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カオリナイト(kaolinite[4]、カオリン石[5] )は、鉱物(ケイ酸塩鉱物)の一種。化学組成は Al4Si4O10(OH)8、結晶系は三斜晶系。粘土鉱物の一種。高陵石ともいう。
kaolinite の名は、中国の有名な粘土の産地である江西省景徳鎮付近の高嶺(カオリン:Kaoling)に由来する。高嶺で産出する粘土は、景徳鎮で作られる磁器の材料として有名である。また、同質の粘土(鉱石)はカオリン(kaolin)、または陶土(china clay)と呼ばれる。
カオリナイトは長期の風化作用によって花崗岩などの長石が分解して生成される。 このためカオリナイトを含む粘土の多くは不純物を含んでおり、それらは元の岩石が何であったかによって異なる。 また、風化作用の結果として生成するためカオリナイト自身は最も反応性の低い粘土鉱物である[6]。
カオリナイトはアルミニウムの水酸化合物の八面体とケイ素の酸化物の四面体が1:1で構成する薄い層からなり、それらは水分子による水素結合やファンデルワールス力による結合をしている。そのためカオリナイトには吸水性がある。この二つの化合物は土壌ではそれぞれ別の化合物と反応する。 ゆえに乾くと水分子が消えて体積が5%前後小さくなり、近隣の層が癒着して動くようになる。 このときは水分子でなく水酸基によって互いに水素結合している[7]。 水素結合によって結合している各層は強固で、容易に分離することはできず、容易には分離できないバリアを生成する。 このためカオリナイトの堆積物は堆積時に水溶していた物質を捕獲・保存することができる。
スメクタイトとは異なり、カオリナイトは非膨張性であり、その高い分子安定性の結果、同型置換は限定的か存在しない。
しかしpHにより性質を変える特徴を持ち、周囲のpHに応じて金属を吸着し層の辺縁と表面層の水素イオンを放出するか、あるいはその反応を阻害する(陽イオン交換樹脂と似た性質である)。
この性質のために土壌には陽イオンを保持・交換して栄養分を制御する能力があり、それを定量化したものをCEC(陽イオン交換容量)という。この能力により土壌は植物との間に相互作用を持つ。また汚染物質との間にも相互作用を持つ。
カオリナイトはCECが特に高いことが知られている。pHでほとんど変化しないこの性質はイライトと同じように、カオリナイトに永久電荷の主たる供給源があることを示唆する。一方で、カオリナイトにおいては各層間の永久電荷よりも水酸基による変位電荷のほうが卓越しているため[8][9]なんらかの実験不備があったことを疑う意見もある。
この金属の吸着は土壌の物性に変化を及ぼす可能性がある。Pb2+(鉛イオン),Cd2+(カドミウムイオン),Zn2+(亜鉛イオン)の吸着はカオリナイトに負荷を与える可能性がある。カオリナイトの扱い方によって変化は異なるが、膨張・分子の構造中の圧力・凝結・せん断強度の低下・透水係数や圧縮性の上昇が起こると考えられている。また、陽イオン交換により層間のファンデルワールス力の変化も主張されている。こうした変化はカオリナイトの層状構造に空隙が生じたことを示唆する。イオンの吸着によって層内の原子同士のファンデルワールス力が低下しても同様の空隙が生ずる可能性はある。しかし層内のファンデルワールス力がどのような影響を受けているかはわかっていない。
この3種の金属イオンの吸着について、長期的(24h)にはPb2+を最も吸着するが、短期的(0.1h)には3種類のうちで最も吸着が少ないことが報告されており、Pb2+の吸着速度が少なくとも初期においては他の3種に比べて遅い。また、Cd2+の吸着量が他に比べて少ないことも分かっており、吸着部位がイオンによって異なる可能性があると考えられている。また、Cd2+の吸着はpHによって左右されやすいことも報告されている。そのためCd2+の吸着位置はpHの影響を受けやすいカオリナイトの層の辺縁であると考えられている。
カオリナイトの化学構造の変化や物理化学的変質は静止圧力や摩擦にさらされたときに顕現する。
触った感じはぬるぬるしている。吸水性が高いので、舌に乗せると吸い付く性質があり、特有の匂いを発する。 各層は緻密に結合しているため、吸水は構造的には各層の辺縁と表面層でのみ起こっている。
500℃に加熱すると脆くなり粘土の性質を持たなくなるが、水酸基による水素結合から酸素原子による共有結合に替わるためカオリナイトの分子同士がより強く短く結合する。この時点では層構造は崩壊し分子同士の結合によるアモルファス構造となる。 1000℃で素焼きとなり非常に頑丈で多孔質になる。陶芸の過程ではここで釉薬をかけて乾いたら釉薬に適正な温度で再加熱する。
カオリナイトの構造の特徴と性質についてはさらなる研究が期待される。
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