四元 忠博(よつもと ただひろ、1938年 - )は、日本の経済学者。元埼玉大学教授。専門はイギリス経済史およびナショナル・トラスト研究。
鹿児島県出身。経済学史の分野では、ジョン・ケアリの保護主義思想の研究、ジェイコブ・ヴァンダーリントの貨幣論について研究を行なった。経済史の分野では、イギリスの工業化と植民地貿易の研究および、イギリスのナショナル・トラスト運動の先駆的な研究を行なった。埼玉大学退官以降、引き続きナショナル・トラスト研究に専念するとともに、本部を兵庫県西宮市に置く日本熊森協会顧問(2012年3月ごろまで)および特定非営利活動法人奥山保全トラストの初代理事長(2010年2月28日まで[1])を務めた[2]。
著書
- 『イギリス植民地貿易史研究』、時潮社、1984年
- 『ナショナル・トラストの軌跡 1895~1945』、緑風出版、2003年
- 『ナショナル・トラストへの招待』、緑風出版、2007年
論文
- 「ジョン・ケアリの経済構想と保守主義」(修士論文、1970年)
- 「保守主義者J・ケアリとJ・ポレクスフェンに関する覚書」(東京教育大学経済学会『経済学論集』第5号、1971年)
- 「保守主義者ジョン・ケアリの経済体制の構想(1)」(埼玉大学『社会科学論集』第32号、1973年)
- 「保守主義者ジョン・ケアリの経済体制の構想(2)」(埼玉大学『社会科学論集』第33号、1974年)
- 「イギリス毛織物貿易の構造変化」(埼玉大学『社会科学論集』第35号、1975年)
- 「イギリスにおける再輸出貿易の勃興―煙草貿易の場合―」(埼玉大学『社会科学論集』第37号、1976年)
- 「イギリス工業化と植民地貿易―とくに西インド砂糖植民地貿易をめぐって―」(埼玉大学『社会科学論集』第42号、1978年)
- 「スペイン領植民地におけるイギリスの密貿易―1739年ジェンキンスの耳の戦争の経済的背景をめぐって―」(埼玉大学『社会科学論集』第46号、1980年)
- 「18世紀イギリスの南海会社(The South Sea Company)の貿易活動(密貿易も含めて)について―いわゆる商人資本のある歴史的断面―」(埼玉大学『社会科学論集』第48号、1981年)
- 「まちがいだらけの石油中心経済政策―比較経済史から見た新大隈開発計画の誤り」志布志湾公害反対連絡協議会編『ある開発反対運動』所収(学陽書房、1982年)
- 「18世紀におけるスペイン領植民地貿易―Geoffrey J.Walker,Spanish Politics and Imperial Trade 1770-1789に表れた一つの全体的鳥瞰―」(埼玉大学『社会科学論集』第50号、1982年)
- 「王党派コーフ城とナショナル・トラスト」(埼玉大学『社会科学論集』第51号、1983年)
- 「産業革命と植民地貿易」(小林照夫編『イギリス近代史研究の諸問題』第10章、丸善株式会社、1985年)
- 「ナショナル・トラストを訪ねて」(埼玉大学『社会科学論集』第59号、1986年)
- 「ナショナル・トラスト〈イギリス〉を訪ねて」(志布志湾公害反対連絡協議会東京連絡事務所編『志布志湾通信』第5号、1987年)
- 「ナショナル・トラストとはなにか?―木原啓吉氏の二著の批判的検討を交えながら―」(埼玉大学『社会科学論集』第61号、1987年)
- 「旧植民地貿易政策と七年戦争」(埼玉大学『社会科学論集』第63号、1988年)
- 「イギリスの貿易政策と産業構造の歪曲化―農業部門との関連において―」(埼玉大学『社会科学論集』第68号、1989年)
- 「湖水地方の番犬―ナショナル・トラストとローンズリィ―」浜林正夫・神武庸四郎編『社会的異端者の系譜―イギリス史上の人々―』(三省堂、1989年)
- 「ナショナル・トラスト―自然を守るイギリス人の知恵」(週刊朝日百科『世界の歴史』114号、1991年)
- 「ナショナル・トラストを訪ねて(1)~(7)」(『紀伊民報』7回連載、1992年5月9日~5月31日)
- 藤後惣兵衛・四元忠博共著「志布志湾運動小史」(全国自然保護連合編『自然保護事典―②海』、緑風出版、1995年)
- 「ナショナル・トラストとイギリス経済」(中央大学『中央評論』418巻3号、1996年)
- 「ナショナル・トラストとイギリス経済―望むべき国民経済を求めて―」(日本科学者会議『日本の科学者』第349号、1997年)
- 「ナショナル・トラストと地域経済の活性化」(〈財〉トトロのふるさと財団編『武蔵野をどう保全するか』、1999年)
- 「談話室―ナショナル・トラストを訪ねて」(『日本の科学者』2001年2月号)
- 「ナショナル・トラストの成立(1895年)」(埼玉大学『社会科学論集』第102号、2001年)
- 「口蹄疫のなか、ナショナル・トラストをゆく」(日本環境学会『人間と環境』第27巻第3号、2001年)
- 「ナショナル・トラスト運動の展開(1907~1945年)―その1(1907~1920年)」(埼玉大学『社会科学論集』第102号、2002年)
- 「ナショナル・トラスト運動の展開(1907~1945年)―その2(1921~1937年)」(埼玉大学『社会科学論集』第107号、2002年)
- 「ナショナル・トラスト運動の展開(1907~1945年)―その3(1937~1945年)」(埼玉大学『社会科学論集』第108号、2002年)
- 「ナショナル・トラストを歩く―農村の活況化と都市化の阻止を目指して―」(日本環境学会『人間と環境』第29巻第1号、2003年)
- 「ナショナル・トラストを訪ねて―ナショナル・トラスト運動再考」(津田塾大学『国際関係学研究』No.30、2004年3月)
- 「第9章 ナショナル・トラストと自然保護活動―持続可能な地域社会を求めて」佐藤清隆、中島俊克、安川隆司編『西洋史の新地平―エスニシティ・自然・社会運動』(刀水書房、2005年12月)
- 「ナショナル・トラストを訪ねて―自然破壊とナショナル・トラスト」(埼玉大学経済学会『社会科学論集』第117号、2006年3月)
- 「ナショナル・トラスト・フォー・スコットランド」木村正俊、中尾正史編『スコットランド文化辞典』(原書房、2006年11月)
- 「自然破壊とナショナル・トラスト―鹿児島県志布志湾の再生を考える」未完原稿
訳書
- ヴァンダーリント著、浜林正夫・四元忠博共訳『貨幣万能』東京大学出版会、1977年
- ロビン・フェデン著『ナショナル・トラスト』時潮社、1985年
- グレアム・マーフィ著『ナショナル・トラストの誕生』緑風出版、1992年
“設立趣旨”. 奥山保全トラスト. 2005年10月2日閲覧。