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『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』は、辻村深月による日本の小説。第142回直木賞候補作、第31回吉川英治文学新人賞候補作。
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 | ||
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著者 | 辻村深月 | |
発行日 | 2009年9月14日 | |
発行元 | 講談社 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判 | |
ページ数 | 390 | |
コード | ISBN 978-4-06-215761-2 | |
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『スロウハイツの神様』以来、約3年ぶりとなる書き下ろし作品で、講談社創業100周年記念企画「書き下ろし100冊」の1冊。
テーマは「女子」の「格差」で[1]、作者の故郷である山梨県を舞台に、30歳前後の女性たちの“息苦しさ”が描かれる。読者がそれぞれ属するコミュニティの中で、登場人物に近いイメージの友だちを想像できるように、登場人物の造形の描写はほとんどない。
すべての娘は、自分の母親に等しく傷つけられている。
幼なじみのチエミが母親を殺して逃げた。誰もが羨むほど仲が良かったあの親子に一体何があったのか……。どうして娘に殺される母親はうちの母親じゃなかったの……。母親を嫌い、地元を嫌い、過去を捨てるように上京し幸せな結婚生活を送っていたみずほは、あることに思い至り、逃げ続けるチエミの行方を追う。
第一章はチエミを探すみずほの視点で、第二章は逃亡中のチエミの視点で書かれる。
本作品をNHKがテレビドラマ化し、2012年5月にBSプレミアム「プレミアムドラマ」枠にて4回シリーズで放送する予定だった。キャストも長澤まさみ、黒木華、佐藤江梨子、風吹ジュンらの起用が決まっていたが[2]、同年2月、原作者である辻村とその著作権管理を委託された講談社が大森寿美男の脚本の内容に納得せず、ドラマ化許諾の白紙撤回を申し出たことから、クランクイン前日になってドラマの制作並びに放送中止を余儀なくされた。
NHKは講談社に対し同年6月21日、損害賠償を求める民事裁判を東京地方裁判所に提起したことを発表した。NHK側は約5982万円の支払いを求めていたが[3]、2015年4月28日、東京地方裁判所の岡崎克彦裁判長は「脚本の承認がされていない以上、許諾契約が成立したとは言えない。NHKには小説の主題に関する理解が十分でなかったきらいがある」として訴えを棄却した[4]。判決内容は、講談社側の主張を認定しており[5]、講談社勝訴となっている。
裁判の過程で明らかになった事件経過は、次の通り[6]。
NHKは東京高裁へ控訴したが、2015年12月24日、裁判所の勧告に従い紛争の早期解決のため、和解した。具体的な和解条件は非公開だが、NHKが敗訴した一審判決を前提としたと両者連名でコメントしている[9]。
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