HB-EGF
ウィキペディア フリーな encyclopedia
HB-EGF(heparin-binding EGF-like growth factor)は、ヒトではHBEGF遺伝子にコードされる、EGFファミリーのタンパク質である。ヘパリン結合性EGF様増殖因子などと訳されることもある[5]。
概要 HBEGF, PDBに登録されている構造 ...
閉じる
HB-EGFは、分裂促進性・走化性を有する膜固定型糖タンパク質として合成される。単球やマクロファージで産生される上皮成長因子(EGF)様因子であり、ヘパリンに対して親和性を有するため、HB-EGFという命名がなされている。創傷治癒、心肥大、心臓の発生や機能に関与することが示されている[6]。HB-EGFはヒトのマクロファージ様細胞で馴化した培地中で最初に同定された87アミノ酸からなる糖タンパク質で、高度に調節された遺伝子発現を示す[7]。エクトドメインシェディングによって可溶型で成熟型のHB-EGFが形成され、平滑筋細胞や線維芽細胞の分裂や走化性に影響を与える。膜結合型HB-EGFはジフテリア毒素(英語版)の固有の受容体であり、細胞間の接触シグナル伝達に機能する。どちらの形態のHB-EGFも生理的過程のほか、腫瘍のプログレッションや転移、器官の過形成、アテローム性疾患などの病理過程に関与している[8]。HB-EGFは細胞表面の2つの部位、すなわちヘパラン硫酸プロテオグリカンとEGF受容体に結合することができ、細胞間相互作用に影響を与える[9]。