「イスラムファシズム」の語は新オクスフォード米語辞典では「現代のいくつかのイスラーム主義運動を、20世紀初頭のファシスト運動と同一視する、議論のある用語」と定義されている[5]。この語は、アメリカ合衆国のジャーナリストのStephen Schwartz[6] やクリストファー・ヒッチェンズ[7] が、アルカーイダなどのテロリスト集団を含めたイスラーム過激派を記述する際に使用した。
この語の起源ははっきりしない。ウィリアム・サファイアは、1990年のMalise Ruthvenがインデペンデントに書いたのものが最初と記した[8]。
「イスラムファシズム」の語の提案者は、ファシズムとイスラムファシズムにはいくつかの類似点があると論じている[9]。クリストファー・ヒッチェンズは類似点を以下のように主張している。
最も明確な類似点は、死や破壊の賛美、生命の軽視などの殺人者の暴力の狂信を、両方の運動が基礎にしている事である。(「知性への死!長い生命の死!」とは、
フランシスコ・フランコの仲間のGonzalo Queipo de Llano(
es)の言葉である。)どちらも
近代を敵視し(兵器を購入する時を除く)、どちらも過去の帝国や失われた栄光をひどく懐かしむ。どちらも真実および想像上の「屈辱」にとりつかれ、復讐を熱望する。どちらも
反ユダヤの偏執症の毒素に慢性的に感染している(興味深いことに、更に反
フリーメイソンの偏執症とも軽度の親戚である)。どちらも指導者崇拝や、一冊の偉大な本の力への排他的な圧力の傾向がある。どちらも性的な抑圧、特に性的なあらゆる「逸脱」の抑圧に強い誓約を持ち、配偶者は女性を従属させ、女性的なものを蔑視する。どちらも芸術や文学を退化や退廃として軽蔑し、どちらも
焚書や、博物館や文化財の破壊を行う。
— Christopher Hitchens [7]
「イスラムファシズム」の語は、いくつかの学者やジャーナリストから批判されている[10]。歴史学者のニーアル・ファーガソンや、国際関係学者のAngelo Codevillaは、歴史的に不正確で単純とみなしている[11]。作家のリチャード・アラン・ネルソンは、この用語は通常は、蔑称またはプロパガンダのために使用されていると批判している[12][13]。
(イスラムのテロリストによる)攻撃は、狂人ではないが邪悪な信念と目的を組み合わせた
イデオロギーに、明確に仕え、集中している。この邪悪なイスラムの
急進主義を、ある人は軍事的な
ジハード主義、また他の人はイスラムファシズム(Islamo-fascism)と呼ぶ。どう呼ばれようと、このイデオロギーはイスラムの宗教とは非常に異なる。この急進主義の体制はイスラムに、テロリズムや破壊や暴動による暴力と、すべての政治的および宗教的な自由を否定する
全体主義的な帝国をもたらす。
— ジョージ・W・ブッシュ[14]
- 上記以外の英文での使用例には以下がある。
- "It is right for us to be on the offense against Islamofascism, and not wait until they attack us on our soil. Unlike any war we have ever fought in this nation, this is not a war for soil. It is a war for our soul. We will either win it or we will lose it. This nation must rally to the point where we recognize there is no compromise. There is no alternative. We must win; they must lose. Islamofascism must disappear from the face of the earth, or we will." [15]— マイク・ハッカビー
- "What we have to understand is ... this is not really a war against terrorism, this is not really a war against al Qaeda, this is a war against movements and ideologies that are jihadist, that are Islamofascists, that aim to destroy the Western world."[16] — クリフォード・メイ
- この他にもネオコンの論客の一人、ノーマン・ポドレツが国際情報誌『SAPIO 』の2007年7月11日号で、「9.11で幕を開けた第3次世界大戦の敵の正体は、 イスラモファシズムだ」と題する記事を寄稿している。
"a controversial term equating some modern Islamic movements with the European fascist movements of the early twentieth century" - The New Oxford American Dictionary, Second Edition, Erin McKean (Editor), 2096 pages, May 2005, Oxford University Press, ISBN 0-19-517077-6
"authoritarian government, not to say Islamo-fascism, is the rule rather than the exception from Morocco to Pakistan." - William Safire (2006). "Islamofascism Anyone?" The New York Times, Opinion-Editorial. Retrieved August 28, 2007
Boyle, Michael, 'The War on Terror in American Grand Strategy', International Affairs, 84, (March 2008), p196
Sobran, Joe. “Words in Wartime”. 2006年4月18日閲覧。 "Islamofascism is nothing but an empty propaganda term. And wartime propaganda is usually, if not always, crafted to produce hysteria, the destruction of any sense of proportion. Such words, undefined and unmeasured, are used by people more interested in making us lose our heads than in keeping their own."
- Zuckermann, Moshe (2012). “Islamofascism". Remarks on a Current Ideologeme”. Die Welt des Islams (BRILL) 52 (3/4): 351–369.
- Oxford University Press (2020年). “Lexico”. “Islamofascism”. 2020年6月19日閲覧。
- YourDictionary.com (2020年). “YourDictionary”. “Islamofascism”. 2020年6月19日閲覧。