SL 4000 シリーズ
SL 4072 G+。タウンハウス・スタジオ (ロンドン)にて。
SL4064G+
SL 4000 シリーズは1970年代後半から様々なスタジオに対して最も数多く導入されたコンソールの一種で、Eシリーズ以降は世界各国の様々なスタジオへ導入され、以後Gシリーズへと進化した。このコンソールの普及により、スタジオ間を移動して行われるレコーディング・セッションにおいては、スタジオが変わりB/E/Gとコンソールのタイプが変わったとしても、ミキシング上ではほぼ変わりない作業が維持出来たため、1つのミキシング用プラット・フォームとして存在した。
VCA (Voltage Controled Amplifier)回路を利用した「フェーダー・グルーピング」と「フェーダー・オートメーション」、チャンネル・モジュールの設定を保存して元のパラメーターに復帰可能な「トータル・リコール・システム(業界初)」など様々な機能が当初から搭載されたコンソールでもあり、それまでのスタジオにおけるコンソールの概念から大きく飛躍した製品群となっている。
実装されるチャンネル・モジュール数を含めた表記方法では「SL 4056 E(モジュール数が56本)」や「SL 4064 G(モジュール数が64本)」等のように数字部分の下二桁が実装チャンネル・モジュール数となるが、ステレオ・チャンネル・モジュールも存在するため、実際には仕様によって表示数より使用可能な入力数が異なる。例えば表記上が「SL 4072 G」の場合でもステレオ・チャンネル・モジュールが8本実装されている場合には入力チャンネル数は合計80チャンネルとなるなど、モジュール数とチャンネル入力数は異なる事になる。
コンピューター・オートメーション機能はオプション扱いとなっていたため、コンピューター未搭載の仕様も存在するが、コンピューター搭載でトータル・リコール機能を搭載していない場合の表記は「SL 4056 G PR」となりプライマリーの意味を持つ「PR」が型番末尾に付き、トータル・リコール機能搭載の場合には「SL 4000 G TR」のようにトータル・リコールを表す「TR」が型番末尾に付くことから、コンピューターの仕様は表記されている型番から確認する事が出来る。
SL 4000 B
SL 4000 E
BおよびEシリーズのコンピューター・オートメーションのオペレーション用キーボードは小型の物が搭載されていて、センター・セクションはGシリーズに比べ幅が狭くなっている。
Eシリーズに搭載されるEQ のタイプは3種類存在していて、EQのLOWステージのつまみ上部のキャップ色が「茶色、オレンジ、黒」と各々が色分けされているのでその部分で見分ける事が出来る。「茶」は「ナロー」タイプとなっていて4000 シリーズ開発当初からの周波数特性となっている物でQ幅が割と広めで緩やかなカーブを持ち、「オレンジ」は「パルテック」タイプと呼ばれ、PULTEC(Pulse Techniques, Inc.)の有名なEQP-1A3などのイコライザーにあるQ幅の周波数特性となっている物で、「黒」は「ニュー・スタンダード」タイプと呼ばれ、ナローとパルテックの中間的な周波数特性になっていて、Q幅が3種類の中では一番狭いタイプになる。その後Gシリーズになってからはこの「ニュー・スタンダード」を踏襲された物が使用されている。
型番が「SL 4056 E」などとなっていてもGシリーズ発表以降はGシリーズ・コンピューター・ソフトウェアやハードウェアの変更などを経てGシリーズ・コンピューター・システムに変更して搭載したため、外見上はEシリーズでもGシリーズと同じ内容のコンピューター・オートメーションが可能になっている。
SL 4000 G
Gシリーズは4000シリーズでは初となるメジャー・アップデートとなり、H/Aのゲイン・コントロールがステップ式となり+4dB入力のライン・レベルからも取り扱えるゲイン設定となり調整許容範囲が広がった。EQ 等の特性も改善され、それまでのシリーズとは明らかな音質変更がもたらされた。
Solo Isolate(ソロ・モードの時にカット対象に加えない機能)の設定がチャンネル毎にグループ・マスター・ボリュームのノブ部分で設定できるようになったため、それまではリバーブレーター 等のエフェクターを立ち上げているチャンネルはソロにしたいチャンネルと同時にソロに入れなければならなかったが、運用上の利便性が図られる機能として搭載された。
コンピューター・オートメーション・システムも改善され、アルファベット入力用のキーボードがフルサイズ化されてファンクション・キーなども搭載され、それに伴ってコンソールのセンター・セクションがEシリーズよりチャンネル・モジュール4本分ほど拡大されたフレーム構成になった。
SL 4000 G+
SL 4000 Gのマイナー・アップグレード版としてリリースされ、チャンネル・モジュール内部配線や各パーツの刷新等が行われ、音質向上または改善がもたらされた。
センター・セクション内のメーター・ブリッジ・セクションに液晶表示形式のオシロスコープ が内蔵され、チャンネル・モジュールなどのパネル面はGシリーズから採用された明るめなブルー・グレー色より若干濃い色へと変更され、Eシリーズに近い色調に戻った。
SL 5000、SL 6000、SL 8000 シリーズ
SL6072E/G
チャンネル・モジュールのオーディオ特性的には4000 シリーズの流れを持ち、放送および映画関連に特化した機能が強化されたコンソール。
SL 5000
SL 6000 E
SL 6000 G
SL 6000シリーズはSL 4000 Eシリーズの登場とほぼ同じ頃から存在していて、ステレオ・ミックス・バスが単一のステレオ・バスだけでは構成されず、A/B/Cという3チャンネルのステレオ・ミックス・バスがステレオ・マスター・フェーダー手前に増えた形となり、そこからステレオ・マスター・フェーダーへ流れる信号経路とは別にA/B/C各々のステレオ・バスとして音声信号を取り出す事が可能になる仕様になっている。A/B/Cのステレオ・バスが追加されチャンネル・モジュールのラージ・フェーダー側にA/B/Cのいずれかにアサイン出来る回転式セレクターと、グループ・バス出力先設定にもA/B/Cのアサイン・スイッチが追加た点以外はSL 4000 シリーズの基本仕様に準拠したコンソール仕様となっている。
3チャンネルのステレオ・ミックス・バスが搭載された事によって、音声信号の最終出力段では何通りかのミキシング・ソースとして出力可能になり、A/B/Cの出力最終部分では各々からステレオ・マスター・フェーダーにアサインして全ての音声信号をまとめたミキシング・ソースと、A/B/C各々から独立したミキシング・ソースも同時出力する事が可能になるため、マイナス・ワン(歌やギターソロなどをミックスされた中から除外した形)でのミキシング・ソース作成やマルチトラック・オーディオ・システム向けのマルチトラック作成を同時に行う事が出来るため、映画および放送用スタジオ以外にレコーディング・スタジオへも導入された。
ただし、コンソールのマスター・セクションに搭載されているマスター・コンプレッサーはステレオ・マスター・フェーダー経由の出力分しか搭載されていなかったので、あくまでも補助的にA/B/Cステレオ・バスを使用する事になるが、最終ミックス・アウト手前で3チャンネルにグループ分けされたミキシング・ソースに対して個別のトータルEQやトータル・コンプレッサーまたはリミッターなどを付加する事が可能になるので、ボーカル・セクション、バッキング・トラック、ストリングスなどのオーケストラ・セクションをA/B/Cそれぞれのミックス・バスに分けた形でルーティングするなど、SL 4000 シリーズに比べるとミキシング・ソースに対する柔軟性は幅広い。
SL 8000
SL/XL 9000 シリーズ
SL9064J
SL9064J
SuperAnalogue™ 回路を基本路線に、それまでのアナログ・コンソールの理念や特性を遙かに凌駕させたシリーズで、それまでの4000 シリーズのチャンネル・モジュール上各種レイアウトは概ね踏襲されたが、回路内部に関しては全て刷新開発された回路が搭載されている。EQではSL 4000 Eシリーズの特性を持たせた「E type EQ」がセレクト・スイッチにより選択可能になっていて、古き良き伝統的なSSL EQ サウンドと9000Jシリーズの標準搭載EQとのコラボレートが可能になっている。ダイナミクス・セクションにも回路および機能追加変更が大々的に行われていて、コンプレッション、リミッティング、ノイズ・ゲート、エクスパンダーなどのダイナミクス系処理に対して、より幅広い対応が可能になっている。センター・セクションの各種テープレコーダーおよびVTR制御用ロケーターの仕様も大幅に変更され、より総合的コントロールが可能になる構成になっている。
コンピューター・オートメーションのシステムはオペレーション用にキーボード類以外にも、ポインティング・デバイス であるペン・タブレット が追加され、操作確認用ディスプレイも通常のコンピューター用モニター・ディスプレイ同様の大型ディスプレイへと変更された。オートメーション可能範囲もこれまでのラージ・フェーダーおよびチャンネル・カット・ボタン以外にスモール・フェーダーとON/OFFスイッチなどもオートメーション可能になる高機能型へと変更された。フェーダー・オートメーションにはアルティメーション・システムが採用されている。ダイナミクス回路の機能も強化され、専用アウトボードと遜色ないほどに様々な設定が出来るようになるなど様々な変更がもたらされた。
SL 9000 J
初期型にはハードディスク・レコーダー 機能がオプション搭載されていて、各チャンネル・モジュール毎にレコーディング・トラックが用意でき録音編集作業も可能で、現在普及しているProTools のハード・ウェア版大型システムとして研究開発されていたが、システムの対応性などから現在では使用されていない。
XL 9000 K
同社のアナログ・コンソールにおけるフラッグシップ・モデル。ミキシングおよびモニタリングにおいて、5.1ch サラウンドにオプション機能追加無しでフル対応したコンソール。
デジタル・コンソール
C100 HD-L
Axiom
C100
C200
C200 HD
C300
DAW コンソール
AWS 900+
ProTools等のDAWコントローラーとしての機能を搭載したアナログ・コンソールで、通常のコンソールとしてもスタンド・アローン運用が可能になっている。
AWS 900
AWS 900+
AWS 900+ SE
AWS 900 シリーズはSuperAnalogue™ コンソールが進化した機種で、包括的なDAWコントローラーとしての機能を融合したオペレーションが可能になっている。
特徴としては、ウルトラ・クリーン SuperAnalogue™ マイク・プリアンプ、EまたはGという2つのEQ特性が選択可能、SSLの標準的なダイナミクス機能、ミキシングおよびモニターリングでは5.1chサラウンドまで対応、ムービング・フェーダー搭載などがある。
第3世代のモデルとして「AWS 900+ SE」があり、「Duality」にも搭載されている「Logictivity ブラウザ」機能が新たに追加されていて、それまでの外部MIDIインタフェースを使用したMIDIベースでのインターフェース・コントロール信号のやり取りではなく、Ethernet(イーサネット)接続によるやり取りが可能になっている。(AWS 900 および AWS 900+ からのアップグレードも可能)コンソールのソフトウェア・アップデートが可能になっているシリーズでもある。
他に「AWS900+ SE」で搭載された新機能には、AUTO CUE機能やMonitor Volume Pot Calibration、Solo Isolate、同時に2つのDAWを立ち上げてのコントロール、Soft Boot パワー・サイクリング等がある。
Duality
Duality SE
SSLの伝統的なアナログ・パスやシグナル・プロッセシングと、DAWコントロール機能とをひとつに統合したハイブリッド式サーフェスを持ち合わせたコンソール。
Matrix
XLogic シリーズ
XLogic X-Rack & AlphaLink
XLogic Channel
XL 9000 Kに搭載されているチャンネル・モジュールをアウトボード化した製品。
XLogic SuperAnalogue™ Mic Amp
XL 9000 Kに搭載されているSuperAnalogue™マイク・プリアンプ4系統分をアウトボード化したもの。
【XLogic SuperAnalogue】
X-Desk
16チャンネル版のSSL SuperAnalogue™回路を搭載したサミング・ミキサー。
X-Rack
トータル・リコール機能が付いた 19インチ、4Uサイズのモジュール・ラック・システム。X-RACK Empty Rackには最大8枚のモジュールを自由に組み合わせてシステム構築が可能になっている製品。
Mynx
X-Rack用モジュールを2スロット分まで搭載できるEmpty Rack。X-Rack Empty Rackと同様に、内部バス・カードを装備してあり「4 Line Inputモジュール」や「8 Line Inputモジュール」を使ったサミング・システムを構築可能。
G Series Compressor
Gシリーズのセンターコンプレッサーと同一の設計がなされた1Uラックマウントのステレオ・コンプレッサー。
【XLogic Alpha Analogue】
Alpha Channel
SSLの伝統的なマイクプリ・フィルター・イコライザー・ダイナミクスの組み合わせで、デジタル・オーディオ・ワークステーションに必要なアナログ・プロセッシングの全てを装備したA/Dコンバータ。
Alpha VHD Pre
「Duality」に搭載されているVHD回路を元に作られた4系統のSSLマイク・プリアンプ、およびライン・レベルのDAWオーディオ・インターフェイス。
【XLogic I/O】
Alpha Link XLogic Alpha-Link MADI SX
Alpha Link XLogic Alpha-Link MADI AX
Alpha Link XLogic Alpha-Link AX
Delta Link
MADI Opti Coax
Free Plug-ins for DAW
全てSolid State Logic社のサイト内からダウンロードする事が可能で、ユーザー登録すれば無料で使用できる。
LMC-1
SL 4000 シリーズのマスター・セクションに搭載されているリッスン・マイク用のリミッターをソフトウェア化した「SSL Listen Mic Compressor」。MacintoshおよびWindows機種上でVSTまたはAudio Unitsフォーマットとして使用可能。
X-ISM
DAW向けの「DAW Peak Meters」で、デジタル上の厳密なヘッド・ルーム監視やその他にもピーク・メーターとして機能する。MacintoshおよびWindows機種上でVSTまたはAudio Unitsフォーマットとして使用可能。
X-Orcism
DAW向けの「Halloween plug-in」で、自分の声などを入力して再生およびトランスフォーム出来る。MacintoshおよびWindows機種上でVSTまたはAudio Unitsフォーマットとして使用可能。