日本の漫画作品、テレビアニメ番組 ウィキペディアから
『かくしごと』は、久米田康治による日本の漫画作品。『月刊少年マガジン』(講談社)にて、2016年1月号から[1]2020年8月号まで連載された[2]。
かくしごと | |
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ジャンル | 少年漫画 |
漫画 | |
作者 | 久米田康治 |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | 月刊少年マガジン |
レーベル | KCデラックス |
発表号 | 2016年1月号 - 2020年8月号 |
発表期間 | 2015年12月4日 - 2020年7月6日 |
巻数 | 全12巻 |
話数 | 全84話 |
アニメ | |
原作 | 久米田康治 |
監督 | 村野佑太 |
シリーズ構成 | あおしまたかし |
脚本 | あおしまたかし |
キャラクターデザイン | 山本周平 |
音楽 | 橋本由香利 |
アニメーション制作 | 亜細亜堂 |
製作 | かくしごと製作委員会 |
放送局 | BS日テレほか |
放送期間 | 2020年4月 - 6月 |
話数 | 全12話 |
映画:かくしごと ―ひめごとはなんですか― | |
原作 | 久米田康治 |
監督 | 村野佑太 |
脚本 | 村野佑太、あおしまたかし |
キャラクターデザイン | 山本周平 |
音楽 | 橋本由香利 |
制作 | 亜細亜堂 |
製作 | 劇場編集版かくしごと製作委員会 |
配給 | エイベックス・ピクチャーズ |
封切日 | 2021年7月9日 |
上映時間 | 79分 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画・アニメ |
ポータル | 漫画・アニメ |
娘に漫画家であることを隠し通そうとする父と、その娘の日常を、漫画家のあるあるネタを交えつつ描かれる久米田自身の体験談を思わせるハートフルコメディ[1][3]。タイトルは「隠し事」と「描く仕事」のダブル・ミーニングとなっている[4]。
コミックス第1巻の発売に合わせて、久米田にとっては日本国内で初めてとなる単独サイン会がアニメイト名古屋にて開催された[5]。また、シャフト制作によるアニメPVが公開されている[6]。2017年8月26日から同年10月15日まで湯前まんが美術館(熊本県球磨郡)において、「久米田康治のかくしごと展」(原画、ネーム展示)が開催された[7]。
「漫画家」を題材にすることを勧めたのは担当編集者であり、久米田自身は当初そのジャンルは既にやり尽くされており、新鮮さも感じないと考えていたためやる気は無かった[4]。しかし、久米田自身が「下ネタ漫画」を描いてきたことで周囲から蔑まれ職業を隠した経験もあり、「漫画家であることを隠す」というアレンジを加えたスタンスを思いついた[4]。
本作においては、これまでの久米田作品にあったように、宇宙人が登場したり、異世界や異次元に行くような話はやらない、人死にもなく現実に即した中に留めることを久米田は決めている[4]。また、本作の各エピソードは、ほぼ実話に基づいていると久米田は語っている[4]。
本作は『週刊かくしごと』という架空の雑誌の体を成しており、1話(1回の掲載分)に複数のショートストーリーが描かれている[4]。各ショートストーリーの最後には作中漫画家の「あとがき」もある[4]。また、作中に架空の広告も掲載されているが、実在の漫画家藤田和日郎をモデルにしたキャラクターが登場した回には藤田の作品『黒博物館スプリンガルド』の宣伝が欄外に入っている[4]。
連載に先立ち『月刊少年マガジン』にてフルカラー4ページの予告漫画が掲載され、これは姫18歳編の話となっている。コミックスには雑誌掲載時の姫10歳編に加え、姫18歳編の話が描き下ろしで先行で収録されている[4]。久米田お得意の自虐ネタ、下ネタに加え、感動あり、父の隠し事を知った姫のストーリーが挿入される構成といったストーリーテリングの巧みさも評価されている[8]。
テレビアニメ開始直前の『月刊少年マガジン』2020年4月号掲載分で姫が11歳の誕生日を迎えて以降、連載はそれまでの『週刊かくしごと』形式から11歳の姫と18歳の姫の誕生日以降の話を並行して描く構成へと移行し、単行本で先行公開された18歳時の原稿リメイクに補足として新規描きおろしとなる11歳の話を加えた完全版となっている。なお、単行本最終巻では新規描き下ろし分のみを収録し、先行単行本収録された部分は描き下ろしのダイジェストで表現されている。また、連載では11歳の誕生日の後に父の日の回を挟んで18歳編に移行しているが、単行本では父の日は姫の誕生日の前となっている。
『ダ・ヴィンチニュース』では「個人的な感想」と断った上で、これまで久米田作品に登場する女性キャラクターが絵柄は可愛いものの性格などに問題がありストレートに「可愛い」と言い難かったのに比べ、姫は変な言動があるものの「可愛い娘」として描かれていることを指摘している[9]。
本稿では、姫が小学4年生から5年生の時(11歳の誕生日を迎えるまで)を「姫10歳編」、姫が18歳の誕生日を迎えてからの話を「姫18歳編[11]」として記述する[13]。
姫10歳編はコメディであり、姫18歳編は対照的にシリアスなストーリーである。姫18歳編では、姫10歳編の後に何があったのかが回想として徐々に明かされると共に、姫10歳編では暗示的にしか語られなかった後藤家の家庭事情(姫の母親の行方や、祖父の正体)も明らかとなり、後藤可久士はある事情で断筆し「消えた漫画家」状態になったことが判明する。なお、11歳になった姫の誕生日の時間(姫10歳編の続きなのでコメディ風味)と18歳の姫の現在時間(シリアス風味)とがリンクして物語は進行する上、本編にはそれまでとは違い各話に副題が付かない[11]。
かつて『きんたましまし』という下ネタ漫画がヒットしたこともあるベテラン漫画家・後藤可久士は一人娘の姫を溺愛していた。父親が下品な漫画を描いていると知られると、自身が姫から嫌われると思ったり姫が学校でいじめられたりしてしまうと心配し、姫には職業を隠し、目黒区の自宅からスーツ姿で出勤し途中でシャツと短パンという仕事着に着替えて渋谷区の仕事場へと向かうのだった[8]。
姫の友達が「姫ちゃんのパパお仕事何しているの?」と聞いてきたり、姫のいる自宅に間違えて編集部の担当者が訪問してきたりと、可久士の隠し事がバレそうになり、娘への愛が募って可久士は暴走してしまう[8]。よき父親であろうと周囲の女性たちに協力を仰ぎ、その度に騒動を巻き起こしたり、気があると勘違いされ、既成事実が出来上がっていく。
そんなこんなで、バレそうでバレない「かくしごと」を抱えながらも、後藤可久士と姫のドタバタしながらも幸せな日々は続いていく。
18歳の誕生日。姫は鎌倉にある海辺の丘上に建つ、かつての中目黒の自宅に酷似した家を1人で訪れていた。そこにあった漫画原稿から、彼女は父の隠し事が「描く仕事」だったことを知る。家の探索、元アシスタント達の回想を交え、漫画家・後藤可久士の過去が明らかになっていく。
姫は中学生になったころの出来事を思い出す。その日、可久士は玄関ではなく、縁側から帰宅する。姫に対して「ヘッドハンティングで転職が決まった」と嬉しそうに話す可久士だが、嫌なことがあった時は縁側から家に入る父親の癖を知っていた姫は、仕事で何か嫌なことがあって辞めたと見抜いていた。
その裏には、海難事故で行方不明となっている姫の母の無事を信じ、可久士が今でも捜索費を出し続けていること。それを美談として週刊誌に掲載され、一部の心無い読者による悪意の書き込みによって、可久士がネットで叩かれる事態に発展したこと。可久士はショックから今までのように漫画を描けなくなってしまい、自ら筆を折らざるを得なくなったという背景があった。その後、可久士は慣れない肉体労働を転々としていたが、倉庫で雑誌運搬の作業中に起きた崩落事故に巻き込まれ昏睡状態となる。
それから一年近くが過ぎ、姫が鎌倉の家を訪れていたちょうどその時、可久士が意識を取り戻したとの報せが入る。急いで病院に向かう姫だったが、久々に顔を会わせた娘に対し、可久士は「誰?」と口にする。事故にあう前の7年間の記憶を喪失した可久士の中で「姫はまだ10歳」だった。
まだ自分が漫画家だと思い込んでいる可久士のリハビリのため、現在は人気漫画家となった元アシスタント墨田羅砂の呼び掛けによって当時のアシスタントたちが再集結し、病室でかつての連載作品「風のタイツ」の執筆が行われる。目の前にいるのが自分であることを認識していない可久士にショックを受ける姫だが、一方ではやる気に満ちた「漫画家・後藤可久士」の姿を初めて目の当たりにする。しかし、今の可久士が描いているのは7年前に描かれた原稿をそっくりそのまま再現した描き直しである。編集者の十丸院五月が見かねて最終回が載った単行本を見せたものの自筆ではない印刷物では本気にしてもらえなかったという。
再び漫画家として新たな話を描いてほしいとの思いから、姫は父の記憶を取り戻すために鎌倉の家へ向かい、友人たちにも協力してもらい、父の原稿を運んできた。自筆の原稿を読むことで可久士は、ついに記憶を取り戻す。
記憶が戻った後の可久士は無事に退院し、入院費を援助してくれていた義父・戒潟魁吏への入院費返済と中目黒の自宅を買い戻すべく、漫画家としての再起を決意。一方、姫は鎌倉の家で見つけた父と母と娘の家族団欒のモノクロ漫画に色を付け始めていき、その最中に帰宅した父を出迎えるのだった。
特に記載がない場合、声はテレビアニメ版の担当声優を示す。登場人物の名前はダジャレとなっており、職業や性格などにかかったものとなっている[14][15]。
可久士の「G-PRO」(ゴトープロダクション)で働くアシスタントたち。姫には可久士の会社の部下と名乗っているが、可久士のことは「部長」や「課長」と適当な役職で呼んでいるため、本人から「お前ら統一しろ」と言われている。
可久士に振り回されることも多いが、なんだかんだ言いながらも慕っており、父の日には「僕達にとってお父さんみたいなもの」とアシスタント一同でプレゼントを贈って可久士を感激させている。姫18歳編では7年前に記憶が戻ってしまった可久士のために病室に集合し、アシスタントのふりをしていた。
可久士が度々誤解するような言動をしてしまうことで、交際や結婚を申し込まれていると勘違いしている。
姫18歳編でも登場するが、全員別々の高校に通っている。姫が可久士の記憶を取り戻すべく、鎌倉のほうの家に保存してある『風のタイツ』の原稿を持っていくことにした際、姫の頼みを引き受け、原稿運びに協力した。また、アニメ版では、その前に病院の屋上で可久士の衣類を干す姫の手伝いもしている。
2016年の単行本1巻発売時に、シャフト制作によるアニメPVが公開されている[6]。絵コンテは新房昭之、演出は宮本幸裕。
2020年4月から6月までBS日テレほかにて放送された[16][36][37]。エピソード表記は「第〇号」。
原作単行本と同様に、姫10歳編をメインで描きつつも、姫18歳編を各回の冒頭や末尾で少しずつ小出しに進行する構成となっている。アニメでは姫10歳編を過去の閉じた世界観である「半径10メートルの記憶」というコンセプトで描き、リアルな現実を意識した姫18歳編とは背景の描き方や効果音のつけ方などを変えることで世界観の差を表現している[12]。
第11号では原作8巻収録の「最終回兵器彼女」を描いた後、原作ではアニメ放送開始以降に雑誌掲載された姫の11歳お誕生会(原作とは異なる内容)まで劇中時間が一気に約半年進み、その晩に姫と可久士、ロクのみで行われた家族だけでの2回目のお誕生会を描いた直後に再び7年が経過。18歳の誕生日を迎えた姫が何者かより鎌倉の家の鍵と地図を受け取り、江ノ電に乗って向かうシーンで締めくくられ、第01号冒頭の姫18歳編へとつながる内容となっている。そして第12号では18歳編のみが描かれ、それまで小出しにしてきた伏線をすべて回収し大団円となった。
姫18歳編は一部省略しつつ大筋では原作通りとなっているが、記憶喪失の可久士が病室で漫画を描き始めて以降の展開が多少異なる。アニメ版の姫は当初、可久士が記憶を取り戻さずに漫画家だと思い込んでいるままの方が幸せなのではないかと思っていたが、可久士の自分の一番の幸せは漫画を描くことではなく「姫が元気に大きく育つ事」とのセリフ(第01号でも同じセリフがある)を聞いて、可久士に「18歳になった自分」を見せるために記憶を取り戻そうとする流れとなっている。
アニメの構成を企画した当時は原作が連載中であり、単行本も8巻までしか刊行されておらず、アニメ最終回での独自の落としどころをどうすればいいかを原作者である久米田に尋ねたところ、漫画もアニメと同時期に終わらせるとの提案が返ってきたため、最終回のラフ案[38]を渡された上で、それに帰結するようにアニメのシリーズ構成を行うこととなった[12]。原作の最終回掲載がアニメ最終回の翌月になったため、結果的にはアニメで最終回が最も早く公開される形となった。
原作の方では、当初は10巻で完結予定だったがアニメ化に伴い全12巻となり、アニメの方に影響されて終盤でのマリオの出番を増やしたりしている。また最終回では、アニメでは語られなかった姫の母親の事故経緯が明らかとなっていたり、エンディングテーマにもなった「君は天然色」の歌詞が用いられている展開となっている。
話数 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 総作画監督 | 初放送日 |
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第01号 | かくしごと | 村野佑太 | 松尾晋平 | 遠藤江美子 |
| 2020年 4月2日 |
ねがいごと | ||||||
第02号 | ビーサンとB4 | 佐々木和宏 | 加藤顕 |
| 4月9日 | |
おかない かかない しあげない | ||||||
第03号 | やりくりサーカス | まんきゅう | 粟井重紀 | 小林一三 |
| 4月16日 |
漫画の実情と筋肉 | ||||||
第04号 | ノルマエ・ナマエ | 宗廣智行 | 尾方祥 | 橋本明日美 | 4月23日 | |
コマ割りスケッチ | ||||||
第05号 | それでも鉢は廻ってくる |
| 加藤顕 |
| 4月30日 | |
泊めたねっ! | ||||||
第06号 | スクールランドセル | 大地丙太郎 | 曽根利幸 |
| 5月7日 | |
第07号 | いぬほしき | 松尾晋平 | あおのゆか | 山本周平 | 5月14日 | |
母子を継ぐ者 | ||||||
第08号 | おれたちの下描き | 山岸大悟 | 加藤顕 |
|
| 5月21日 |
残念記念組 | ||||||
第09号 | 師走は君の嘘 | まんきゅう |
|
| 5月28日 | |
第10号 | I"S(伊豆) |
| 尾方祥 |
| 6月4日 | |
第11号 | 最終回平気彼女 | 大地丙太郎 | 松尾晋平 |
| 6月11日 | |
第12号 | ひめごと | 村野佑太 |
| 6月18日 |
配信開始日 | 配信時間 | 配信サイト |
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2020年4月3日 | 金曜 0:00 更新 | |
2020年4月8日 | 水曜 0:00 更新 |
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2020年4月11日 | 土曜 12:00 更新 | スゴ得 |
巻 | 発売日[41] | 収録話 | 規格品番 | |
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BD | DVD | |||
1 | 2020年6月26日 | 第1話 - 第4話 | EYXA-12939 | EYBA-12936 |
2 | 2020年7月24日 | 第5話 - 第8話 | EYXA-12940 | EYBA-12937 |
3 | 2020年8月28日 | 第9話 - 第12話 | EYXA-12941/B | EYBA-12938/B |
「めぐろ川たんていじむしょ」のタイトルで、2020年4月1日より公式Twitterにて動画配信が行われている。後藤姫役の高橋李依と、古武シルビア役の小澤亜李が出演し、かくしごとの聖地を探すという企画となっている。
「カクシゴトーク」のタイトルで、2020年6月16日よりWebラジオ番組が配信されている。YouTube avex picturesチャンネルでの動画公開形式。
パーソナリティは神谷浩史(後藤可久士役)。構成作家は田原弘毅。
当初は通常のラジオ配信を予定していたが、新型コロナウイルス流行の状況から回数を減らしてYouTubeでの配信となった。
BD / DVDの特典CDにはラジオのノーカット完全版が収録される予定。
マンガアニメ「かくしごと」のタイトルで、2020年5月13日より原作コミックにテレビアニメ版のキャストが声を当てたデジタルコミックがdアニメストアにて配信されている。テレビアニメ化されていないエピソードを中心に選出されている。
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