サウラーシュトラ文字 (Unicodeのブロック)

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サウラーシュトラ文字(サウラーシュトラもじ、英語: Saurashtra)は、Unicodeの133個目のブロック

概要 範囲, 面 ...
サウラーシュトラ文字 (Unicodeのブロック)
Saurashtra
範囲 U+A880..U+A8DF
(96 個の符号位置)
基本多言語面
用字 サウラーシュトラ文字
主な言語・文字体系
割当済 82 個の符号位置
未使用 14 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
5.1 81 (+81)
9.0 82 (+1)
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解説

インド南部に位置するタミル・ナードゥ州マドゥライセーラムタンジャーヴールなどで話される、インド・ヨーロッパ語族インド語派の、グジャラート語などの近縁にあたるサウラーシュトラ語を表記するためのサウラーシュトラ文字を収録している。

サウラーシュトラ文字はデーヴァナーガリーなどと同様にブラーフミー文字から派生した所謂ブラーフミー系文字(インド系文字)の一つであり、音素文字のうち子音字単独では暗黙の随伴母音/-a/を伴って発音され、別の母音にする際に母音記号を付加することで発音を切り替えるアブギダに分類される。書字方向ラテン文字などと同様に左から右へと横書き(左横書き)し、単語毎に分かち書きをする。

子音連続など子音のみで発音する場合は特殊な子音字同士の合字を形成したり、あるいは単に殺母音記号であるヴィラーマという記号を子音字の下に付加したりする。例えば、/kṣa/はꢒꢰ꣄(U+A892 U+A8C4 U+A8B0)と表される[1]。ただし、他のブラーフミー系文字と比較して合字の種類はあまり多くないためヴィラーマ記号が直接書かれることが多い。

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(サウラーシュトラ数字)を有している。

符号位置の順序はおおむね伝統的なサウラーシュトラ文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン5.1において初めて追加された。

収録文字

要約
視点

ラテン文字転写」の列はブラーフミー系文字のラテン文字への翻字方式の一つであるISO 15919(及び一部はIAST)に従う。

さらに見る コード, 文字 ...
コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
各種記号
U+A880 SAURASHTRA SIGN ANUSVARA アヌスヴァーラ

直後に音節が後続する子音字に付き、直後の子音と同じ調音点鼻音が挿入されることを表す。日本語における「」に相当する。

U+A881 SAURASHTRA SIGN VISARGA ヴィサルガ

音節末に[h]を伴うことを表す。

独立母音字
U+A882 SAURASHTRA LETTER A 短母音[ə]を表す。 a
U+A883 SAURASHTRA LETTER AA 長母音[aː]を表す。 ā
U+A884 SAURASHTRA LETTER I 短母音[i]を表す。 i
U+A885 SAURASHTRA LETTER II 長母音[iː]を表す。 ī
U+A886 SAURASHTRA LETTER U 短母音[u]を表す。 u
U+A887 SAURASHTRA LETTER UU 長母音[uː]を表す。 ū
U+A888 SAURASHTRA LETTER VOCALIC R 音節主音化した短母音としてのR(IPA:[ɹ̩])を表す。 [2]
U+A889 SAURASHTRA LETTER VOCALIC RR 音節主音化した長母音としてのR(IPA:[ɹ̩ː])を表す。 r̥̄[3]
U+A88A SAURASHTRA LETTER VOCALIC L 音節主音化した短母音としてのL(IPA:[l̩])を表す。 [4]
U+A88B SAURASHTRA LETTER VOCALIC LL 音節主音化した長母音としてのL(IPA:[l̩ː])を表す。 l̥̄[5]
U+A88C SAURASHTRA LETTER E 短母音[e]を表す。 ĕ
U+A88D SAURASHTRA LETTER EE 長母音[eː]を表す。 e
U+A88E SAURASHTRA LETTER AI 二重母音[ai̯]を表す。 ai
U+A88F SAURASHTRA LETTER O 短母音[o]を表す。 ŏ
U+A890 SAURASHTRA LETTER OO 長母音[oː]を表す。 o
U+A891 SAURASHTRA LETTER AU 二重母音[au̯]を表す。 au
子音字
U+A892 SAURASHTRA LETTER KA 子音[k]を表す。 k
U+A893 SAURASHTRA LETTER KHA 子音[kʰ]を表す。 kh
U+A894 SAURASHTRA LETTER GA 子音[ɡ]を表す。 g
U+A895 SAURASHTRA LETTER GHA 子音[ɡʱ]を表す。 gh
U+A896 SAURASHTRA LETTER NGA 子音[ŋ]を表す。
U+A897 SAURASHTRA LETTER CA 子音[c]を表す。 c
U+A898 SAURASHTRA LETTER CHA 子音[cʰ]を表す。 ch
U+A899 SAURASHTRA LETTER JA 子音[ɟ]を表す。 j
U+A89A SAURASHTRA LETTER JHA 子音[ɟʱ]を表す。 jh
U+A89B SAURASHTRA LETTER NYA 子音[ɲ]を表す。 ñ
U+A89C SAURASHTRA LETTER TTA 子音[ʈ]を表す。
U+A89D SAURASHTRA LETTER TTHA 子音[ʈʰ]を表す。 ṭh
U+A89E SAURASHTRA LETTER DDA 子音[ɖ]を表す。
U+A89F SAURASHTRA LETTER DDHA 子音[ɖʱ]を表す。 ḍh
U+A8A0 SAURASHTRA LETTER NNA 子音[ɳ]を表す。
U+A8A1 SAURASHTRA LETTER TA 子音[t]を表す。 t
U+A8A2 SAURASHTRA LETTER THA 子音[tʰ]を表す。 th
U+A8A3 SAURASHTRA LETTER DA 子音[d]を表す。 d
U+A8A4 SAURASHTRA LETTER DHA 子音[dʱ]を表す。 dh
U+A8A5 SAURASHTRA LETTER NA 子音[n]を表す。 n
U+A8A6 SAURASHTRA LETTER PA 子音[p]を表す。 p
U+A8A7 SAURASHTRA LETTER PHA 子音[pʰ]を表す。 ph
U+A8A8 SAURASHTRA LETTER BA 子音[b]を表す。 b
U+A8A9 SAURASHTRA LETTER BHA 子音[bʱ]を表す。 bh
U+A8AA SAURASHTRA LETTER MA 子音[m]を表す。 m
U+A8AB SAURASHTRA LETTER YA 子音[j]を表す。 y
U+A8AC SAURASHTRA LETTER RA 子音[r]を表す。 r
U+A8AD SAURASHTRA LETTER LA 子音[l]を表す。 l
U+A8AE SAURASHTRA LETTER VA 子音[ʋ]を表す。 v
U+A8AF SAURASHTRA LETTER SHA 子音[ɕ]を表す。 ś
U+A8B0 SAURASHTRA LETTER SSA 子音[ʂ]を表す。
U+A8B1 SAURASHTRA LETTER SA 子音[s]を表す。 s
U+A8B2 SAURASHTRA LETTER HA 子音[h]を表す。 h
U+A8B3 SAURASHTRA LETTER LLA 子音[ɭ]を表す。
U+A8B4 SAURASHTRA CONSONANT SIGN HAARU ハール(hāru)。鼻音及び流音の子音字に後続して有気音で発音することを表す記号。 -h
従属母音記号
U+A8B5 SAURASHTRA VOWEL SIGN AA 長母音[aː]を表す。 ā
U+A8B6 SAURASHTRA VOWEL SIGN I 短母音[i]を表す。 i
U+A8B7 SAURASHTRA VOWEL SIGN II 長母音[iː]を表す。 ī
U+A8B8 SAURASHTRA VOWEL SIGN U 短母音[u]を表す。 u
U+A8B9 SAURASHTRA VOWEL SIGN UU 長母音[uː]を表す。 ū
U+A8BA SAURASHTRA VOWEL SIGN VOCALIC R 音節主音化した短母音としてのR(IPA:[ɹ̩])を表す。 [2]
U+A8BB SAURASHTRA VOWEL SIGN VOCALIC RR 音節主音化した長母音としてのR(IPA:[ɹ̩ː])を表す。 r̥̄[3]
U+A8BC SAURASHTRA VOWEL SIGN VOCALIC L 音節主音化した短母音としてのL(IPA:[l̩])を表す。 [4]
U+A8BD SAURASHTRA VOWEL SIGN VOCALIC LL 音節主音化した長母音としてのL(IPA:[l̩ː])を表す。 l̥̄[5]
U+A8BE SAURASHTRA VOWEL SIGN E 短母音[e]を表す。 ĕ
U+A8BF SAURASHTRA VOWEL SIGN EE 長母音[eː]を表す。 e
U+A8C0 SAURASHTRA VOWEL SIGN AI 二重母音[ai̯]を表す。 ai
U+A8C1 SAURASHTRA VOWEL SIGN O 短母音[o]を表す。 ŏ
U+A8C2 SAURASHTRA VOWEL SIGN OO 長母音[oː]を表す。 o
U+A8C3 SAURASHTRA VOWEL SIGN AU 二重母音[au̯]を表す。 au
ヴィラーマ
U+A8C4 SAURASHTRA SIGN VIRAMA ヴィラーマ。殺母音記号。暗黙の随伴母音/-a/を発音せず子音のみが読まれることを表す。
記号
U+A8C5 SAURASHTRA SIGN CANDRABINDU アヌナーシカ、或いはチャンドラビンドゥ。

母音字や母音記号に付き、母音を鼻母音で発音することを表す。

現在のサウラーシュトラ語では用いられていないが、古い文献では用いられていた。多くのブラーフミー系文字とは異なり、文字の真上ではなくやや右に寄った位置に置かれる[6]

約物
U+A8CE SAURASHTRA DANDA ダンダ。サウラーシュトラ文字における句点。ラテン文字などにおけるピリオド(.)に相当する。韻文では半詩節の終わり(パダ)を表す。 .
U+A8CF SAURASHTRA DOUBLE DANDA サウラーシュトラ文字において段落の終わりを表す記号。韻文においてスタンザ(詩節)の終わりを表す。
数字
U+A8D0 SAURASHTRA DIGIT ZERO サウラーシュトラ文字における数字の0 0
U+A8D1 SAURASHTRA DIGIT ONE サウラーシュトラ文字における数字の1 1
U+A8D2 SAURASHTRA DIGIT TWO サウラーシュトラ文字における数字の2 2
U+A8D3 SAURASHTRA DIGIT THREE サウラーシュトラ文字における数字の3 3
U+A8D4 SAURASHTRA DIGIT FOUR サウラーシュトラ文字における数字の4 4
U+A8D5 SAURASHTRA DIGIT FIVE サウラーシュトラ文字における数字の5 5
U+A8D6 SAURASHTRA DIGIT SIX サウラーシュトラ文字における数字の6 6
U+A8D7 SAURASHTRA DIGIT SEVEN サウラーシュトラ文字における数字の7 7
U+A8D8 SAURASHTRA DIGIT EIGHT サウラーシュトラ文字における数字の8 8
U+A8D9 SAURASHTRA DIGIT NINE サウラーシュトラ文字における数字の9 9
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小分類

このブロックの小分類は「各種記号」(Various signs)、「独立母音字」(Independent vowels)、「子音字」(Consonants)、「従属母音記号」(Dependent vowel signs)、「ヴィラーマ」(Virama)、「記号」(Sign)、「約物」(Punctuation)、「数字」(Digits)の8つとなっている[7]

各種記号(Various signs

この小分類にはサウラーシュトラ文字のうち、母音字や子音字に結合する発音記号などの様々な記号が収録されている。

独立母音字(Independent vowels

この小分類にはサウラーシュトラ文字のうち、頭子音のない母音の音節を表す際に用いられる独立した母音字が収録されている。

子音字(Consonants

この小分類にはサウラーシュトラ文字のうち、基本的な子音字が収録されている。

従属母音記号(Dependent vowel signs

この小分類にはサウラーシュトラ文字のうち、子音字に結合する母音記号が収録されている。

ヴィラーマ(Virama

この小分類にはサウラーシュトラ文字のうち、ヴィラーマ(殺母音記号)と呼ばれる、子音字の持つ母音/-a/を読まずに子音のみを発音することを表す記号1つのみが収録されている。多くの場合ただ単にヴィラーマが子音字の下に付くが、文字によっては後続する別の子音字と合字を形成するための制御文字として働くことがある。

記号(Sign

この小分類にはサウラーシュトラ文字のうち、母音字や母音記号に付き、母音を鼻母音で発音することを表すための記号1文字のみが収録されている。

約物(Punctuation

この小分類にはサウラーシュトラ文字のうち、句読点などの約物類が収録されている。

数字(Digits

この小分類にはサウラーシュトラ文字で用いられる固有の数字が収録されている。

文字コード

サウラーシュトラ文字(Saurashtra)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
 0123456789ABCDEF
U+A88x
U+A89x
U+A8Ax
U+A8Bx
U+A8Cx
U+A8Dx
注釈
1.^バージョン16.0時点

履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

さらに見る バージョン, コードポイント ...
バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
5.1 U+A880..A8C4,A8CE..A8D9 81 L2/05-222 Michael Everson; J. C. Krishnamoorty (8 August 2005), Final revised proposal to encode the Saurashtra script (WG2 N2969) (英語)
L2/05-232 Michael Everson (11 August 2005), Comments on Saurashtra (英語)
L2/06-091 Michael Everson (27 March 2006), Correction of a Saurashtra character name in PDAM3 (WG2 N3058) (英語)
L2/06-122 Deborah Anderson; Ka'onohi Kai (12 April 2006), Implementation of the Saurashtra script (英語)
L2/06-251 Naga Ganesan (28 July 2006), Saurashtran Haaru consonants in Named Sequences list (英語)
9.0 U+A8C5 1 L2/14-163 Vinodh Rajan (21 July 2014), Proposal to encode Saurashtra Sign Candrabindu (英語)
  1. 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。
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出典

関連項目

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