クマ牧場
クマを展示飼養するテーマパーク ウィキペディアから
クマ牧場(クマぼくじょう)は、クマを中心に展示飼養する動物園(テーマパーク、観光牧場)のこと。熊牧場と名乗る施設もある。多くはクマに給餌して楽しむことができる。北海道ののぼりべつクマ牧場が先駆けとなり、日本に広まる。野生に帰すことができないクマの保護収容施設となっている[1]。



(熊本県・阿蘇市)
本来、牧場とは広い土地で家畜を放し飼いにする場所を指すが、日本ではクマの動物園に名付けられた『クマ牧場』( Bear Park )が有名であるため、これを中国などのクマの家畜繁殖場である『熊農場』( Bear Farm )と混同して用いる場合がある。中国の「熊農場」は動物園ではなく、熊製品生産のための畜産場[注釈 1]であるが、日本ではそれと規模や施設に類似点があることから“クマ牧場”と誤って称することがある。
一覧
現在、日本には6つの熊牧場が開設されている[2]。
- 北海道
- 秋田県
- 北秋田市阿仁マタギの里熊牧場 - (北秋田市阿仁地区)[7]
- 日本で唯一、自治体が設置した熊牧場[8]。ツキノワグマ主流。
- 北秋田市阿仁マタギの里熊牧場 - (北秋田市阿仁地区)[7]
施設概要
ここでは日本で主に見られる施設の概要を述べる。
- 飼養場が高いコンクリート壁で構成される場合は、安全性が高い。
- 飼養場には木製又は金属製の台が設置されたり、遊具が設置されたり、池が設置される。
- 飼養場の底面は平面型が主流だが、斜面型もある。
- コンクリート製の飼養場の場合はホースで散水しながら清掃できる。
クマのポーズ
- クマが後脚で立っている場合は、手(前脚)を上げる、手を振る、手を口に当てる、両手を挙げる、腹を叩く、など。
- クマが寝ころがっている場合は、手や足(後脚)を片方上げる、両手両足を上げる、足をⅤ字に開く、など。
- クマが座っている場合は、手だけでアピールする、足先を掴んでみせる、など。
- 池にいると、手で水面を叩く、など。
特にV字に足を開き、足先を手で掴むと、人間の“ヨガ”のポーズに似て見える[12]。V字に綺麗に開脚して足先を掴むヒグマは、「全日本動物写真コンテスト」の作品「開脚」として、朝日新聞2010年10月25日朝刊に取り上げられている。
クマのボスについて
クマは自然界でも順位があり、強いクマ優先であるが、おとなのオスを群れで飼育すると、「第一位」のクマが現れ、それを「ボス」と呼ぶ。クマはケンカが強いだけではボスになれず、他のクマの承認も重要で、いくら強くても嫌がられるだけの存在では、他のクマがボスとして認めない傾向にある。
ボスとなったクマは、定期的に牧場内を巡回(みまわり)するようになり、この行動は自分の力を誇示するもので、他のクマを圧倒し不要なケンカをなくす効果もある。そのため、群れの安定につながる。
のぼりべつクマ牧場では、ボスを決定する上でマーキングの回数や、攻撃(ケンカ)や威嚇(口ゲンカ)の原因や勝敗、結果なども記録し、集計をし、判断している[13]。
社会的意義
行われる講座
- ここではのぼりべつクマ牧場での「飼育係によるレクチャー」[24]により先進例を見てみる。
- 『クマの嫌いなもの』…食べ物の好き嫌い,嫌いな動物,火を怖がるか,嫌いな物,ランコが嫌なこと。[25]
- 『飼育係のしごと』…6人の飼育係が行う一般的な仕事について。[26]
- 『クマ牧場のボスについて』…第一位,マーキング,喧嘩の仲裁について。[27]
- 『クマの耳について』…アレンの法則,聴力,クマよけ,ユキコについて,アイヌについて。[28]
- 『クマの冬ごもり』…冬眠と冬ごもり,着床遅延,サチコの体重について。[29]
- 『クマの能力について』…木登り,噛む力,視力などについて。[30]
- 『クマの食べ物』…野生での食事,牧場での食事,クマの好き嫌い,嗅覚,クマ避けゴミ箱について。[31]
- 『クマのお母さん』…出産や穴の中での子育ての初撮影,オッパイの成分,サトミのビデオ,ユキコについて。[32]
- 『エゾヒグマのお話し』…毛色,視力,足,クマの赤ちゃん,事故防止について。[33]
- 『リスについて』…牧場のリスについて。北海道の3種類のリスについて。それぞれのリスの性格について。[34]
歴史年表
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- 1958年、登別熊牧場(現のぼりべつクマ牧場)が開業。世界初の多頭飼育。
- 1965年、8月、登別で16頭が逸走[35]。
- 1969年、昭和新山熊牧場、定山渓熊牧場開業。
- 1973年、7月、阿蘇熊牧場(現阿蘇カドリー・ドミニオン)開業[36][37]。
- 1987年、7月16日、秋田八幡平熊牧場が開業[38]。
- 1990年、春、阿仁町が阿仁マタギの里熊牧場を開設[39]。この頃、定山渓の収益ピークに。
- 1991年、WSPAとALIVEによる調査と公表[40]。
- 1992年、WSPAが京都会議で登別を非難[41]。
- 1997年、ALIVEが熊牧場を再調査[40]。
- 1998年、「温根湯熊牧場」廃業。
- 2000年、ALIVE代表(野上ふさ子)が週刊金曜日11月17日号に「野生動物を家畜化する「クマ牧場」のやりたい放題」を寄稿[42]。
- 2001年、5月26日、ALIVEが八幡平非難ビデオを制作しインターネットに公開[43]。
- 2003年、阿蘇のゾウ借入をALIVEと野党が阻止。WSPAとALIVEによる熊牧場の再調査と報告公表[44][40]。
- 2004年、1月、定山渓熊牧場閉鎖。
- 2005年、8月、世界動物園水族館協会が熊牧場を視察[45]。12月、日本動物園水族館協会が登別と阿蘇に改善勧告[46]。
- 2006年、4月29日、日本初のベアマウンテン開業。
- 2007年、ベアマウンテンが冬ごもり実験開始。
- 2008年、12月26日、ALIVEがWSPA制作の熊牧場非難ビデオをインターネットに公開[47][48]。
- 2009年、1月、パンくん問題で阿蘇が日動水と絶縁。
- 2010年、10月、八幡平に愛知県豊田市から親子のツキノワグマ搬入[38]。
- 2011年、4月30日、登別が日動水を退会[49]。10月28日、ALIVEが再び八幡平非難ビデオを製作しインターネットに公開[43]。
- 2012年、4月20日、秋田八幡平熊牧場で羆6頭逸走、従業員2名噛殺(秋田八幡平クマ牧場事件)。6月1日、八幡平熊牧場閉鎖。
- 2013年、夏、阿仁マタギの里熊牧場がリニューアル予定[50]。
- 2022年、秋、のぼりべつクマ牧場が市民ZOOネットワークのエンリッチメント大賞2022において「持続可能なエンリッチメントの取り組み」として努力賞を受賞[51]。
※略称:「WSPA」-世界動物保護協会(ロンドン)、「ALIVE」-地球主物会議(東京:代表野上ふさ子)、「日動水」-日本動物園水族館教会、「登別」-のぼりべつクマ牧場、「阿蘇」-阿蘇カドリー・ドミニオン、「定山渓」-定山渓熊牧場、「八幡平」-秋田八幡平熊牧場。
脚注
外部リンク
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