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『結婚案内ミステリー風』(けっこんあんないミステリーふう)は、赤川次郎の小説。
結婚案内ミステリー風 | ||
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著者 | 赤川次郎 | |
イラスト |
本くに子(カバーイラスト) 古田忠男(本文イラスト) | |
発行日 | 1980年6月15日 | |
発行元 | 21世紀ノベルス(主婦と生活社) | |
ジャンル | 長編連作推理小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | ソフトカバー装 | |
ページ数 | 238 | |
コード |
ASIN B000J87IJO ISBN 978-4041497173(文庫本) | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『ジュノン』1979年1月号から12月号まで連載された。さえない中年男・深田栄一が経営する結婚相談所〈ブライダル・コンサルタント〉に現れた風変わりな客たちがもたらす事件や謎を、唯一の所員である寺沢紘子が推理するユーモア・ミステリー。
所長の深田は、小野貴子という客が書いた書類の結婚を希望する相手の条件欄に“スポーツ…泳げない人”“特に男性に望む点…私と一緒に死んでくれる人”と書かれてあるのを見て目を剥く。こんな客に誰をあてがうのかと迷ったが、紘子の提案により、いつも冷やかしで相談所を訪れる会社社長のドラ息子・松谷進とホテルのラウンジで引き合わせることにする。しかし対面し、松谷に条件面を了承していることを確認した貴子はそのままプールのある庭の方に松谷を連れて行き、一緒に飛び込んでしまう。すぐにホテルの従業員によって助け出され、代わりの服に着替えさせられた2人だったが、怒って紘子に詰め寄る松谷に対し、「あなた、泳げるじゃありませんか!」と貴子はさらに激怒して帰ってしまった。後日、相談所に貴子の夫と名乗る男・明雄が姿を見せる。出かけた時と全く違う服で帰ってきたため驚いてやってきたという明雄は、実は紘子には3度の自殺未遂経験があることを打ち明け、紘子がホテルから持ち帰っていた貴子の元の服を受け取り、お金を払って帰っていった。紘子はなぜ今回に限って貴子は第三者を道連れにしようとしたのか疑問に思い、何か他に理由があったのではないかと考える。そんな中、激怒していたはずの松谷が、貴子に結婚を申し込みたいと再び相談所にやって来る。貴子が人妻だと知りショックを受けて帰っていった松谷だったが、後日、諦めきれずに貴子の住所を知るため誰もいない相談所に忍び込んだ末、誰かに殴られ倒れているのを深田と紘子によって発見される。
結婚の条件に“一切の肉体的接触をお断りします”と書いた修道女・江上恒子とその付き添いの修道院の院長が相談所を訪れる。恒子の唯一の血縁だった叔父が数年前に亡くなった時、売れば数億円になるとも言われるいくつかの山を残したのだが、相続には25歳まで待つことと、その時に結婚していることという条件付きだったため、書類上でのみ結婚させて、相続後すぐ離婚させてほしいのだという。最初はしぶっていた深田も、通常の2倍の金額を提示されたため依頼を受諾。普通の顧客をあてがうわけにはいかず、紘子は元恋人・冬木利春に事情を話し、快諾したため恒子と引き合わせて依頼はうまくいったかに思えた。しかし後日、冬木と飲み直した紘子は帰り道で見知らぬ大男に拉致されてしまう。そして相談所には、「江上(恒子)を預かった」という脅迫状が届いたと、当の恒子と院長が駆け込んでいた。自分を拉致した大男・熊谷が仲間に責め立てられるのを見て、恒子と間違えて拉致されたことは紘子もすぐに気付いた。熊谷は、罵倒され続けるのをかばってくれた紘子に対し、今回の事件の黒幕が、恒子の相続を担当している弁護士・那倉清一と、町の税金を横領し、埋め合わせのために恒子の財産を狙っているという町長であると打ち明ける。一方、なんとか紘子を助け出そうと画策する深田や恒子らは、横領した町長を追って上京してきたという百瀬和彦に出会い、一緒にアジトへと向かう。
水島百合香という女性が深田を訪ねてやって来る。百合香は深田の胸に顔をうずめて泣き、その後2人でどこかへ出て行くなど紘子は2人のただならぬ関係を感じ取る。しかし後から深田に聞いたところ、百合香は深田の初恋の女性であり、現在の夫が女を作った挙句、その女を離れに住まわせて自分を追い出そうとしているという悩みを打ち明けていったのだという。後日、紘子は再び百合香の電話で呼び出されてどこかへ向かう深田を尾行するが、同じく深田を尾行する男の存在に気づく。そして男が2人の写真を隠し撮りしているのを見た紘子はわざとぶつかってカメラを壊すが、小宮と名乗ったその男は実は刑事であった。小宮は紘子に、百合香が主人の幸一を殺そうとしている疑いがあると告げる。半月前に幸一が遭った事故がブレーキの故障が原因ではないという匿名の手紙が警察に届いたり、1週間前にはセメントのかたまりが上から落ちてきたことで、幸一本人からも通報があったのだという。小宮は深田が共犯者ではないかと疑うが、紘子は全力で否定する。しかし後日、誰かに呼び出されて出て行った深田が入江麻美という人物に会うためだと突き止め追いかけた紘子は、深田が1人でラブホテルへ入っていくのを目撃する。同じように深田を尾行していた小宮と共に部屋へ向かった紘子は、ふらふらと廊下に出てきた深田と、部屋の中で両手両足を縛られ、首に深田の革のベルトをかけられ気を失っている麻美を発見。そして意識を取り戻した麻美は、深田を見て「あの人が私を殺そうとしたのよ!」と言い放つ。
「(芸能人の)秋ひろみと結婚したい!」と三好哲夫という男が相談所にやって来る。面識もないただのファンだと知った深田は冷やかしだと怒って追い出すが、なんとその日の夕方、その秋ひろみが結婚相手を探しているとやって来た。多忙すぎて芸能界の引退を考えているが、プロダクションの社員20人の運命も背負っている身としてはそれもできず、新婚旅行でいいから休みがほしい、休みをとるために結婚したいのだという。すぐに三好のことを思いついた2人は秋ひろみの出演番組が収録されるテレビ局に現れた三好をつかまえ、深田と紘子、そして三好と秋ひろみ4人での食事をセッティングする。しかしそこに秋ひろみと噂のある梶峰夫が「ひろみは俺の女だ!」と現われ、対抗した三好と決闘をすることになってしまう。決闘の情報はあっという間に漏れ、決闘の場となるA公園にはマスコミが押し寄せていた。紘子はその中に学生時代の友人で、現在は週刊誌の記者である中神エリを見つける。2人で飲みに行った紘子はそこで、秋ひろみと梶峰夫の噂は『愛と嘘』という番組共演のためのPRで、番組内容は彼女をめぐって男が決闘する話だということを聞く。2人が争う姿を見てどこか嬉しそうだったひろみの姿が気になっていた紘子は合点がいき、三好を止めようとする。
息子の結婚相手を探しているという関根恭子という女性がロールスロイスを乗り付けてやって来る。深田は息子・昌和にじかに会って話を聞きたいと言うが、息子の好みは把握しているから全てのやりとりは自分が行うと宣言し、100万円の相談料を置いていく。相手に野田秋子という女性を選び、ホテルでセッティングした紘子だったが、現れたのは昌和ではなくロールスロイスの運転手で、紘子と野田は関根の屋敷へと連れていかれる。恭子が出した紅茶を飲んで昌和を待っていた2人だったが、紘子はいつのまにか眠気に襲われ、気がついた時には秋子の姿は無く、恭子によると「気があったらしく、昌和と2人で出て行った」という。それならいいかと帰宅した紘子だったが、後日、野田秋子が行方不明だと両親から警察に捜索願が出されたことを深田から聞く。関根家は、夜8時には秋子を家に送り返したと主張しているらしい。そんな中、相談所には低く押し殺した男の声で「野田秋子のような目に遭いたくなかったら、関根邸へ2度と行ってはいけない」という電話がかかってくる。恭子から、「息子の嫁には秋子よりもあなたに来てほしい」と言われた紘子は大学の先輩である船山に相談する。すると、実は関根昌和は3年も前に亡くなっているという事実が発覚する。真相が気になった紘子は恭子の誘いに乗り、再び関根邸へ。恭子は「忠告したのになぜ来たんだ!」と憤る恭子の夫・和郎をよそに、誰もいない空間を示して「昌和です」と紘子に紹介しはじめる。なんとか話を合わせた紘子はその後、初老の執事から「このお屋敷の中ではおぼっちゃまは生きておられるのです」と、昌和は悪い女に弄ばれたあげくに自殺したという話を聞かされる。
自分と父の治夫込みで一緒に見合いさせてほしいと相談所に現れた明野久夫。そんな都合のいい相手がいるものかと思った深田だったが、タイミング良く北原常子という女性が自分と母親の弓子を一緒に見合いさせてほしいと訪れる。紘子がセッティングして4人を引き合わせるが、思惑通りにはいかず、久夫と弓子、治夫と常子という組み合わせでカップルができてしまう。後日、デパートの外で治夫に声をかけられた紘子は相談したいことがあると言われ、六本木のレストランで一緒に食事をする。そして、若い常子が自分に本気になっているようだから、一緒にラブホテルに行き、その姿を目撃させて諦めさせたいと言われる。了承した紘子は治夫とともにホテルへ。しかしその姿を撮った写真がなぜか〈ブライダル・コンサルタント〉の郵便受けに入れられ、計画を深田に打ち明けざるをえなくなる。そして後日、なんと同様に深田と弓子がホテルから出てくる写真も郵便受けに入っており、お互いが同じことを依頼されていることを知る。常子を諦めさせるための逢瀬でありながら、いつしかその時間を楽しみにするようになってしまった紘子だったが、深田と弓子の計画について治夫に打ち明けたその日、ホテルで紘子は誰かに下腹部を殴られて気絶させられ、治夫もナイフを持った男に襲われる。そして翌日、相談所には深田と弓子の写真とともに、「この写真を奥さんに見せたくなければ100万用意しろ」という脅迫状が届けられる。
1984年5月5日、「幽霊志願」を原作としたテレビドラマがテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」で放送された。主演は多岐川裕美。
この節の加筆が望まれています。 |
『結婚案内ミステリー』のタイトルで映画化された。主演は渡辺典子。同時上映は『友よ、静かに瞑れ』。現在、渡辺にとってはこの作品が最後の主演劇場公開作品となっている。
「深田ブライダルコンサルト」という結婚相談所でアルバイトをする19歳の寺沢紘子のもとに、ある日関根コンツェルンの御曹司・昌和と偽装見合いをしてほしいという依頼が入る。高額な報酬と替え玉役に引かれた紘子は喜んで芝居をはじめたが、そこには二重三重のからくりが仕掛けられていた。
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