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アイタケ(藍茸[1]、学名: Russula virescens)はベニタケ属の中型から大型になるキノコの一種。英語圏では green russula[2]、green quilt russula[3]、greencracked brittlegill[4] などと呼ばれる[6]。キノコにおいてはめずらしく淡い青緑色の傘で、独特のひび割れ模様が出る。食用キノコ。青森県や山形県の方言で、アオドヨウ(青土用)ともよばれ、「土用の日から食べられる青い茸」という意味がある[7][8]。
夏から秋にかけて、シイ・カシ林やシデ、コナラ、クヌギ、ミズナラ、ブナなどコナラ属・カバノキ属・ブナ属の落葉広葉樹の雑木林の地上に生え、散生あるいは群生する[7][1]。ときにはマツ属・モミ属・トウヒ属などの樹木の下にも発生する。外生菌根菌[8](共生性[1])。これらの樹木の生きた細根との間に、外生菌根を形成して生活しており、人工栽培は困難で、いまのところ試みられていない。
傘は直径 5–12センチメートル (cm) で、幼時はまんじゅう型、成長すると開いて、さらに反り返って浅い漏斗状となる[7][1]。表面は淡い青緑色でいくぶんざらつき、しばしば表皮が不規則にひび割れ状になった斑紋が浮き出る[7][1]。湿っているときはやや粘性がある[8]。幼菌は傘全体が深い青緑色[1]。じゅうぶんに成熟すれば、しばしば傘の周縁部に浅い条溝を生じる[8]。
傘・柄の肉はともに白色で傷つけても変色することはなく、堅いがもろい肉質であり[8][1]、味もにおいもともに温和である。硫酸鉄(II) に接触すると帯褐オレンジ色ないし帯褐桃色に変わる。
ヒダはやや細く、柄に対して上生し[7]、やや密で白色、のとにクリーム色を呈し[8]、分岐や連絡脈を欠く。柄はほぼ上下同大で長さ 4–6 cm[7]、径 2–4 cm 程度、白色でしわ状の縦線に被われ、中実か随状でかたい[8]。
胞子紋はほとんど白色を呈し、胞子はほぼ球形から広卵形をなし、その表面には微細なとげ状突起が不規則に生じ、突起の基部はきわめて細い連絡脈によって連結されている。傘の表面には円錐状のシスチジアが散在し、表皮のゼラチン化はほとんど認められない。
食用になり、比較的大形で発生量も多く、酷似する毒キノコも少ないために人気がある。地方によっては味の良いキノコとして珍重されている[7]。特に中国の雲南省では青头菌 (チントウジュン)として広く市場に流通している。
歯切れはさほどではないが肉質がやわらかく[7]、クセのない風味で、特に汁物にするとよいダシが出る[8]。鉄板焼きをはじめ、サラダやバター炒め、ビザトーストのトッピング、フライなどにする[7][1]。ただし、ビタミンB1を破壊する酵素を含有することが報告されており、多食は避けるべきであるとされている[9]。また、調理方法にも注意を要し、生食はあまり勧められない。
アイタケは、傘の色、形を見れば同定しやすいキノコだといわれている[7]。
食毒不明のフタイロベニタケ (Russula viridirubrolimbata Ying.) も、アイタケと同様に、傘の表皮が不規則に裂けてモザイク状をなすが、通常はかさの中央部付近が緑色、周縁部が暗赤色を呈する[8]。ただし、フタイロベニタケにおいても、まれに傘のほとんど全面が緑色を呈することがあり、その場合には肉眼的な識別はきわめて困難である[8]。また、アイタケに似て、かさの表皮が黄褐色となるものにヤブレキチャハツ (Russula crustosa Peck) がある。
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