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瓦や石材の接着や目地の充填、壁の上塗りなどに使われる、消石灰を主成分とした建材 ウィキペディアから
漆喰(しっくい、石灰、英: Plaster)とは、水酸化カルシウム(消石灰[1])を主成分とする建築材料[2]。住宅様式や気候風土などに合わせて世界各地で組成が異なっており独自の発展がみられる建築材料である[2]。
漆喰は、水酸化カルシウム・炭酸カルシウムを主成分としており、もとは「石灰」と表記されていたものであり、漆喰の字は当て字が定着したものである。
西洋では漆喰は消石灰と砂を水を加えながら混ぜて練り上げたものである[2]。
建築材料としては、神話の時代から接着剤として知られており、バベルの塔に関する記述に「しっくいの代わりにアスファルトを得た」という記述が残っている[3]。消石灰を主成分とする建築材料は古代メソポタミア、古代ギリシャ、古代ローマのいずれの遺跡にもみられ紀元前から用いられていた[2]。
古代ローマ時代から現代まで使われているマルモリーノと呼ばれる漆喰は、砕いた大理石と石灰から作られている[4]。
日本の漆喰は消石灰を主成分に、骨材、すさ(麻)、海藻のりなどの有機物を混ぜて練り上げたものである[2]。英語では日本の漆喰はShikkuiとして知られている。(en:Shikkui)
風雨に弱い土壁そのままに比べて防水性を与えることが出来るほか、不燃素材であるため外部保護材料として、古くから城郭や寺社、商家、民家、土蔵など、木や土で造られた内外壁の上塗り材としても用いられてきた建築素材である。面土や鬼首などの瓦止めの機能のほか、壁に使用される場合には、通常で3 - 5ミリ程度、モルタルなどへの施工の場合は10数ミリ程度の厚さが要求されている。塗料やモルタルなどに比べ乾燥時の収縮は少ないものの、柱などとの取り合い部に隙間が生じやすいため、施工の際には留意が必要である。
主成分の水酸化カルシウムが二酸化炭素を吸収しながら硬化(炭酸化)する、いわゆる気硬性の素材であるため、施工後の水分乾燥以降において長い年月をかけて硬化していく素材でもある。炭酸カルシウムは水に不溶であるため、漆喰の保存性は高い。水酸化カルシウムは硬化後、炭酸カルシウムとなるため、当初から炭酸カルシウムを骨材として含有するものが漆喰とされる場合もあるが、一般には水酸化カルシウムが主たる固化材として機能するものに限定されている。
顔料を混ぜない(で用いる)白い漆喰のことを、「白漆喰」という[5]。
原始的な漆喰(ほぼ石灰)は日本では、部分的だが、縄文時代後期、約4000年前の遺跡(千葉市、大膳野南貝塚)から発見されたものが2012年時点では国内最古とされる[6]。炉穴内部や周辺の床に厚さ1センチほどに塗り固められた状態で出土しており、玉川文化財研究所所長は、炉を封じる=住居を放棄する儀式に用いられたのではとの考えを示し、この地の縄文人が独自に開発するも広まらなかったのだろうと推測している。
建築材料として漆喰が日本に渡来するのは飛鳥時代といわれており神社仏閣建築に使用された[2]。古墳(高松塚古墳壁画等)などにも使われている。
また、多くの城郭の壁に使用されており、室町時代末(1565年)に信貴山城(奈良)を訪れた宣教師イスマン・ルイス・ダルメイダは、「今日までキリスト教国において見たことがなき甚だ白く光沢ある壁を塗りたり。其の清潔にして白きこと、あたかも当日落成せしものの如く、教国に入りたるの感あり。外より此城を見れば甚だ心地よく、世界の大部分にかくの如く美麗なるものありと思はれず」と、所感を述べている。
他にも、この時代、西洋圏から鉄砲が伝来したため、漆喰にも防弾性が求められた結果、足利家が築いた中尾城では、漆喰に礫(こいし)を混ぜ込んで塗るといった対策も取られており[7]、漆喰の城壁にも防御性を高めるための工夫がとられた。
近世期、藩によっては、農民の家は白壁作りをしてはいけないというお触れが出された[8]。
太平洋戦争後、在来工法建築とともに急速に衰退したが、近年、土蔵のなまこ壁や古民家のこて絵などを通じて文化的に再評価されつつある。また、漆喰の特性を生かしたタイル(漆喰タイル)も開発されている。
日本における漆喰は現在、大きく5種に分けられる。
上記5種以外に、本漆喰から派生した地域独特の漆喰が存在する(肥後漆喰など)。
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