わし座シグマ星

わし座の連星系 ウィキペディアから

わし座シグマ星

わし座σ(わしざシグマせい、σ Aquilae、σ Aql)は、わし座連星系である[2]見かけの等級は5.2と、暗い空でなら肉眼でみえる明るさである[1]年周視差は約4.65ミリ秒で、これをそのまま距離に換算すると700光年となる[4][注 1]

概要 わし座σ星 σ Aquilae, 星座 ...
わし座σ
σ Aquilae
星座 わし座
見かけの等級 (mv) 5.16[1]
変光星型 こと座β[2] 又は アルゴル型[3]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  19h 39m 11.6427715557s[4]
赤緯 (Dec, δ) +05° 23 51.973399317[4]
視線速度 (Rv) -4.5 ± 1.3 km/s[5]
固有運動 (μ) 赤経: 4.156 ミリ秒/[4]
赤緯: -4.068 ミリ秒/年[4]
年周視差 (π) 4.6458 ± 0.1555ミリ秒[4]
(誤差3.3%)
距離 700 ± 20 光年[注 1]
(215 ± 7 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -1.5[注 2]
Thumb
わし座σ星の位置(丸印)
物理的性質
半径 4.22 ± 0.06 / 3.05 ± 0.11 R[6]
質量 6.8 ± 0.1 / 5.4 ± 0.1 M[6]
自転速度 108 / 125 km/s[7]
スペクトル分類 B3 V + B3 V[1]
光度 1,860 / 525 L[6]
表面温度 18,490 / 15,850 K[6]
色指数 (B-V) 0.02[1]
色指数 (U-B) -0.61[1]
色指数 (V-R) 0.08[1]
年齢 4.2 ×107[7]
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 1.05 ×107 km[5]
離心率 (e) 0.043 ± 0.019[8]
公転周期 (P) 1.95026827 [9]
軌道傾斜角 (i) 71.9 ± 1.0°[8]
他のカタログでの名称
わし座44番星, BD+05 4225, HD 185507, HIP 96665, HR 7474, SAO 124903[4]
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歴史

わし座σ星は、1912年にウィルソン山天文台での観測によって、スペクトル線が二重になっており、その視線速度が規則的に変化することが発見され、分光連星であることが明らかとなった[10]。1916年には、アレゲニー天文台のフランク・ジョーダン(Frank Jordan)が、視線速度曲線から初めて軌道要素を求めた[10]。1918年には、イリノイ大学のエルマー・ダーシェム(Elmer Dershem)が、わし座σ星が変光していることを発見、同大学のチャールズ・ワイリー英語版ジョエル・ステビンスが、光度曲線から食連星であることを明らかにし、更に詳しい軌道要素が求められた[11]

特徴

わし座σ星系を形成する恒星は、2つともよく似たB型主系列星とみられ、スペクトル型はいずれもB3 Vと分類されている[2][1]離心率はほぼ0で、円に近い軌道を公転し、周期は1.95軌道長半径は1050万km(15R)と求められている、分離型の近接連星である[5][8]。主星は、質量太陽の6.8倍、半径が太陽の4.2倍、伴星は、質量が太陽の5.4倍、半径が太陽の3.1倍と推定される[6]

変光

わし座σ星は、速い自転と潮汐力によって光球がやや楕円体となっているためか、を起こしていないときでもわずかに変光しており、こと座β型変光星英語版とされる[2][12]。一方、食の始まりと終わりの瞬間は、はっきりわかる光度曲線となっていて、変光星総合カタログの新しい版では、アルゴル型変光星に分類されるようになっている[11][9][12][3]。わし座σ星では、一周期の間に、主星が食を起こす場合と、伴星が食を起こす場合の、二度の食が発生し、減光幅が大きい主極小では約0.14等級、減光幅が小さい副極小では約0.10等級、それぞれ暗くなる[11]

重星

わし座σ星の北西約48秒の位置に12等星があり、これは、1830年にジョン・ハーシェルが発見したもので、重星カタログにも収録されているが、物理的に関係ない見かけだけの「伴星」と考えられる[13][2][14]

名称

中国では、わし座σ星は、右旗拼音: Yòu Qí)という星官を、わし座μ英語版わし座δわし座νわし座ι、HD 184701、わし座42番星英語版わし座κわし座56番星英語版と共に形成する[15]。わし座σ星自身は、右旗二拼音: Yòu Qí èr)つまり右旗の2番星と呼ばれる[16]

脚注

関連項目

外部リンク

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