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ルアー(lure)は、いわゆる「擬似餌」のこと。ルアーを用いた釣りのことを「ルアーフィッシング」と呼び、ゲームフィッシングとして世界中で親しまれている。ルアーには、大きく分けて「ハードルアー」と「ソフトルアー」がある。ハードルアーとは木やプラスチック製の、硬い素材で製造されたルアーの総称。またソフトルアーは、プラスチックやラバーなどの、柔らかい素材で製造されたルアーの総称。
ハードルアーは、それまで木材や金属などを材料に手工業的に生産されていたが、樹脂によるインジェクション(射出)成形技術が確立したことによってプラスチック製のルアーが普及した。またインジェクション成形は中空構造を可能とし、ラトルのように音を発したり、ウエイトを可動式にしたり(重心移動)などの機能を盛り込むことによって多様で高性能なルアーが多く誕生した。
一方、ソフトルアーは豚の皮(ポークリンド)や動物の毛(フェザー)などを材料に作られていたが、ラバー、シリコン、ポリ塩化ビニルなどの登場により多様化した。シリコンやボリ塩化ビニルなどの軟質樹脂は可塑性が高く、流し込み成形や射出成形などの成形技術によって複雑な形状を実現した。近年では、塩やアミノ酸を含有させ本物の餌のようにし、よりターゲットにアピールできるソフトルアーも登場している。
ルアーという言葉は、研究社『英和大辞典』によれば、その語源は1300年ごろである。ルアー自体が本来は漁具として世界各地で発明されたものであるが、研究者ではない一般の釣り人による外国語古典文献の解読はほぼ不可能である。現代英語の範囲内で、かつアメリカ、イギリス主体のごく最近の資料ではスポーツフィッシング(遊漁)におけるルアーとしては、1800年代イギリスのデヴォン系ルアーが有名である。それ以前にも、ルアーと呼べるような物は存在しているが、正確な資料を解読するには、ヨーロッパ地域で混在しながら複雑に変化した1700年前後のゲルマン系古典言語による原著の読解が不可欠である。
日本においても1700年前後の時代で、すでに漁に用いられた餌木(えぎ)や角(つの)などが存在し、日本固有のルアーの元祖として挙げられるが、その古文書の解読に期待が寄せられている。ブラックバスフィッシングをきっかけに広まり、現在は渓流や管理釣り場のトラウト類、小河川や池沼のナマズや雷魚、ソルトウォーター(海または汽水域)でのシーバス、そしてシイラ・カツオ・マグロなどの超大型魚なども対象となる。
ハードベイトとも呼ばれる。プラスチックや木、金属など硬質の素材を様々な形に加工し、針を取り付けたルアーの総称である。以下のような種類が存在する。ただし、以下のどれにも分類できなかったり、2つタイプの中間のような独創的なハードルアーも多くなってきている。
木またはプラスチック製で、初期のデボンルアーのようにセルロイド製の立体的なボディを持つハードルアー。浮力が高く基本的に水に浮くが、おもりを内蔵して沈む物もある。初期は木製がほとんどだったプラグだが、現在は安く大量生産が可能なプラスチック製が主流となっている。しかし、少数ながら木製のプラグも生産され続け、根強い人気がある。
針そのもの、ワイヤーやおもりなど金属パーツからなる細身の本体に、ラバースカートやブレードなどの飾りが付く。
フェザージグ
漁具をルアーにアレンジしたものを本項に記載する。
ソフトベイト (Soft plastic bait)、ワーム (Plastic worm) とも呼ばれる。合成樹脂やラバーでできた柔らかいルアーの総称。専用の針に絡め、リグ(下記参照)と呼ばれる仕掛けを作って使用する。
ピンテール
リッジテール(ハドルテール)
ブーツテール
スイムベイト
またカエルや虫に似たような浮くエラストマー素材のワームもある。
バークレイのガルプやエコギアのアクアのような餌の成分を配合したソフトルアーや、ポークなどのように餌の要素を持ち合わせた餌とルアーのハイブリッド型の物も存在する。餌の要素を含むため純粋なルアーとは呼べないが、本項に記す。
メリットとしては、餌の要素が含まれているため普通のワームより食いが良いとされ、餌に比べ保存が効き、環境にもやさしい。デメリットとしては、餌の要素を含むため、使用しないときは保存液に浸しておく必要がある。
エコギアアクアの製作者である田辺哲男は、「アクアはルアーか餌かと言われれば餌。ルアーはルアーで一線引いたところで残って欲しい。」「アクアはどうしても釣れない時に使って欲しい。」と語っている。[1]
リグ (Rig) とはワームを使うための仕掛けのこと。基本的にシンカー(錘)の位置で名前が変わり、攻め方が変わる。針の付けかたや種類、シンカーの形や位置等により釣り人の数だけリグが存在する、と言っても過言ではなく、オリジナルのリグを研究する釣り人も少なくない。以下は考案された順番に並べてあるので、リグの発展が見てわかるはずである[2]。リグとは釣りの仕掛け全般を指す言葉なので、餌釣りの仕掛けもリグである。ワームとシンカーと針がすべてついているルアー(ジグヘッド+ソフトルアー)は、ジグ (Jig) と呼ばれる。例えば野鯉釣りに使われる仕掛けは、Chod rigと呼ばれる仕掛けがあり餌は練り餌やミミズが基本。
ロックフィッシュやバスフィッシングで違和感を与えずに食わせるリグとして、威力を発揮しているフリーリグ。ボトム系の新リグとして人気。フリーリグはもともと韓国のバストーナメントにおいて高い実績を上げていたリグ。日本のバスフィッシングシーンにおいてもボトム攻略やカバー攻略で高い実釣力を発揮し、専用シンカーが発売されるなど、昨今熱い視線を集めている。また、バスフィッシングのみならず、ロックフィッシュを対象とした釣りにおいても非常に有効なリグとして注目され、双方で広がりを見せている。フォール時にワームとシンカーが離れることで、ナチュラルに誘うことができる。細身のシンカーは素早くボトムをとらえ、また、すり抜けがよいため根がかりしにくいという特徴がある。
アラバマリグ
バス釣りの本場・アメリカが発祥の新しいリグ。ヘッド部分から複数のワイヤーが伸び、その先にフック+ワームを取り付けてキャストできる。リトリーブにより、小魚の群れが一定の層を横方向に泳ぐ様を表現できる。ヘッド部分にブレードが装備されているタイプもある。ブレードの回転によってフラッシング効果が発生し、広範囲から魚を集めるのに適している。
ルアーには、自分で作る(ハンドメイド)ルアーが存在し、バルサを削ってルアーの形にし、ワイヤーをいれて針を付けるバルサミノーなど、完全な自作のものや、ラバージグなどの、ジグヘッドにスカート(シリコンゴム)をまく、市販のものを改造するものがある。また、ハンドメイドルアーは、浮き角や動きを自分で調整できるという利点がある。
環境破壊の原因の一つとして、ワームなどの仕掛けが釣り場に捨てられ、そのまま放置されることなどが挙げられる。ワームは、ハードルアーに比べて単価が安いため、粗雑に扱われやすく、加えて軟らかいため使用中にちぎれたり、魚が飲み込んでしまったり、劣化した物をその場に捨てていく釣り人もいる。また、使わなくなった仕掛けなどが捨てられ、それを海鳥が誤飲したり、マイクロプラスチックとなって、魚などの水生生物に対する健康被害を生んでいる。特に混雑する釣り場においては、残留するワームなどの、放置されたゴミがかなりの量になる。
ワームの素材は、主にPVC(ポリ塩化ビニル)に可塑剤を添加してゼリーのように柔らかく成型をしているが、この可塑剤が環境ホルモンとして生息する魚類その他生物に悪影響を与える可能性があり問題となっている。
現在は上記問題をクリアした可塑剤を使用した製品や生分解性プラスチックの製品に移行しつつあるが、釣り場に残留する問題は解決しておらず、河口湖や芦ノ湖のように、ワーム使用禁止の釣り場も増えているのみならず、釣り自体禁止にされてしまう場合もある。
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