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2015年に公開された荒井晴彦監督の日本映画 ウィキペディアから
『この国の空』(このくにのそら)は、2015年に公開された荒井晴彦監督の日本映画[1]。
戦時中の昭和20年。19才の田口里子は東京・杉並の自宅に母と二人で暮らしていた。父親は結核で他界し、祖父が残した借家の家賃で生活しながら、町会で各種届け出の書類を制作する里子。実はそれは、挺身隊(勤労奉仕の肉体労働)逃れの楽な仕事で、戦争さえ無ければ里子は仕事などせず、それなりの家に嫁ぐ話が来るはずの娘だった。しかし、この頃の日本には婿となる若い男が圧倒的に不足していた。
隣家に住む市毛猛男は、妻子を疎開させた一人暮らしの銀行員だった。健康だが細身なために初期の弛(ゆる)い徴兵検査で丙種(失格)となり、38才の現在は今さら兵隊には取られまいと思いつつ、赤紙(徴兵の指令書)が来る事を恐れ暮らす市毛。里子は、そんな市毛の家に一人で平気で上がり、話し込むこともあった。
そんな里子の家に転がり込む伯母の瑞枝。彼女は母・蔦枝の姉だが、横浜の空襲で家族を全て亡くし、逃れて来たのだった。しかし、当時は東京への転入が認められておらず、伯母の分の食料は配給を受けられなかった。厄介者として暮らし始める瑞枝。
市毛が、田舎に疎開した妻の為に東京の新聞記事を切り抜き、送っていると知って嫉妬する里子。そんな里子に市毛は、銀行の人員削減で宿直が増えるので、留守宅に風を通して欲しいと裏口の鍵を預けた。鍵を使って市毛宅に入り、乱れた寝室まで整頓する里子。
食料を得る為に上等な着物を包み、田舎の農家に物々交換に行く里子と母の蔦枝。ひと気のない川辺で里子と弁当を食べ、このご時世に里子の近くに市毛が居るのは有り難いと話す蔦枝。女っぽくなった里子に市毛は良い刺激だという意味だが、市毛に気を許してはいけないとも諭す蔦枝。気を許せば、損をするのは常に女なのだ。
大森まで歩けばヤミ米を安く買えるとの情報を伝え、里子を買い出しに誘う市毛。途中で休憩した神社で市毛に迫られた里子は、自分から市毛の胸に飛び込んだ。その夜、市毛と結ばれる里子。その後、数日間は多忙で帰宅しなかった市毛だが、慌てて帰ると、日本が降伏するとの極秘情報を里子の家族に伝えた。
戦争が終れば、市毛の妻子が疎開先から戻って来る。それでも好きだと言う市毛に里子は、「私の戦争は、これから始まる」と、険しい表情を向けた。
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