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こぎつね座(こぎつねざ、Vulpecula)は、現代の88星座の1つ。17世紀後半に考案された新しい星座で、キツネがモチーフとされている[1][3]。こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルからなる「夏の大三角」に囲まれるように位置しているが、4等星より明るい星がなく目立たない星座である。
この星座には4等より明るい星はないが、亜鈴状星雲やコートハンガーなどアマチュア天文家の観測対象となる星雲や星団がある。
2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) によって3個の恒星に固有名が認証されている[4]。
この星座は、17世紀末にポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスによって考案された[3]。初出は、ヘヴェリウスの死後の1690年に妻Catherina Elisabetha Koopman Hevelius によって刊行された著書『Prodromus Astronomiae』に収められた星図『Firmamentum Sobiescianum』と1687年の日付が残る星表『Catalogus Stellarum』である。ただし、『Firmamentum Sobiescianum』ではAnser(ガチョウ)と Vulpecula(キツネ)という2つの独立した星座として扱われた[3][9]が、『Catalogus Stellarum』では Vulpecula cum Ansere(ガチョウをくわえたキツネ)という1つの星座とされるなど、星座とその名称に混乱が見られた[3]。
1729年に刊行されたジョン・フラムスティードの星図『Atlas Coelestis』では Vulpec & Anser とされた[3]。1845年にフランシス・ベイリーが刊行した『British Association Catalogue』では、最輝星にギリシア文字のαが振られ、星座名は短縮されて Vulpecula とされた[3]。
1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Vulpecula、略称は Vul と正式に定められた[10]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。
日本では、1879年(明治12年)にノーマン・ロッキャーの著書『Elements of Astronomy』を訳した『洛氏天文学』が刊行された際に「ウェルペキュラエトアンセル」と紹介された[11]。その後明治末期には「小狐」という訳語が充てられていたことが、1910年(明治43年)2月刊行の日本天文学会の会報『天文月報』第2巻11号に掲載された「星座名」という記事でうかがい知ることができる[12]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「小狐(こきつね)」として引き継がれ[13]、1943年(昭和18年)刊行の第19冊まで継続して使われた[14]。1944年(昭和19年)に天文学用語が改訂されると、その際に読みが「こぎつね」と改められた[15]。そして、戦後の1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[16]とした際に、Vulpecula の日本語の学名は「こぎつね」と定まり[17]、これ以降は「こぎつね」という学名が継続して用いられている。
1928年(昭和3年)に天文同好会[注 1]の編集により新光社から刊行された『天文年鑑』の第1号では「きつね」という呼称が使われた[18]。天文年鑑の編集に携わった天文同好会の山本一清は「最も妥当だと信ずる星座の名の一覧表」でも Vulpecula に対応する訳名を「きつね」としている[19]。また、1931年(昭和6年)3月に刊行された『天文年鑑』第4号では、星座名は Vulpecula cum Ansere、訳名は「小狐と鵞鳥」とされた[20]。以降、天文年鑑ではこの星座名と訳名が継続して用いられた[21]。
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