手に入れた。

フランスに渡り、郊外の団地で管理人の職を得るディーパン。ヤリニも団地内で認知症の老人の世話係として働きだした。だが、老人と同居する甥のブラヒムは麻薬組織のリーダーだった。団地内にたむろす売人たちを無視して、黙々と掃除や修理の仕事に励むディーパン。

ヤリニとの間に夫婦らしい感情が芽生えた頃、パリでかつての上官であるチェラン大佐と再会するディーパン。大佐は錯乱しており、巨額の軍資金の調達をディーパンに命じた。既に戦いは終ったと話し、大佐に殴られても抵抗しないディーパン。

団地の売人たちが敵対する組織の襲撃を受けた。銃声に怯え、従姉妹の住むイギリスに一人で逃げようとするヤリニ。引き止めたディーパンにヤリニは、「本当の家族じゃない!」と言い放った。

団地内に「発砲禁止地帯」を設け、売人たちを締め出そうとするディーパン。ディーパンを止める為に、ヤリニを呼んで脅すブラヒム。しかし、ブラヒムはその場で敵に銃撃された。ヤリニを助けるために、敵対組織に占拠された建物に乗り込むディーパン。ナタで手際よく敵を殺し銃を奪うディーパンは、名の知れた戦士シバダーサンに戻っていた。

一転して平和なイギリスの光景。タクシー運転手の職を得たディーパンは、本当の家族になったヤリニたちと幸せに暮らしている。その夢のような場面で物語は終った。

キャスト

  • ナタラジャン・ディーパン(シバダーサン):アントニーターサン・ジェスターサン英語版
  • ヤリニ:カレアスワリ・スリニバサン
  • イラヤル:カラウタヤニ・ヴィナシタンビ
  • ブラヒム:ヴァンサン・ロティエ英語版
  • ユスフ:マルク・ジンガ英語版
  • ハビブ:フォージ・ベンサイーディ英語版

公開

興行収入

フランスでは388万2022ドル、世界全体では488万1796ドルを売り上げた[4]

批評家の反応

Rotten Tomatoesでは62件のレビューで支持率は90%、平均点は7.9/10となった[10]Metacriticでは19件のレビューで加重平均値は77/100となった[11]

Thumb
第68回カンヌ国際映画祭での監督と出演者たち。

第68回カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを獲得した[12][13][14]。受賞が発表されるとオーディアールは「コーエン兄弟から賞を貰えるなんて格別なことだ。とても感激している」と述べた[15]。発表直後の国際報道陣の反応はブーイングと拍手が入り混じったものであった[16]。共同審査員長を務めたジョエルとイーサン・コーエンは「審査員全員から高い評価を受けた」と述べた[16][17]。またイーサンは審査員の決定が「迅速」であったと述べた[17]

受賞とノミネート

さらに見る 映画祭・賞, 部門 ...
映画祭・賞 部門 候補 結果
カンヌ国際映画祭[9] パルム・ドール ジャック・オーディアール 受賞
セザール賞英語版[18] 作品賞 ノミネート
監督賞 ジャック・オーディアール ノミネート
主演男優賞 アントニーターサン・ジェスターサン英語版 ノミネート
助演男優賞 ヴァンサン・ロティエ英語版 ノミネート
オリジナル脚本賞 ジャック・オーディアール、トマ・ビデガン英語版、ノエ・ドゥブレ ノミネート
撮影賞 エポニーヌ・モマンソー ノミネート
編集賞 ジュリエット・ウェルフラン英語版 ノミネート
音響賞 Daniel Sobrino、Valérie Deloof、Cyril Holtz ノミネート
美術賞 Michel Barthélémy ノミネート
リュミエール賞英語版[19] 作品賞 ノミネート
監督賞 ジャック・オーディアール ノミネート
マグリット映画賞英語版[20] 助演男優賞 マルク・ジンガ英語版 ノミネート
マイアミ国際映画祭[21] 審査員賞 受賞
オンライン映画批評家協会賞[22] 米国未公開作品賞 受賞
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参考文献

外部リンク

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