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WNT3A(Wnt family member 3A)は、ヒトではWNT3A遺伝子にコードされるタンパク質である[5]。
WNT遺伝子ファミリーは、分泌型シグナル伝達タンパク質をコードする、構造的に関連した遺伝子から構成される。これらのタンパク質は、組織の恒常性、胚発生、疾患に重要である。
WNT3Aは、配列と機能の双方でWNT3ときわめて関連性が高い。WNT3AとWNT3はどちらも主にβ-カテニン/Tcf経路を介してシグナルを伝達する。多くの脊椎動物で、WNT3A遺伝子はWNT9A遺伝子とゲノム上で並んで位置している。同様に、WNT3遺伝子はWNT9B遺伝子と並んで位置している。WNT9AとWNT9Bはβ-カテニン/Tcf経路を介してシグナルを伝達するが、WNT3AとWNT3のように同じ細胞過程に関係した役割を果たしているわけではない。
ヒトでは、WNT3Aは特定の遺伝疾患とは関係していない。Wnt-3aに遺伝的変異を抱えるマウスは胚発生初期に致死となり、沿軸中胚葉の形成過程に欠陥が生じる[6]。WNT3Aは腫瘍誘発性のβ-カテニン/Tcf経路を促進するため、特定の細胞集団で発現した際にはがんを引き起こす[7]。
胚発生とは、ボディプランを形成する過程である。脊椎動物モデル系での研究から、ヒトの解剖学的構造における特定の遺伝子の役割を推測することができる。WNT3Aは次に挙げる過程と関係している。
WNT3Aは、胴体領域の神経、筋肉、骨、軟骨を形成する多能性幹細胞集団に対してパターン形成を行う。WNT3Aはこれらの多能性幹細胞に対し、神経ではなく、筋肉、骨、軟骨の前駆細胞を形成するように指示を出す[8]。また、WNT3AはNotch経路も調節し、正常な胴体発生に必要な分節時計(segmentation clock)を制御する[9][10]。
WNT3Aは、左側シグナルの決定因子であるNODAL遺伝子を活性化するシグナル伝達経路に関与する[11]。
WNT3Aは造血幹細胞の自己複製を促進する。WNT3Aは骨髄細胞の発生に必要であるがB細胞の発生には必要なく、また未熟胸腺細胞の分化に影響を与える[14]。
WNT3Aは歯髄幹細胞の幹細胞性を促進する[16]。
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