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1963年に公開された日本のアニメ映画 ウィキペディアから
『わんぱく王子の大蛇退治』(わんぱくおうじのおろちたいじ)は、1963年に公開された東映動画製作の劇場用アニメ映画(長編漫画映画)。86分。カラーワイド版。封切1963年3月24日(首都圏先行)→1963年7月15日(全国)[1]。
キャッチコピーは「八頭の大蛇と空中戦! がんばれ! わんぱく坊やと動物隊!!」[2]。
文部省(現 - 文部科学省)選定作品[3]。
東映動画の長編アニメ第6作。日本神話の天岩戸説話や素盞嗚尊の八岐大蛇退治に題材を採り、子供向けの明快なファンタジー映画としてつくられた。仮題は「日本神話 虹のかけ橋」[1]。
製作費7,000万円、スタッフ180人、作画枚数25万枚、絵具1トンを使用。これまで東映長編の監督を担当してきた藪下泰司に代わって、新東宝出身の新人の芹川有吾が監督に初登板。従来、東映動画内では演出家はコーディネーター的立場だったが、アニメーター出身でない芹川は東映動画に本格的な演出を持ち込み、監督という職制を確立[4][5][6]。さらに本作では、作画の絵柄統一を図る日本独特の作画監督制度が初めて採用された[7]。その他にも美術監督の小山礼司の提案による平面的なグラフィカルなデザインなど、様々な新機軸が採用された意欲作であり[8]、東映動画と日本のアニメ映画史に残る作品という評価が下されている[9]。
『白蛇伝』『安寿と厨子王丸』など、当時の東映動画でよく使われていたライブアクションも、天岩戸のエピソードのアメノウズメの岩戸神楽や、クシナダ姫のアクションシーンで、作画の参考に撮影されている[要出典]。
大塚康生と月岡貞夫が半年かけて作画した、天早駒(アメノハヤコマ)にまたがるスサノオと八叉の大蛇の空中戦は300カット・動画1万枚を超えており、日本アニメーション史上に残る名場面として高く評価する評論家もいる[10][11][12]。
日本国外の配給はコロムビア映画が担当した、アメリカでは1964年に『The Little Prince and The Eight-Headed Dragon』の題名で公開[13]。
2002年11月21日にDVD発売。
エッセイストの木俣冬は、草創期の日本のアニメーション界を描いた2019年度前期放送のNHK連続テレビ小説『なつぞら』の劇中アニメ「わんぱく牛若丸」のモデルの一つと推定している [14]。
王子スサノオは両親イザナギとイザナミのもと、オノゴロ島で楽しく暮らしていた。トラのタロウですら打ち負かしてしまう元気な少年である。ところがある日、母イザナミが亡くなってしまう。幼さゆえに母の死の意味を理解できず、泣き疲れて浜辺で寝てしまったスサノオの幻想の中に母イザナミが現れ、勾玉を与えてスサノオを励ます。スサノオは母が去った黄泉の国(イザナミは「母の国、幸せの国」と言う)に母を訪ねていくことを決意。舟を作り、ウサギのアカハナを供に船出する。
大海原で暴れる怪魚アクルを退治して海の神ワダツミに感謝され、兄ツクヨミが治める夜の国(ヨルノオスクニ)へと案内される。ツクヨミに黄泉の国への道を尋ねるが教えてもらえず、火の国を訪ねる。火の国は、火の神が暴れる荒廃した土地だった。スサノオは火の神と戦うも苦戦。だが、兄ツクヨミが餞別にアカハナに渡していた「氷の玉」の助けを借りて、火の神を打ち負かす。移住できる豊かな土地を探したいと望む火の国の住民の代表・タイタン坊を供に加え、スサノオは姉アマテラスが治める高天原に行く。
姉の勧めによりスサノオは高天原で働き始めたものの、いくつもの失敗が重なり、アマテラスは岩戸に隠れてしまう。日の神アマテラスが隠れてしまい、世界が真っ暗になってしまったため、オモイカネを始めとする高天原の住人たちは一計を案じ、アマテラスを岩戸から連れ出すのに成功する。一連の騒動の責任を感じたスサノオの反省の様子を見て、姉アマテラスはスサノオを励まし、出雲の国に送り出す。
出雲の国は、荒廃し、悲しみに満ちた土地だった。母イザナミの面影を思わせる少女・クシナダ姫が怪物・八叉の大蛇(ヤマタノオロチ)の生贄にされてしまうのだという。クシナダ姫と両親の嘆きを見たスサノオはヤマタノオロチを退治することを申し出る。
ヤマタノオロチはその名のとおり、八つの頭を持つ凄まじい怪物だった。スサノオは天馬・天早駒(アメノハヤコマ)の力と、アカハナとタイタン坊らの助力も借りて果敢に立ち向かうが、ヤマタノオロチの最後の頭を前に剣を折られて追い詰められる。その時、母イザナミから贈られた勾玉のお守りが剣に変じ、スサノオはその剣でヤマタノオロチにとどめを刺す。死闘を終え、気を失って倒れているのをクシナダ姫たちに発見されたスサノオは、誇らしげに勝利を告げる。そして、彼らの目の前でヤマタノオロチの亡骸は緑の山々や水の流れに変わっていった。やがて、遥か彼方の青空に虹がかかり、母イザナミの幻がスサノオたちを祝福した。「この土地こそが母なる幸せの国だ」と。スサノオは、もうどこにも行かないと皆に告げ、この土地で人々と生きる決心をする。その時達スサノオ達を祝福するかのように空に美しい虹がかかるのだった。
音楽担当の伊福部昭は日本クラシック音楽界の第一人者であり[独自研究?]、東宝特撮をはじめとする映画の劇伴音楽(BGM)を数多く作曲した[15]ことでも知られるが、同じく日本神話に題材を採り、須佐之男命の大蛇退治が描かれた1959年の東宝映画『日本誕生』の音楽などを承けて、音楽担当に起用された[要出典]。ここでの伊福部の仕事は単なるBGMにとどまらず、作画、演出と完全に一体化して作品の流れを澱みなくリズミカルに紡ぎだしてゆく優れたものであり、楽器によって表現する効果音の領域にまで踏み込んでいる[独自研究?][16]。
演出の芹川有吾は、本作の製作に当たって、伊福部の音楽に非常に感銘を受けたと語っていて[要出典]、1972年に同じく東映動画によるテレビアニメ、『マジンガーZ』第1話の演出を担当した際の、巨大ロボット「マジンガーZ」が初始動するシーンにも、本作の音楽の一部を使用している[要出典]。また本作の音楽は、作曲者・伊福部昭により、2003年に同名の交響組曲としてまとめられている[要出典]。
『日本一物語』[1]
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