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『ざわざわ下北沢』(ざわざわしもきたざわ)は、2000年に公開された日本映画。市川準監督。脚本は市川の原案を基に佐藤信介が執筆した。主演は北川智子、原田芳雄、小澤征悦の3人。
ペサロ映画祭招待作品。
2021年12月にHDリマスター版で初Blu-ray化された。DVD化はされていない。
本作の企画者は、下北沢にある映画館「シネマ下北沢」の創立者たちであり、この映画館は、映画製作のスタッフが「自分たちが観たい映画を上映する劇場が欲しい」という思いのもと作られた。つまり、映画への愛情に満ちた人々により作られ、そして今回、そこでかける映画まで作ってしまった。
また、下北沢に思い入れがある有名俳優、タレント、等がいわゆる「チョイ役」で多数出演している点もこの映画の特徴である。
メイキング・ドキュメンタリー『ざわざわ下北沢 の、できるまで。』(演出:オースミユーカ、35分)も併せて製作され、本作の再映時のおまけ作品として2001年4月14日に併映公開された。
下北沢で暮らす有希は、両親が転勤で半年間留守にする間、カフェでバイトを始めた。店の片隅で売られていた小さな陶器の「犬」を、拾い物だからと貰った有希は、恋人の達也にプレゼントした。
ビリヤード場で「見せて」と達也から「犬」を受け取り、そのまま持ち歩く田中。田中の恋人の真弓が、犬ではなく下北沢の真龍寺に祀られた「大天狗の面」だと指摘し、ねだって田中から「天狗」を貰った。真弓の友達の美亜は翌週の運転免許の試験のために、お守りとして「天狗」を借りた。
達也は、見習いカメラマンとして雇われた出版社を、かったるいからとすぐに辞めてしまった。下北沢をフラフラし、飯をおごってくれそうな友人を探す達也。そんな達也を、車を買ったらドライブに行こうと誘う美亜。運転免許試験に合格した美亜は、「天狗」を友人の千明に譲った。
有希と二股の彼女である摩耶がママを勤めるバーで、開店前に夕飯にありつく達也。そんな達也だが、若い男が嫌がる有希を引っ張って行こうとするのを見て、男を乱暴に追い払った。有希から以前に付き合っていた相手だと聞き、「ガキじゃん」とバカにする達也。
酒屋の跡取りの若い高藤は、年上の未亡人の静子に恋をしたが振られて落ち込んだ。だが、静子が「10年若かったら」と残念がったと聞いて元気を取り戻す高藤。そんな高藤に、どこで手に入れたのか、良いことがあると言って「天狗」を譲る静子。
カフェの常連で、下北沢を拠点とする役者の 九四郎は、同棲相手の福子が出て行ってからずっと落ち込んでいた。下北沢の劇場「ザ・スズナリ」で初めて九四郎の舞台を観て感動する有希。そんな九四郎に手紙で、上京した際に会いたいと連絡して来る福子。人前では行かないと反発したが、会いに行く九四郎。だが、すでに話すこともあまり無い2人だった。
有希の元カレを見つけた達也が、勝手に「話しをつけた」と知り、怒る有希。直後に有希は、摩耶と親しげにする達也を目撃し二股を直感した。達也が摩耶から別れを告げられたとも知らずに街をさまよい、ビリヤード場で達也の頬を叩く有希。
その夜、1人で帰宅して来た九四郎と自宅にいた有希、まだビリヤード場にいた達也の3人だけが、夜空に鳴り響く1ヶ月も早い除夜の鐘を聞いた。不思議に思って夜道に出て、刑事に追われる田中を見かけ、助けようとする九四郎。野次馬に混じって逮捕を見ている有希。達也もやって来たところで、目の前の歩道を突き破り、数十メートルの高い水柱が上がった。水滴を浴びて癒やされる有希たち。
両親が帰って来た自宅から引っ越し荷物を運び出す有希。手伝っているのは達也ではなく弟の健一だった。有希が「ちょっとだけ」下北沢から離れたくなった理由を語る健一の声。下北沢の楽しそうな雰囲気は、温泉のように人をフニャフニャにするのだという。
エンドクレジットの途中で、引っ越して行く有希に、「いいことがある」と「天狗」をプレゼントする知人のカップル。「いいことがあったら次の人に譲らないとバチが当たる」とまで尾ひれが付いた「天狗」を、「ありがとう」と笑顔で受け取る有希だった。
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