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ヒトにおいてタンパク質をコードする遺伝子 ウィキペディアから
TAR DNA結合タンパク質43(TDP-43, 43kDaのトランス活性化応答DNA結合タンパク質)は、ヒトではTARDBP遺伝子によってコードされるタンパク質である[5]。
TDP-43は414のアミノ酸残基を持ち、4つのタンパク質ドメインからなる:
最近、大きな可溶化タグがないタンパク質全体が精製された[10]。全長タンパク質は二量体である[10]。この二量体は2つのNTDの自己相互作用により形作られる。二量体化にとどまらず、多量体化(オリゴマー化)することもある。
タンパク質配列には、核局在化シグナル(NLS, 82-98残基)、核外搬出シグナル(NES, 239-250残基)も含まれている。また、3つのカスパーゼ-3切断部位が推定されている(残基13, 89, 219)[10]。
TDP-43は染色体に組み込まれたTAR DNAに結合する転写抑制因子であり、HIV-1の転写を抑制する。また、CFTR遺伝子の選択的スプライシングを抑制する。特に、TDP-43はCFTR遺伝子のイントロン8/エクソン9接合部と、ApoA-II遺伝子のイントロン2/エクソン3接合部に結合するスプライシング因子である[11]。相似する偽遺伝子が20番染色体 (ヒト)に存在する[12]。
TDP-43はDNAとRNAを結びつけ、転写抑制、Pre-mRNA スプライシング、翻訳調節において複数の機能を持つ。最近の研究で、トランスクリプトーム全体での結合部位の特徴が明らかになり、神経細胞において数千のRNAがTDP-43により結合されていることが分かった[13]。
TDP-43はもともと、HIV-1の転写を抑制する、染色体に組み込まれた転写活性化応答エレメント (TAR) DNAに結合する転写抑制因子として同定された。
脊髄運動神経において、TDP-43はヒトで低分子量ニューロフィラメント (hNFL) mRNA結合タンパク質であることが解明されている[14]。海馬ニューロンの樹状突起で神経活動応答因子として働き、mRNAの安定性、輸送、局所翻訳に関わっている可能性についても示されている[15]。
最近、亜鉛イオンが細胞内のTDP-43の凝集を引き起こすことがあることが示された[16]。さらに、亜鉛がTDP-43のRNA結合ドメインに結合し、アミロイドのような凝集体を作ることがあることがin vitroで示された[17]。
TDP-43タンパク質は、非相同末端結合 (NHEJ) 酵素経路の鍵となる要素であり、多能性幹細胞から分化した運動神経のDNA二本鎖切断 (DSBs)を修復する[18]。TDP-43は迅速に切断部位に集まり、XRCC4DNAリガーゼを集めるための足場として働く。TDP-43が枯渇したヒト多能性幹細胞分化運動神経では、ALS患者の脊髄検体において時々見られるのと同様に、有意なDSBの累積とNHEJレベルの低下がみられた[18]。
過剰にリン酸化され、ユビキチン化され、割れた形状のTDP-43―病的TDP-43としても知られる―はユビキチン陽性、タウ陰性、Α-シヌクレイン陰性前頭側頭型認知症 (FTLD-TDP, 過去にFTLD-Uと呼ばれていた[19]) と、筋萎縮性側索硬化症の病原タンパク質である[20][21]。TDP-43の増加は慢性外傷性脳症と診断された患者でも確認されている。複数回の脳震盪や頭部外傷を経験したアスリートは、脳症と運動神経病(ALS)のリスクが上昇する[22]。TDP-43の異常は、アルツハイマー病患者の一部でも確認され、臨床的指標と神経病理学的指標に相関する[23]。ミスフォールドしたTDP-43は、85歳以上の辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症患者でも見られる。最近、神経変性疾患を引き起こすTDP-43包含タイプを、過剰リン酸化されたエピトープに頼らず特定するため、2G11と2H1という2つのモノクローナル抗体が開発された。これらの抗体はRRM2ドメイン(アミノ酸残基198-216)に存在するエピトープを認識する[24]。
後天性免疫不全症候群の原因であるHIV-1は複製過程で、染色体に組み込まれたDNAを生産するRNAゲノムを含む。トランス活性化因子「Tat」によるHIV-1遺伝子発現の活性化は、転写開始点の "下流" (時間的に後のほうで転写される) に位置するRNA調節エレメント(TAR)に依存する。
TARDBP遺伝子の変異は、前頭側頭葉変性症と筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む神経変性疾患に関連している[25]。特に、M337V変異とQ331K変異はALSにおける役割を研究されている[26][27][28]。
細胞質のTDP-43病理学は、多系統蛋白質症における組織病理学上の支配的な特徴である[29]。C終端領域の凝集を促進するN終端ドメインは、負電荷を帯びた2つのループを持つ新しい構造を持つ[30]。一部のALS患者で、TDP-43がどのようにして病気を引き起こすか調査した最近の研究では、細胞ストレスがin vivoの脊髄運動神経で、TDP-43の細胞質での誤配置を引き起こすトリガーとなる場合があることを示している[31]。
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