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数論において有理点(ゆうりてん、英: rational point)とは、各座標の値が全て有理数であるような空間の点のことである。
例えば、点 (3, −67/4) は 3 も −67/4 も有理数であるため、2次元空間内の有理点である。有理点の特別な場合として整数点(integer point)があり、これは座標値が全て整数の点である。例えば、(1, −5, 0) は 3次元空間内の整数点である。より一般に K を任意の体とするとき、K-有理点は点の各々の座標値が体 K に属するような点と定義される。同様に、特別な場合である K-整数点は、各座標値が数体 K 内の代数的整数の環の元である点と定義される。
V を体 K 上の代数多様体とする。V がアフィン多様体、つまり V を係数が K に属する多項式方程式系 fj(x1, ..., xn) = 0, j = 1, ..., m の零点集合であるとすると、V の K-有理点 P は、体 K に属する数の順序付きの n-個の組 (x1, ..., xn) であり、同時にすべての方程式の共通解となる。一般に V の K-有理点は、V のアフィン開部分集合の K-有理点である。
V が射影空間 の中の斉次多項式 (係数は K に属する)で定義される射影的な代数多様体の場合は、V の K-有理点は射影空間内の の点のうち、すべての座標が K に属し、すべての方程式 の共通解となっているものである。
混乱がない場合、あるいは体 K が有理数体の場合には、K-有理点を単に有理点と呼ぶことがある。
K-有理点と同様に、楕円曲線のような代数多様体の有理点は、現在の研究の主要な分野となっている。アーベル多様体 A に対し、K-有理点は群を形成する。K が数体のとき、モーデル・ヴェイユの定理は K 上のアーベル多様体の有理点のなす群は有限生成群であると主張する。
ヴェイユ予想は、有限体上の多様体上の有理点の分布に関連していて、多様体が定義される最も小さな部分体が存在し、それへ属する点から有理点が構成されることを意味している。
点 (3, −67/4) は、方程式 y + 67/4 = 2 (x − 3) で与えられる直線上の有理点の無限集合のひとつの元である。この有理点の集合は、群演算 (a, b) + (r, s) = (a + r, b + s + 91/4) と単位元 (0, −91/4) を持つ可換群を形成する。この直線上に整数点は存在しないことを示すことができる。この直線は単純なタイプの代数曲線であり、代数多様体である。有理点を有限個しかもたない、もしくは有理点をまったくもたない代数曲線(たとえば、円錐曲線 x2 + y2 + 1 = 0)も存在する。
点 P = (√2, 3) は、方程式 3x2−2y = 0 により定義される代数多様体(この場合は放物線)上の点である。座標値 √2 は有理数でないので、P は有理点ではない。しかし、F を a と b を任意の有理数として a + b√2 という形の数がなす体とすると、P は F-有理点となる。これは座標値が √2 = 0 + 1√2 と 3 = 3 + 0√2 であり、数 0, 1, 3 が有理数だからである。
複素射影平面上の点 (a, b, c) は、za, zb, zc がすべて実数となるような複素数 z が存在するとき、R-有理点(通常は、実有理点と呼ぶ)である。そうでなければ、複素数の点と呼ぶ。この記述は高次元の複素射影空間へ一般化される。
スキーム論の用語では、スキーム X の K-有理点は、まさに射 Spec K → X のことである。K-有理点の集合を通常、X(K) で表す。
体 k 上に定義されたスキームや多様体 X に対し、剰余体 k(x) が k に同型であれば、点 x ∈ X も有理点と呼ばれる。
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