Loading AI tools
軍用艦艇の総称。国連海洋法条約により規定され、補給艦や輸送艦など直接戦闘しない艦も含まれる。 ウィキペディアから
軍艦(ぐんかん、英: warship)とは、軍用艦船の総称。戦闘力を持つ艦艇だけではなく非武装である補給艦、輸送艦なども含まれる。特に、海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)29条に定める船舶を指すことが多い[1]。対義語は商船。
なお「戦闘力を持つ軍艦」には、フリゲート・コルベットなどの艦種が含まれるが、それを一言で指す用語は軍事分野においては無い。しかしそれ以外の分野では、「戦闘力を持つ軍艦」を全てを指して「戦艦」と呼ぶ用例も見られるので注意が必要である。
軍艦は、他の船舶と異なる法的取り扱いがなされるため、国連海洋法条約29条で厳密に定義されている。ただし、この定義は同条約の適用上のものであり、各国海軍内部において別箇の定義がなされることもある(条約上の定義は外交関係を踏まえた最広義のものと解される。)。
この規定は、従来の慣習国際法上の解釈を明文化して、1958年に締結された公海に関する条約8条2項の定めを踏襲したものである。 この規定は、次の4要件に分析できる。
これらの要件からは、国際法上、軍艦はその外形や兵装により規定されるものではないことが分かる。また、この規定から以下の解釈が導かれる。
軍艦搭載艇たる短艇(旧日本海軍のそれは装載艇参照)であっても、軍艦旗を掲揚して、艇指揮(士官)の指揮の下にあり、艇員がいるなど、上記の各要件に該当すれば、その時点で軍艦となり、国外にあっては軍艦と同様の扱いを受ける。
旧日本海軍では、外務上における『軍艦』を軍艦外務令(明治31年海軍省達第85号)において、艦船の分類上における『軍艦』を艦船令(大正8年3月20日軍令海第1号)において定義していた。
軍艦、駆逐艦、潜水艦、砲艦、海防艦、輸送艦、水雷艇、掃海艇、駆潜艇、敷設艇及哨戒艇ヲ総称シテ艦艇ト謂ヒ特務艦、特務艇ヲ総称シテ特務艦艇ト謂フ
艦艇及特務艦艇ノ類別標準ハ別表ニ依ル
旧日本海軍における在籍船舶の分類には変遷があるが、基本的には、次のように定められた。
変遷の詳細は大日本帝国海軍艦艇類別変遷を参照
このうち3の狭義の「軍艦」とは、1944年(昭和19年)10月1日改正の艦船令の別表で戦艦、巡洋艦、練習戦艦、練習巡洋艦、航空母艦、水上機母艦、潜水母艦、敷設艦のみを指す。その他の艦艇(駆逐艦、潜水艦等)は、狭義の「軍艦」には分類しない。船首の菊花紋章は終戦時には狭義の「軍艦」にのみ付された。ただし、例外として日露戦争における武勲艦「三笠」など武勲艦は、現役当時に付された菊花紋章を取外さなかった。
現在の海上自衛隊が保有する艦艇は、国際法上「軍艦」として扱われるが、国内では自衛隊用語を用いて「自衛艦」と呼称する。これは、日本国憲法第9条第2項が「陸海空軍その他の戦力」の不保持と「交戦権」の放棄を定めていることによるものであり、いわゆるダブルスピークである。
お答えいたします。日本の持つている自衛隊における船をいわゆる軍艦として取扱うかどうか、これは主として第三国との関係でありますが、実際におきましては、第三国は軍艦として取扱うものと考えております。現にイギリスでも、アメリカにおきましても、日本のフリゲートに対しては軍艦としての儀礼を尽してやつております。その点から見ましても、第三国は、将来日本の自衛隊の船に対しては軍艦として取扱うのではなかろうかと考えております。ただそこで制約があるというのは、例の憲法第九条第二項の交戦権の放棄であります。この点においていわゆる純粋な意味における軍艦として取扱うことは、日本としては禁止しておるわけでありますから、その点において相違がある、普通並の軍艦として第三国は取扱うものと考えております。 — 1954年衆議院内閣委員会にて、木村篤太郎保安庁長官
海上自衛隊では排水量が概ね1000tを超える船(潜水艦含む)を『艦』、超えない船を『艇』と呼称している[2]。
のふたつの意味が記載され、ふたつめにおいて、戦艦は軍艦と同義としている。軍事の専門以外の書籍、報道などで外国語を和訳するときに、この意味で用いられる場合が多く見受けられる。
ただし、あくまで軍事用語としては「戦艦」は艦種の一とされており、戦艦を軍艦と同義にして用いるのは誤解を生じるため、軍事関係の書籍においては、[2]の意味で用いるのを間違いとする場合が多い。
日本標準商品分類では艦艇(分類番号504)が使われている[3]。
軍艦は、他国から主権に伴う尊敬と礼遇を受ける慣例があり、国際法上も他の船舶と異なる法的地位にある。この軍艦の特別な扱いは、軍艦が国家の威厳と主権を象徴すると考えられ、主権免除または治外法権と、不可侵権の特権を受けるためとされる。
公海上の軍艦は、旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除され(国連海洋法条約 第95条)、この免除は他国の排他的経済水域においても認められる(同58条)。軍艦が公海または自国領水にある場合、臨検・拿捕・追跡の権限を行使できる(同107条、110条、111条等)。また、軍艦が公海(排他的経済水域を含む)または自国領水にある場合、亡命者等の庇護を求める外国人を庇護する権限を有する。これは、国際法上認められた領域内庇護の一種と解される。なお、軍艦が外国領海にある場合、亡命者等の庇護は外交的庇護と解され、国際法上認められていない。ただし、暴徒から避難する者を一時的に保護することは認められる。
外国領海の軍艦は、沿岸国の管轄権からの免除を受ける(条約32条)。
外国領海の軍艦は、他の船舶と同様、無害通航権(一切の武力行使・挑発行為をせずして通過する権利)を行使しうる(同17条)。なお、軍艦の無害通航権の行使に際しては、沿岸国政府への許可申請や事前通告を要求する例が多い。中国は政府許可の取得を、韓国は政府への事前通告を要求する。アメリカとロシアは、許可も事前通告も要求していない。
軍艦が外国領海を通航する場合には、無害通航に関する沿岸国の法令や国際法を遵守しなければならない。軍艦が領海の通航に係る沿岸国の法令を遵守せず、かつ、その軍艦に対して行われた当該法令の遵守の要請を無視した場合には、当該沿岸国は、その軍艦に対し当該領海から直ちに退去することを要求することができる(30条)。 また、軍艦が通行するに際してこれらの法令を遵守せず、その結果として沿岸国に損失・損害を与えた場合には、当該軍艦の旗国が国際的責任を負う。
潜水艦やDSRV等の水中航行機器は、外国領海において海面上を航行し、所属国の旗を掲げなければならないとされている(同20条)。 従って、潜航したまま外国領海を航行することは認められていない。 なお、国際海峡における継続的な潜航による通過は、通過通航権によってこれが認められている。
軍艦の外国港への入港と、外国港における特権や義務に関する規則は、条約として明文化されておらず、慣習国際法による。
まず、外国港へ軍艦が入港する場合、旗国政府は事前に外交ルートから訪問国政府へ、入港の許可を求めることを要する。この場合、友好関係にあれば、入港を許可するのが国際的な慣行となっている。この際、滞在日数や入港隻数などの条件を付することもできる。また、事前に入港の許可を得ていない場合や不開港であっても、不可抗力や遭難など、緊急の場合には入港することができる。ただし、この場合、速やかに事後承認を得ることを要する。
外国港の軍艦は、領海の軍艦と同じく、受入国の主権からの免除を受ける。軍艦は、受入国の裁判権、警察権、捜査権、臨検捜索権等、一切の管轄権に服さない。また、軍艦は受入国に対し納税の義務を負わない。日本の法令においても、外国軍艦には艦長の請求がなければ犯罪捜査のため立ち入ることはできず(犯罪捜査規範228条、229条)、関税法上の入港届の提出を要さないことなどが定められている。ただ、軍艦は受入国の検疫規則などの法令を遵守しなければならず、これに反した場合には受入国は退去を要求することができる。
また、軍艦が外国港に入港する場合には、礼砲等の外交儀礼が行われる。
船名#軍艦の命名慣例を参照。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.