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インテルのGPUのブランド ウィキペディアから
Intel Arc(インテル アーク)は、インテルが設計および開発しているコンシューマー向けGraphics Processing Unit (GPU) のブランド名である。
開発者 | インテル |
---|---|
メーカー | TSMC |
販売開始 | 2022年3月30日[1] |
種類 | Graphics Processing Unit |
ブランド名である「Arc」の語源は、アーキテクチャを物語のストーリーアークになぞらえていることに由来する[3]。開発コードネームはRPGからインスパイアされており、アルファベット順に「Alchemist」「Battlemage」「Celestial」「Druid」と続く。
Xe-HPGアーキテクチャを採用した第一世代の製品群。開発コードネームは「Alchemist」で、TSMCのN6プロセスで製造される[4]。
AI処理ユニットを活用した独自アップスケーラーの「Intel XeSS」や、インテル製統合GPUと組み合わせてパフォーマンスを向上させる「Intel Deep Link」を備える。同世代のGeForceやRadeonと同じくDirectX 12 Ultimateに対応しているほか、いち早くDisplayPort 2.0やAV1のハードウェアエンコードに対応した[4]。
当初の発売予定は2021年だったが[5]、ソフトウェアの開発遅延が原因で発売延期を繰り返した。下位モデルからの順次発売という形を取り、モバイル向け製品は2022年の3月[6]、デスクトップ向け製品は6月[7]、最上位モデルのArc A770は10月に発売された[8]。
性能を最大限引き出すために、インテルはResizable BARの有効化を推奨している[9]。
発売当初、ゲームタイトルによるパフォーマンスのばらつきや、競合製品より高い消費電力が指摘された[10][11][12][13][14]。特に古いAPIで動作するゲームは最適化不足の傾向が強く[15]、インテルはグラフィックスドライバーの更新を重ねて改善を図った[16][17]。
ライターの加藤勝明は、2023年10月にArc A580が発売された際、「1年の熟成を経て、Arcは“まあ使えるGPU”にはなった」と評した[18]。
ブランドとモデル | コア | プロセス | トランジスタ数 (億) | ダイサイズ (mm2) |
クロック (MHz) |
ユニット数 | L2キャッシュ (MB) |
メモリ | 単精度浮動小数点演算性能 (TFLOPS) | TBP (W) |
接続 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Xeコア RTU |
XVE XMX |
タイプ | 容量 (GB) |
帯域 (GB/s) |
バス幅 (bit) |
クロック (GT/s) | |||||||||||
Arc 7 | A770 16GB | ACM-G10 | TSMC N6 | 21.7 | 406 | 2100 | 32 | 512 | 16 | GDDR6 | 16 | 560 | 256 | 17.5 | 17.2032 | 225 | PCIe 4.0 x16 |
A770 8GB | 8 | 512 | 16.0 | ||||||||||||||
A750 | 2050 | 28 | 448 | 12 | 14.6944 | ||||||||||||
Arc 5 | A580 | 1700 | 24 | 384 | 8 | 10.445 | 175 | ||||||||||
Arc 3 | A380 | ACM-G11 | 7.2 | 157 | 2000 | 8 | 128 | 4 | 6 | 186 | 96 | 15.5 | 4.096 | 75 | PCIe 4.0 x8 | ||
A310 | 6 | 96 | 4 | 124 | 64 | 3.072 |
ブランドとモデル | コア | プロセス | トランジスタ数 (億) | ダイサイズ (mm2) |
クロック (MHz) |
ユニット数 | L2キャッシュ (MB) |
メモリ | 単精度浮動小数点演算性能 (TFLOPS) | TGP (W) |
接続 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Xeコア RTU |
XVE XMX |
タイプ | 容量 (GB) |
帯域 (GB/s) |
バス幅 (bit) |
クロック (GT/s) | |||||||||||
Arc 7 | A770M | ACM-G10 | TSMC N6 | 21.7 | 406 | 1650 | 32 | 512 | 16 | GDDR6 | 16 | 512 | 256 | 16.0 | 13.5168 | 120 - 150 | PCIe 4.0 x16 |
A730M | 1100 | 24 | 384 | 12 | 12 | 336 | 192 | 14.0 | 6.7584 | 80 - 120 | |||||||
Arc 5 | A570M | ACM-G12 | 1300 | 16 | 256 | 8 | 8 | 224 | 128 | 75 - 95 | PCIe 4.0 x8 | ||||||
A550M | ACM-G10 | 21.7 | 406 | 900 | 3.6864 | 60 | |||||||||||
A530M | ACM-G12 | 1200 | 12 | 192 | 8 / 4 | 65 - 95 | |||||||||||
Arc 3 | A370M | ACM-G11 | 7.2 | 157 | 1550 | 8 | 128 | 4 | 4 | 112 | 64 | 3.1744 | 35 - 50 | ||||
A350M | 1150 | 6 | 96 | 1.7664 | 25 - 35 |
インテルが単体GPU市場への参入に挑戦したのは、Intel Arcで三度目となる[19]。
最初の挑戦は1998年に発売されたIntel 740である。前評判[20]とは裏腹に性能は期待外れで、後継製品のIntel 752は発表こそされたが、ビデオカードとして出荷されることはなかった[21]。単体GPUとしては失敗したものの、Intel 752はそのままIntel 810チップセットにオンボードグラフィックとして統合されたことにより、現在まで続く統合GPUとして受け継がれていった。
二度目の挑戦はPlayStation 4への採用も検討されていたLarrabeeである[22]。GPGPUを見据えて開発されたが、グラフィックス性能では競合に劣っており、インテルは2009年末にLarrabeeの製品化を断念した[23]。
インテルは統合GPUを含む市場占有率では圧倒していたが、性能ではNVIDIAとAMDに遠く及ばなかった。一方、その二社しかいない単体GPU市場では長い間NVIDIAの一人勝ちと言える状況が続いており、インテルはここに参入の余地があると考えた[19]。
2017年11月8日、インテルは新たに組織するCore and Visual Computing GroupのSVP兼チーフアーキテクトにラジャ・コドゥリが就任すると発表した[24]。コドゥリはS3 GraphicsやATI Technologies、AMD、Appleを渡り歩き、2013年にビジュアルコンピューティングのVPとしてAMDに復帰[25]。2015年の組織再編で誕生したRadeon Technologies GroupのSVP兼チーフアーキテクトに就任して以来、AMDのグラフィックス部門を率いてきた[26]。
2018年6月12日、インテルはTwitterで2020年に単体GPUを投入すると発表[27]。2020年1月にはコードネーム「DG1」を搭載したビデオカードを公開し[28]、同年10月に「Intel Iris Xe MAX Graphics」として正式に発表した[29]。あくまでTiger Lakeマイクロアーキテクチャの統合GPUを抜き出しただけのIris Xe MAXを搭載するPCは少なく、ビデオカードに至っては市場に出回ることがほとんどなかった[30]。
本命となるゲーミング向け単体GPUの詳細は、2020年8月13日に開催された「Intel Architecture Day 2020」で明らかにされた。ラジャ・コドゥリはゲーミング向け単体GPUのXe-HPGアーキテクチャ採用や、レイトレーシングのハードウェアアクセラレーション対応を説明。製品は2021年に出荷予定だと述べた[5]。
2021年6月2日、コドゥリはTwitterでゲーミング向け単体GPUのチップを公開した[31]。
2021年8月16日、インテルはコンシューマ向け高性能GPUのブランド「Intel Arc」を発表。発売時期は2022年第1四半期に延期された[32]。
2022年3月30日、インテルはモバイル向けの「Intel Arc A」シリーズを発売。エントリークラスである「Arc 3」からリリースされる。ミドルクラスの「Arc 5」とハイエンドクラスの「Arc 7」および、デスクトップ向け製品の発売は夏以降に延期された[6]。
2022年5月7日、ドイツのIgor's Labはソフトウェアの開発の遅れからデスクトップ向け製品のさらなる発売延期の可能性を指摘[33]。インテルでVisual Computing GroupのVP兼GMを務めるリサ・ピアースはこれを認め、地理的、需要的な要因からArc A3シリーズを中国市場で先行発売すると発表。Arc A5およびArc A7の出荷開始は夏後半を予定していると説明した[34]。
2022年6月14日、インテルはIntel Arcシリーズ初のデスクトップ向け製品となるArc A380を発表した[7]。日本では9月22日にASRockが「Intel Arc A380 Challenger ITX 6GB OC」を発売[35]。これが日本で最初に発売されたIntel Arc搭載ビデオカードとなった。
2022年9月8日、インテルはデスクトップ向け製品の仕様を公開[36]。10月12日にハイエンドクラスのArc A770およびArc A750を発売した[8]。
2023年3月22日、インテルのパット・ゲルシンガーCEOはTwitterで、Arcの開発を率いていたコドゥリの退社を明らかにした[37]。コドゥリは2022年末の組織再編の際、GMからチーフアーキテクトへ事実上の降格となっていた[38]。
2023年10月13日、デスクトップ向けミドルクラス製品のArc A580が発売された[39]。
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