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深淵(しんえん)は朱鷺田祐介がデザインしたテーブルトークRPGである。剣と魔法のファンタジーRPGの一つであり、幻想や運命という概念を特に強調し表現した特異な雰囲気をもったTRPGである。 1997年3月1日にホビージャパンより初版(ボックスセット)第1刷が出版された(日付は『深淵』「第二の書 語り部の書」奥付に記載されたもの)。 2008年2月2日にエンターブレインより第2版(A4ムック)が出版された(日付は実売日。奥付では2月14日となっている)。
深淵の舞台となる背景世界・時代設定・文明の水準は地球の中世ヨーロッパに似ている。 活版印刷・火薬・羅針盤は発明されていないか、一般的ではない。既知世界は地球におけるインド亜大陸と同じ広さであるとされる。※世界を現す固有の名称は設定されていない(以降、仮に「深淵世界」と呼称する)。
かつては「妖精騎士」と呼ばれる人間より優れた超越的存在が神々(12と一つの星座の巨神)の代理となり、世界と定命の人間を統治していた。既知世界のほとんどは「妖精王国」と呼ばれる国家の版図であった。彼らの治世と年歴は「妖精代」と呼ばれる。
しかし今ではその妖精騎士も消耗して姿を現さぬようになってから久しく、1万年近く続いてきた妖精代も末期とされている。妖精王国の統治は人間の君主たちが争いながら担いつつあり、「"妖精"王国」も名目のものとなっている今、かつて神々に封印された世界の旧支配者:魔族諸侯がその封印から脱しつつある。
各時代は「12と一つの星座」によってそれぞれ象徴され、約1万年ごとに移り変わっていったと伝えられている。実のところ妖精代における「後継者の指輪の戦い」以前は歴史というより伝説を通り越して既に神話であり、正確なことは判らない。
深淵世界の運命と力をつかさどる13の星座の総称。神々や魔族そしてその下僕たちもそれぞれの星座に対応している。これらの星座と7色の色(白・黒・黄・赤・青・緑・紫)の組み合わせによって暦も91の運命も決まる(これを「色星(しきせい)」と呼ぶ)。
13の星座と、その意味は以下の通り(さらにそれぞれの星座の典型的イメージ・象徴する色彩や武器などもあるがここでは割愛する)。
魔族(まぞく)とは深淵世界における超越者の一群である。実際のゲームにおいては邪悪な陰謀の黒幕として、あるいは(妖精王国では公式には禁じられているところの)信仰対象として登場する。大多数の魔族は未だに封印が解けていないため、下僕に命じて事に当たらせるか、本体に比べてわずかな力しか持たない「影」を封印の隙間から送り出して動かすに過ぎないが、それでも定命の人の子らを脅かすに余りある存在である。
魔族は外見も大きさもさまざまであるが、いずれも定命の人間を遥かに超える魔力を持つ不死の存在である。魔族は姿を現しただけで定命の者に破滅をもたらしてその寿命を削る。触れれば運命を操ることさえできる。魔族が自らの生き様を思い返して呟くだけで定命の人間の時間は過ぎ行き骨も残さず塵になることすらある。魔族の魂は不滅であり、肉体が破壊されても必ずいつかは復活する。ただしその「不死性」は「死なない」のではなく「永遠に死に続け、終わりの安息がない」という呪いに由来する。
しかし彼らも最初から化け物だったわけではない、太古の昔、彼らはか弱き定命の人の子であった。大いなる代償を払って力を得て運命に抗い、暴虐な神々と戦い、そして一度は神々を世界から放逐し、世界の遍くすべてを支配した英雄たちなのだ。
だがこれは最大の秘密の一つであり、それを知る者は少ない。
深淵世界は魔法の力(魔力)に満ち溢れているが本来、定命の人間(人の子)には使うことはできない。魔力を持つ護符や刻印(身体的に異形を伴う)を仲介させることで無理やり魔法を使うことも可能だが反動を伴い負傷する危険がある。発動させようとする呪文(個々の魔法)の効果が大きければ大きいほど発動までの時間と手間がかかり反動も比例して大きくなる。深淵世界の魔法使いは反動に耐えながら魔法を使うのである。魔族や神々やその眷属は反動なしに自由に魔法を発動させることが出来る。
「深淵」(しんえん)とはこの作品自体の名前としても使われる独自の概念・存在である。世界と重なって存在する異空間であり、魔力の源。水音を立てる水や海として表現され想起される。
基本的には2D6で成功判定を行うが、運命カード(このゲームに付属する独自のカード。92枚よりなる)他による修正や変化がある。
基本的には2D6を振り、その結果によって判定する。出た目と判定修正(技能、推定寿命の消費など後述)の合計が、ゲームマスターの指定した目標値以上であれば成功。目標値未満であれば失敗である。
出た目が1ゾロ(サイコロが両方とも1の目)であれば大失敗で、判定は必ず失敗するのみならず最悪の結果を招く。逆に、出た目が6ゾロ(サイコロが両方とも6の目)であればさらに2D6を振ってその出目を前の結果に足すことができる(6ゾロが出る限り振り足しを続ける)。 最終的な達成値が目標値を10上回るごとに大成功となり成功段階があがる。たとえば戦闘の際、大成功するごとにダメージが増えていく。
プレイヤー・キャラクターはそれぞれ特定専門の分野および共通した技能を所持しており、それぞれの技能には数値(技能値)が設定されている。技能値は経験点で成長させることができる。技能値は達成値に足すことができる。また判定値の代わりとしてその技能の数字だけの枚数の運命カードのカラーナンバーを達成値に足すことで失敗を成功に変えたり、あるいは成功の度合いを上げることができる。たとえば技能値が3の場合、プレイヤーは手持ちの3枚までの運命カードを消費することでそのカラーナンバーの数値の和を達成値に足すことができる。つまりカラーナンバーが「1」と「2」と「5」だった場合、「1+2+5=8」で達成値に8を足すことができる。(スタブ)
プレイヤー・キャラクターは多くの場合、50歳までの寿命を持っている。これは推定寿命と呼ばれ、消費することで低下する。キャラクターの現在の年齢が推定寿命の年齢に達したときは眠るように死んで逝く。推定寿命は一種のヒーロー・ポイントとして消費することで、達成値に足すなどして失敗を成功にしたり、成功段階を上げることができる。推定寿命はセッション終了時に経験点を使用して購入することでしか上昇(回復)しない。
ファンタジー(ホラー)小説や映画によく出てくる幻視や白昼夢を再現するシステム。 ゲームマスターの指示により随時行う。プレイヤーは手持ちの運命カードから任意のものを選んでゲームマスターに渡す。ゲームマスターはその運命カードの「語り部」欄にある文章を読み上げ、幻視・白昼夢・予知夢を描写する。プレイヤーが抱くゲーム展開希望をゲームマスターが読み取るという双方向的な効果がある。
「縁故」(えんこ)とは当該キャラクターにおける縁の深さを表す数値である。判定におけるボーナス修正(あるいはペナルティ)となりうる。友人・配偶者・恋人といった存在から、愛剣・愛馬など物体や人間以外のものでもありうる。果ては主義主張や誇りなど形がないものへも縁故が設定されることもある。
各キャラクターはキャラクター作成時(あるいはセッション参加時)に2つの「運命」と呼ばれる設定を背負っている。運命は91枚の運命カードに対応している。(正確に言うと枝番号などもあるので91以上存在する)。運命はシナリオに参加する動機となりうるもので、多くの場合、各キャラクターは自己に課せられた運命を解決するか運命に導かれてセッションに参加することになる。用意されている運命は大抵は過酷なものであるが、特殊能力を得るなど有利なものも存在する。運命は最高で3つまで持つことができる。1つの運命を解決するごとにセッション終了時に1点の経験点を得ることができる。
深淵では独自の世界観に合致した作成済みキャラクターが用意されており、これを「テンプレート」と呼ぶ。基本ルール(予感の書)には32種のテンプレートが用意されている。テンプレートはサプリメントによってさら多くのものが追加される。キャラクターを新しく作る作成ルールは基本ルールにはなく、追加サプリメントで用意される。これと運命を組み合わせればそれほど手間取らずに(キャラクター名やより細かい設定を決めるなどすれば)すぐにセッションに参加することができる。テンプレートの中には騎兵、傭兵といった戦闘向きのものだけでなく農夫や商人、踊り娘などといった非戦闘系のものもある。また死体を操るものや魔族復活を企む魔族の信徒など普通のファンタジーTRPGではプレイするのに躊躇するような危険なテンプレートも用意されている。
深淵のルールセットには、92枚の運命カードが付属している。これは、1から7までの数字*13の星座の組み合わせで、「白の黒剣」のように、(色+星座)で表される。これに加えて、山札を切り直す「月待ち」カードが1枚ある。運命カードは(ゲーム開始時をのぞき)各プレイヤーとゲームマスターに、6枚を上限として配られ、残りは山札となる。運命カードは主に夢歩き、行動達成時の追加、武器や魔法のダメージなどに使用される。
運命カードは第1版では裏面がボックスアートと同じ血の付いた剣のフルカラーイラスト、第2版は一回り小さくなり、八弦琴の紋章の周りに他の星座の紋章が配置されたものとなっている。
運命カードには以下の情報が記載されている。
サプリメント「血のごとく赤き」では、裏面が赤く、特殊な効果を持つ9枚の運命カードが追加された。大きさは異なるが第2版でも使用可能である。
深淵の魔族諸侯の名称や称号のモデルは実在のソロモン王の魔道書にでてくるいわゆるソロモン72柱の魔神や日本の特撮作品に出てくる怪獣の名前のアナグラムなどから設定されていると考えられる。性質や姿などのヒントにもなっている。
深淵第1版は絶版となった後でも、根強いプレイヤーが少なくなく、コンベンションで遊び続けたり、復刊ドットコムで投票されるなど、新版を望む声は少なくなかった。デザイナー自身もそのことは承知しており、長らく水面下で版上げの作業が行われていたが、2008年2月2日に待望の第2版が発売となった。
第1版の基本ルールの一部や、第1版の頃に発売されたサプリメントやテンプレートも、一部を修正するだけで第2版で使用できる。
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